横山秀夫

2019年7月 9日 (火)

ノースライト

2923「ノースライト」 横山秀夫   新潮社   ★★★

「あなた自身が住みたい家を建ててください」・・・クライアントにそう言われて、建築士の青瀬稔が建てた家は、斬新な設計で高く評価された。しかし、その家に誰も住んでいないのではないかと聞き、青瀬は不安に駆られる。信濃追分のその家は、確かに無人だった。人が住んだ形跡はなく、クライアントの吉野とも連絡がとれない。残されていたのは、一脚の椅子だけ。混乱した青瀬は、吉野一家の手がかりを求めて奔走するが、同時に所属している事務所に大きな仕事が舞い込み・・・。

 

久しぶりの横山秀夫は、建築士が音信不通になったクライアントの行方を捜すミステリ。警察が介入するでもなく、ただひたすら素人による人探しの物語。

青瀬という男は、バブル期は大きな建築事務所で働いていたものの、バブルがはじけると同時に職を失い、かなりすさんだ生活をした時期も。その時期に離婚もし、今は娘と月に一度面会している。現在は友人・岡嶋の経営する建築事務所で図面を引いているが、自分の仕事に忸怩たる思いを抱いている。岡嶋は大きな仕事のコンペへの参加権を勝ち取ってくるが、何やらきなくさい。一方、信濃追分のY邸の持ち主・吉野は行方不明で、青瀬は吉野の身に何かあったのではないかと、不安に駆られる。そして、Y邸に残されていた椅子が、ドイツの建築家タウトの設計ではないかと言われ、タウトの波乱に満ちた人生に惹かれていく。

いろんなパーツが網の目のようにつながっていって、最終的に見えてくる図はある意味ものすごく腑に落ちるのですが・・・。なんというか、青瀬たちおじさんの感慨が、ちょっとしんどかったです。今まで横山作品を読んでも、私はあまり気にならなかったのですが、今回はちょっと引いてしまいました(苦笑) 人は間違うものだし、正しくばかりは生きられないのはわかりますが、なんかなあ、と。青瀬にしろ、岡嶋にしろ、自分たちの世界に酔ってやしませんか?と思ってしまって。これは、私の感覚が以前とは変わってしまったということなのだと思います。

2013年2月11日 (月)

64

1970「64(ロクヨン)」 横山秀夫   文藝春秋   ★★★★★

刑事畑を歩いてきた三上は、異動で広報官になったことに、忸怩たる思いを抱いていた。二年で刑事部屋に戻る。そう決意して仕事をこなしていた三上に、思いもかけないトラブルが舞い込む。組織の中で、三上が選ぶ道は・・・。

横山さんを読むのはずいぶん久しぶり・・・と、記録をたどってみたら、最後に読んだのはの「半落ち」、2008年5月でした。以来、なんとなく遠ざかっていましたが、「このミス」1位、でしたっけ、とにかく評判がいいので気になっていたのです。図書館でゲットできたのは幸運でした。

舞台はおなじみD県警。「陰の季節」で活躍した警務部の二渡り調査官も登場しますが、主人公は三上広報官。警察組織にあって相容れない刑事部と警務部。双方での勤務経験をもつ彼は、その二つのはざまで翻弄されます。

と、言ってしまえばそれまでなのですが、三上の娘の失踪、妻との心の溝といった家庭の問題から、広報としての記者との軋轢、さらに「64」・・・昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件における隠ぺいされた事実を知ってしまい、警察の暗部を覗き見てしまうという。・・・なんというか、今までの横山作品のいろんなエッセンスをすべてつぎ込んだかのような、中身の濃さ。それが二転三転するストーリー展開で紡がれていき、息つく暇もない物語になっています。

とにかく、全編を通しての緊張感がすさまじいです。三上の怒りも、迷いも、まるで目の前で見せられているかのような臨場感です。正直、読んでいてかなり消耗してしまい、あえて何度か休憩しました。それほど、入り込んでしまったということです。

組織の中に身を置くということだけでなく・・・人がどう生きていくかということを、静かに問われた気がしました。

2008年5月20日 (火)

半落ち

1297「半落ち」横山秀夫    講談社文庫    ★★★★

 妻を殺したと自首してきた、県警の警部・梶。しかし、彼は妻を殺害してから自首するまでの二日間のことを、決して語ろうとしない。空白の二日間の真実とは。

 今さら…という感じでしたが、読みました。
 梶を軸にして、警察・検察・新聞記者・弁護士・裁判官・刑務官という異なる立場の六人の視点で話が展開するのがおもしろかったです。
六人それぞれの人間ドラマがあり、それがリンクし、さらに「空白の二日間」の謎に迫っていく…。そしてまた、彼らの人間臭さがいいのです。この辺りは、横山さんの真骨頂ですね。
 正直言って、真相そのものは、「ふぅん」という感じでしたが、そこに至るまでのドラマを、じゅうぶん堪能させていただきました。

2007年9月30日 (日)

臨場

1194「臨場」横山秀夫   光文社文庫   ★★★★

 L県警で「終身検察官」の異名をもつ倉石。ヤクザ風の外見、歯に衣着せぬ物言い・・・およそ警察官らしくない倉石は、組織にもなじまず、わが道を行くタイプ。上司には疎まれるが、後輩たちには妙に慕われている倉石は、黒星なしの優秀な検察官だ。

 倉石という型破りな検察官を配した連作集。横山節が堪能できる一冊です。

 警察という組織と、その組織であがく警察官を書かせたら一級品な横山秀夫ですが、これまた倉石を中心に、警官や新聞記者たちがいい味出してます。倉石の視点で語られる話はないのですが、他者の目に映る倉石が、一話ごとに徐々に存在感を増していきます。

 「声」なんかはやりきれなかったですが、「餞」や「黒星」はよかったです。最終話の「十七年蝉」も、ラストで少し救われました。

2007年8月13日 (月)

クライマーズ・ハイ

1159「クライマーズ・ハイ」横山秀夫   文春文庫   ★★★★

 昭和60年8月12日。御巣鷹山に日航機が墜落。
 未曾有の惨事に直面した地元・北関東新聞では、遊軍記者の悠木を全権デスクに任命した。世界最大の航空事故という大事件に立ち向かった記者たちは・・・。

 積読していました。あの事故に関するものは、読むのに気合がいるからです。読むぞ!という気持ちができあがらないと、読み通せない。今回、1年以上かかりました。
 そして、どうせ読むのなら、8月12日にしよう、と。結局、2日がかりになってしまいましたが・・・。あの暑い夏を思い出しながら読みました(読んでいる間、あの夏以上に暑かったですが)。

 さて、主人公の悠木は、ひとくせある人物です。決して「いい人」ではありません。息子とはうまくいかず、職場でもちょっと特殊な立場にいる。上司とも同期とも折り合いがよくない。別の部署の安西と山登りをするのが、唯一の息抜き。
 そんな彼が任された「日航機事故全権デスク」。ところが、これが悠木をますます追いつめます。事件そのものの大きさに振り回され、部下たちと軋轢が生じる。記事の扱いをめぐり、上司と衝突。また、突然倒れた安西と、社の派閥争いとの関連もわかり・・・。
 これでもかと悠木を揺さぶる出来事が連発し、きれいごとではない、男たちの闘いが描かれます。
 それでも、人と人との心が通い合う、ほんの短いシーンがとても印象的でした。
 悠木が社を去るかどうかの決断を迫られる場面。佐山の「おれたちの日航デスクは悠さんですから」という言葉に、うるっときました。
 また、衝立岩を登る悠木を助けた一本のハーケンのエピソード。それにも泣かされました。

 あの事故の際、たくさんのジャーナリストが御巣鷹に入ったこと、そこに想像を絶する光景が広がっていたことは知っていました。この物語では、その部分は決して多く書かれていません。が、山から降りてきた記者の異様な興奮や、泥だらけのありさまなど、ものすごくリアルで、説得力がありました。猛暑の中、「こんな暑さの中、記者や救助隊、いろんな人が、道なき道を登ったのだ」と、実感しながら読みました。

mi > まゆさんはちょうどこの事故を思い出す季節にお読みになったのですね。私もこの本、読みました。心にぐっと迫る重みのある作品という印象でした。臨場感があり、ドキドキしながら読み進めたのを覚えています。御巣鷹山の事故の裏にはこのような世界があったのですね。男同士ぶつかりあうことも多かったみたいですが、その中での佐山の言葉に私も感動しました。 (2007/08/16 21:23)
すもも > 読む気合い、なるほどと思いました。読みたいのだけれど、なぜか手が出せない本だったので。体力・気力が充実したら、ぜひ挑戦したいと思いました。 (2007/08/17 11:25)
さくら > 私は手記にかなり泣かされました。この関係の小説を読むと、やっぱり「沈まぬ太陽」を思い出してしまします。 (2007/08/17 15:07)
わった > 私も読みました。焼肉屋でのやり取りや「この先ずっと新聞紙を作ることになる」といったあたりが痺れました。男の人たちは良いなぁ。ちゃんとぶつかり合えて・・・。
現場って、どんな事故でも事件でもすごく特殊な空気を放つものなのでしょう。今年の猛暑の中、新潟の被災者の方々のために黙々頑張った自衛隊の炊き出し班をはじめとする多くの方々に敬意を表します。
一本のハーケンは私も感動しました。父と息子ってそんなふうに繋がっているんですね。 (2007/08/18 12:36)
まゆ > miさん、あの事故当時、ものすごい衝撃を受けて、報道に釘付けでした。横山さんは当時新聞記者ということで、あのニュースを発信する側にいたのだなあ、と思いながら読みました。あの山場での佐山の言葉は、とてもよかったです。 (2007/08/18 16:10)
まゆ > すももさん、あの事故に関するものは、ちょっとかまえてしまうところがあって、「読むぞ!」と思えないとダメなんです。すももさんもぜひ! (2007/08/18 16:11)
まゆ > さくらさん、「沈まぬ太陽」は傑作ですよね。あの事故に関してはフィクション・ノンフィクション問わずいろいろ読んでいますが、これは何気ない描写にすごく説得力があって、印象的でした。被害者の遺書を読んだ時の新聞記者たちの反応・・・きっと、実際にああいうことがあったんでしょうね。 (2007/08/18 16:14)
まゆ > わったさん、悠木をヒーローにしない書き方が横山さんらしいなと思います。だからこそ、あのハーケンが生きるんですよね。 (2007/08/18 16:16)

2007年7月17日 (火)

深追い

1142「深追い」横山秀夫   新潮文庫   ★★★

 庁舎のすぐ裏に官舎と独身寮がある三ツ鐘署。職住一体の息苦しさから、「赴任したくない所轄」に数え上げられている。そんな三ツ鐘署の7人の警察官たちが遭遇した事件。

 とっても積読が多い作家ベスト3に入る横山秀夫。あれもこれも、気になって買うんだけど読んでない・・・。少しは積読解消しなきゃということで、まずは短編集のこれ。

 好きだったのは、後味があまり悪くない「又聞き」と「人ごと」。「深追い」や「仕返し」は、正直言って主人公の人間性を疑っちゃうような言動があって、「それはどうだろう・・・?」と思ってしまいましたよ。
 横山秀夫の警察小説は、「かっこいい刑事」が出てくるものではありません。いろんな「警察官」が登場し、彼らは決して正義のヒーローでは、ない。出世に汲々としていたり。家庭のことで悩みを抱えていたり。同僚と足の引っ張り合いをしていたり。なんとも人間くさい、普通の人たちなのです。
 だから、後味がよくない時も多いのですが・・・つい読んでしまうのです。その人間くささがに惹かれるのかもしれません。

さくら > 私もついどうしても手にとってしまう作家さんです。
これ、文庫で読んだのに、joynovelsでの新刊を「あ、新しいの出た~」と間違って買ってしまってショックでした~ (2007/07/19 11:11)
まゆ > さくらさん、横山作品は「半落ち」も「クライマーズ・ハイ」も積読中です。ほかにもまだ何かあったなあ・・・。早く読もうと思いつつ、図書館から本を借りてしまう日々です。 (2007/07/19 20:55)

2006年8月 5日 (土)

出口のない海

1007「出口のない海」横山秀夫   講談社文庫   ★★★★

 甲子園で優勝投手となり、鳴り物入りで大学野球へと進んだ並木。しかし、軍事教練で肘をいため、マウンドに立てなくなってしまう。それでも、並木は「魔球」を編み出そうと投げ続けていた。
 日米開戦。まもなく戦況は逼迫し、並木たち野球部員も学徒出陣の日を迎えた。海軍を志願した並木は、やがて人間魚雷「回天」に搭乗することになる。家族と、仲間と、恋人と別れ、回天に乗り込んだ並木の胸に去来するものは。

 誤解をおそれずに言うならば。これは「戦争小説」ではありません。あえて位置づけるならば、戦時下における「青春小説」と定義できるかもしれません。
 実は、「回天」の話だと聞いて、戦争ものだと思って読み始めました。が、何かが違う。去年、「終戦のローレライ」を読んだのもあり、緊迫感とか正直言って物足りなかったのです。なんでこんなにあっさりしてるかなあ、と。
 並木自身、思わぬなりゆきで「回天」に乗ることになってしまい、彼自身かなり苦悩はするのです。でも、もっと激情に駆られてもいいんじゃないの?とか、潜水艦の様子は福井晴敏の方がものすごい密度があったよね、とか、わりにさめた目で見ていたのです。
 ところが。作者の描きたかったものは、そういうものとは違うのだなあ、ということが最後にようやくわかった気がしました。死ぬために生きるのではなく、生きるために生きること。そのために夢をもつこと。極限の状況で何を甘っちょろいことをと思うかもしれませんが、その状況下で夢を持ちつづけることがどれだけ「強い」ことか。私はそこに、作者の祈りを感じたような気がします。
 思うに、私たちは「戦争とはこういうもの」「戦時下の人々の思いはこういうもの」というステレオタイプに慣らされてしまっているのかもしれません。たぶん、千差万別、さまざまな思いがあったはず。私たちには、もっと知らなければならないことがあるのかもしれません。

2005年4月30日 (土)

顔 FACE

787「顔 FACE」横山秀夫   徳間文庫   ★★★★

 鑑識課の似顔絵婦警・平野瑞穂。しかし、彼女はある事件がきっかけで、鑑識からはずされ、得意の似顔絵を描く技術も生かせない日々を送っている。
「女は使えねえ」・・・男社会の警察機構の中で、瑞穂は職務を全うしようとするのだが。

 待望の文庫化です!「陰の季節」に出てきた平野瑞穂が主人公。舞台は同じD県警。姐御肌の七尾さんが今度は脇役で登場。あの二渡氏もちらっと出てきます。
 ドラマ化されたのもあって(見てないけど)、瑞穂が似顔絵を描いて活躍する話なのかなあと想像していました。大筋では間違っていないけど、やはり横山作品。読んでいて眉間にしわが寄ってしまいました(苦笑)
 以前に起こした失踪事件と休職のせいで、いまだに組織から煙たがられている瑞穂。婦警という存在を「警察官」として認めていない組織との軋轢。事件そのものよりも、そういったことが瑞穂を悩ませ、落ち込ませます。瑞穂の似顔絵とひらめきが事件を解決しても、何も変わらなかったり。
 乃南アサの音道貴子シリーズを読んでいる時と同じような感じ。腹も立つし、イライラするし、それでも読むのをやめられないという・・・。貴子シリーズはやっぱり女性の主観で書かれているのだなあ、と。こちらは瑞穂が主人公でありながら、男性からの視線に容赦がなくて、でもさらりとしていて。
 エピローグの溌剌とした瑞穂の姿が、本当に救いになりました。きっと、悩んでいても、瑞穂って周りからはあんなふうに見えるのですよね。それって素敵だなあと思いました。

yukko > まゆさん、こんにちは。私も先日読んだばかりなのですが、瑞穂の(婦警ならではの)悩みや、置かれている環境は、読むのが辛いほど・・・。それでも前向きな瑞穂に元気付けられました。 (2005/05/02 11:25)
まゆ > yukkoさん、ほんとに読んでて眉間にシワ、ですよ。しんどいのなんのって。これでもかってくらい、瑞穂がつらい目に遭うじゃないですか。エピローグの颯爽とした彼女の姿で救われましたけど・・・。 (2005/05/02 23:56)

2004年10月 5日 (火)

第三の時効

626「第三の時効」横山秀夫   集英社   ★★★★

 F県警捜査第一課は、力のある三人の班長に率いられていた。一班の「青鬼」こと理詰めの捜査を旨とする朽木。二班の搦め手型捜査の「冷血」楠見。そして、三班は「動物的カン」を生かした閃き型の村瀬。彼らとその上司・部下たちは、時にいがみあいながら、犯人逮捕に向けて疾走する。

 おもしろかったです。一気読みでした。
 F県警捜査一課の面々を主人公にした連作短編。
 どれも味わいがあってよかったですが、いちばん鮮やかなのは表題作でしょうか。「第三の時効」というタイトルにもそそられますが、終盤の展開の見事さといったら。ただ、二班班長楠見の人柄はどうも・・・。その緩衝材として、一斑から助っ人に入った森が出てくるわけですが。
 好きな話は、彼らの上司・捜査一課長田畑が主人公の「囚人のジレンマ」。ものすごく有能だけど御することができない部下、そしていつしか守りに入っている自分に苛立ちながら、ギリギリの一線で部下を信じようとする田畑の心情。3つの事件が同時進行で描かれるというのもすごいですが、ちゃんと仕掛けもあってなかなかよかったです。
 横山作品はこれで3作目ですが、この人の「読ませる」理由は、人間としての警察官を描こうとしているからだと思います。プライベートを描くのじゃなくて。あくまで警察官としての、プライドだとか、見栄のはりあいだとか。そういう醜さと強さみたいなものを、真っ向から描こうとしているところが好きです。

ざしきぼっこ > これは横山作品の中でも、特に好きな一冊です。犯人や刑事どうしの醜いほどの心理戦が、行き詰るような緊迫感で描かれていて、面白かったです。
TVドラマでもシリーズ化されてるようですね。私は「密室の抜け穴」と「囚人のジレンマ」しか観ていませんが、雰囲気的に重くて、良かったです。 (2004/10/06 09:22)
こしまこ > 最高に面白かったです。まゆさんの感想を読むだけでも思い出してわくわくします。個人的には「ペルソナの微笑み」だったかな。あれ好きでした。 (2004/10/06 09:38)
ココ > 読んでかなり重かったけれど好きな一冊です。私もドラマを見ました。「第三の時効」「ペルソナの微笑み」「囚人のジレンマ」です。作りすぎず、原作に忠実でとても好感が持てる良いドラマでした。 (2004/10/06 09:40)
まゆ > ざしきぼっこさん、ドラマは全然見てないんです。こんなにおもしろいんなら見たかったです~。「陰の季節」も「動機」もよかったですが、これがダントツにおもしろかったです。
こしまこさん、「ペルソナ」の主人公になってる矢代刑事が、ちょっと独特のキャラでしたね。一人一人がよく描かれていますよね。
ココさん、明るい話じゃないんですけどねえ。でも、おもしろかった! やっぱりドラマ、良いんですね。「第三の時効」は映像化されたのを見てみたいですねえ。 (2004/10/06 21:09)

2003年5月 8日 (木)

動機

219「動機」横山秀夫   文春文庫   ★★★★

「生きていくしかなかった。それほど無様な生きざまであろうと、すっかり投げだしてしまえる人生などないに違いなかった。」(「逆転の夏」より)

 署内で一括保管していた警察手帳30冊が盗まれた。警務部調査官の貝瀬は事件の謎を追う。犯人は内部の者か。その動機は?

 推理作家協会賞を受賞した表題作をはじめ、4つの短編を収録。
 「動機」は前作「陰の季節」と同じく警察の警務部の人間が主人公。誰が何のために警察手帳を盗んだのかという謎に、警察内部の組織を絡め、読み応えのある短編になっています。ラストがちょっと甘いかなという気もしますが、読後感がいいのは嫌いじゃないので。
 殺人の前科をもつ男が殺人依頼を受ける「逆転の夏」。男社会で奮闘する地方紙の女性記者が主人公の「ネタ元」。審理中に居眠りをしたことで全てを失う裁判官を描く「密室の人」。いずれも派手さはないものの、物語の緊張感があって、一気に読んでしまいました。二転三転するストーリー展開はほんとにうまいです。
 「陰の季節」と2冊続けて読みましたが、ほんとに評価が高いのわかります。事件を通して人間の生きざまを描くという点が徹底されているなと感じました。

さくら > ミステリーとしてはちょっと甘いですが、人間ドラマとして十分面白く読めました。ちょっとスッキリしないものもありましたけど・・。「密室の人」が一番好みでした~。 (2003/05/09 09:38)
まゆ > ミステリというより、サスペンスドラマって感じですよね。私はやっぱり「動機」がおもしろかったです。ほかの作品も早く文庫落ちしてくれないかな。 (2003/05/09 22:17)

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