荻原規子

2015年6月19日 (金)

RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと

2311「RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと」 荻原規子   角川書店   ★★★★

戦国学園祭で、その能力をあらわした泉水子。学園の皆がそれを知るところとなり、影の生徒会長・穂高は、世界遺産候補になる学園トップは泉水子と判定する。しかし、高柳一條がそれに異を唱え・・・。果たして泉水子と深行は、人類滅亡の未来を変えることができるのか。

最終巻です。戦国学園祭というとんでもない行事が終わったと思ったら、高柳との力比べやら、クリスマスパーティーやら、なんともせわしない学校です(笑) でも、そういう学園もののノリの部分は、泉水子と一緒に楽しんでしまえるので気が楽です。

泉水子(姫神)が抱えている運命があまりにも重すぎて、これにどうやって決着つけるんだろうと思っていたら・・・そういうことでしたか。ニンマリ。要するに、この物語は、泉水子の物語であって、泉水子と深行が人生のスタート地点にようやく立つまでの「はじめて物語」なのですね。これだけ話を広げておいて、泉水子に集約していくさまはいっそ爽快でした。なんというか・・・「ひとりひとりの存在」の大切さを実感させられました。

それに、この後、彼らがどうなっていくんだろう・・・と、いろいろ想像を掻き立てられました。本を読んでこういう感じになったの、久しぶりです。

ただ、「三人寄れば、物語のことを」を読んでなかったら、こんなふうに肯定的に読めなかったかもしれません。なんだ、この少女漫画はー!という読み方をしてしまったと思います(苦笑) あの鼎談で「RDG」の良さをわかりやすく解説してくれていたので、このラストで本当によかったと思えました。

しかし、泉水子と深行がどうなるのかと思っていたら、そうきましたか! やるねえ、深行くん(笑) そして、大人パートのかっこいいこと。紫子と大成と雪政の三角関係って・・・。この三人の若い日の物語を読みたいものです。紫子は、人類の未来のためというより、自分の娘のために、ふつうの母親としての生活は手放したのですね・・・。「強いけど、痛ましい」という表現が出てきましたが、まさにそう感じました。

2015年6月15日 (月)

RDG5 レッドデータガール 学園の一番長い日

2308「RDG5 レッドデータガール 学園の一番長い日」 荻原規子   角川書店   ★★★★

泉水子に憑いている姫神は、二度の人類滅亡を経験し、今が三度目の転生だという。あまりのことに茫然とする泉水子だったが、学園はいよいよ「戦国学園祭」を迎える。高柳や真響たちの思惑が入り乱れる中、泉水子は高柳の術中にはまってしまう。それに怒った泉水子は・・・。

とうとう学園祭です。もちろんお話だからできてしまう戦国コスプレ文化祭なんですが、違和感なく読めてしまうところがすごいです。

そして、泉水子と深行の関係も、いよいよ・・・という感じですね。ただ、泉水子の抱えているものが大きすぎて、深行、どうするよ?という。真響たち宗田三姉弟の関係性もなんだかひと段落したみたいで、そっちはちょっとホッとしました。

しかし、今回ウケたのは、白い犬! そうかあ、泉水子の中では、きっと高柳は血統のよい白い和犬なのですね(笑) いやもう、それでもえらそうな高柳がおかしくて。深刻な場面でも、白い犬が出てくるとなんだか笑ってしまうのでした。

さて、残すところあと1巻。どんなふうに決着するのか、楽しみです。

2015年6月 5日 (金)

RDG4 レッドデータガール 世界遺産の少女

2302「RDG4 レッドデータガール 世界遺産の少女」 荻原規子   角川書店  ★★★

戸隠での出来事をうまく消化できないまま、泉水子と深行は2学期を迎えた。文化祭の準備に執行部は忙殺されるが、その中の着付け講習会で泉水子はモデルを務めることに。そして、講習会が終わったあと、泉水子は姫神に・・・。姫神とともに城跡を訪れた深行は、姫神の正体を知らされる。

姫神の設定のスケールの大きさと、その哀しさに圧倒されつつ、泉水子と深行がお互いにビシバシ相手を意識しつつ、全然進展しない少女漫画状態にニマニマしてしまった4巻です(笑)

最初に読んだときには、その辺をどう受け止めていいのかわからず、ちょっと引いてしまったのですが、「三人寄れば、物語のことを」を読んで、なんだ、それを楽しめばいいんだと開き直ったので、楽しかったです。きっと、荻原さんも書いてて楽しかったでしょうね、これ。

泉水子を取り戻すために抱きしめてしまった深行。それに気づいた泉水子の動揺と、真響の追求が、個人的にはツボでした。戦国文化祭も、一條のたくらみも、なかなか興味深いのですが、このあと、泉水子と深行がどうなっていくのかが楽しみです(笑)

2015年5月15日 (金)

RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた

2290「RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた」 荻原規子   角川書店   ★★★

玉倉山を出て、鳳城学園に編入した泉水子。ルームメイトの真響やその弟・真夏といった友人もできて、生徒会にも入ってしまった。その生徒会の合宿を、真響たちの地元・戸隠ですることになり、泉水子は期待に胸をふくらませる。しかし、そこでは思いもかけない出来事が待ち構えていた・・・。

「三人寄れば、物語のことを」を読んで、やっぱり挫折した「RDG」読まねば・・・と、再チャレンジ。そもそも、2巻まで読んだのはいつのことだったか…と調べたら、5年前でした。さすがに記憶があやしかったので、1・2巻を斜め読みして、3巻に突入!

3巻は、宗田きょうだいが活躍というか、暗躍してました(笑) 高柳一條に対抗するために、生徒会を見方に引き入れようと画策する真響。生徒会長の仄香とも対立し、深行の力を試そうと無茶なことを仕掛けたり、なんだか怪しい人になってました。

一方、真夏も大きな危機に直面します。その原因は・・・三つ子の一人、真澄。幼いころ亡くなり、真響と真夏の呼びかけにこたえて現れる真澄は、実は・・・というお話。

そして、泉水子は、地味にひそかに(笑)成長しています。泉水子のいじいじぶりがうっとうしいのですが(笑)、深行がお気に入りなので、とりあえず良しとします。

全巻読み通さないと、本当のおもしろさは味わえない気がするので、今度は最後まで読み通します!

2015年3月29日 (日)

あまねく神竜住まう国

2257「あまねく神竜住まう国」 荻原規子   徳間書店   ★★★★

伊豆に流された源頼朝は、土地の豪族にうとまれ、命を狙われ、生きる希望も失いがちだった。そんな頼朝の前に、不思議な運命の糸で結ばれた草十郎とその妻・糸世が現れる。三人の若者の運命は・・・。

作者もあとがきでふれていますが、主人公は頼朝ですが、「風神秘抄」のその後の物語でもあります。「風神」を読んだのはずいぶん前なのでちょっと不安でしたが、読んでいるうちにどんどん思い出してきました。

頼朝はまだ10代半ば。英雄・義朝を父にもち、父や兄・義平のような荒武者でないことに引け目を感じていて、父がだまし討ちにあったことが心の傷になっている少年です。

当時の習いとはいえ、若くして戦場に出て命のやり取りをし、家族を失い、一人で雪の中をさまようという経験は、あまりに過酷だったのでしょう。生きようという強い意志を失ってしまっています。この少年・頼朝の設定が、すごく説得力がありました。そして、草十郎と糸世と出会い、頼朝の世界が変わっていくわけですが・・・。 

正直、私は頼朝にあまりいいイメージをもっていなかったのですが、これはすんなり受け入れられました。頼朝が、一人の少年としてまっすぐに描かれていたからだと思います。なんとなく、大河ドラマ「平清盛」での岡田将生演じる頼朝を思い出していました。

さて、草十郎と糸世は相変わらずというか(笑) 糸世っていいですね。生きるエネルギーに満ち溢れていて。そんな糸世に命がけで惚れられる草十郎は幸せ者です(笑) 「風神」で完結したわけでなくて、まだまだ二人が苦悩していたというのは、ちょっとつらかったですが、それも今回で幕を下ろしたようなので、ホッとしました。

ただ、荻原さんらしくないこの本の薄さは何事!?と思ってしまったので、★は4つ。もっと物語世界に浸っていたかったです。   

2015年3月18日 (水)

三人寄れば、物語のことを

2249「三人寄れば、物語のことを」 上橋菜穂子・荻原規子・佐藤多佳子   青土社   ★★★★

大好きな作家さん3人の鼎談集。買ってしまいました。

上橋さんの「守り人」、荻原さんの「RDG」、佐藤さんの「シロガラス」について、お三方が語り合うという、とっても豪華な一冊。やはり作家ならではの視線があって、すごくおもしろかったです。

各章のタイトルがなかなか素敵で。

 Ⅰ「こちら」と「むこう」が出会うときー物語の生まれる場所(上橋さん)

 Ⅱ物語を紡ぐ女神ー世界の襞へわけいる力(荻原さん)

 Ⅲ乱調が織りなすリアルー子どもたちは<物語>と遊ぶ(佐藤さん)

それぞれの鼎談のテーマと、作家さんの特徴がビシッとまとめられていて、編集者さんのセンスに脱帽しました。

上橋さんはエッセイ集を去年2冊読んだので、なんとなく物語の背景もつかめていましたが、荻原さんや佐藤さんはこういうの初めてだったので、興味津々でした。私がそれぞれの作品のどこにひかれているのか、これを読んでよくわかりました。

佐藤さんの「シロガラス」も読んでみたいし、何より「RDG」は途中でリタイアしているので・・・うーん、やっぱり読みたくなってきました。

2014年3月 9日 (日)

源氏物語 紫の結び 三

2101「源氏物語 紫の結び 三」 荻原規子   理論社   ★★★★★

荻原源氏「紫の結び」完結編。「若菜」から「雲隠」まで。

初めて、「源氏」を通読して(もっとも、枝葉にあたる部分や、宇治十帖は入っていないので、原典の一部だということは認識したうえで)、なるほど、こういう物語だったのか、と。どちらかというと、源氏の君には興味がなくて、女人たちの方にスポットを当てていたのですが、やはりこの物語の主人公は光源氏なのだと、よくわかりました。

世の栄華の限りを尽くしたかのような主人公。しかし、彼はごくごく普通の人間なのです。そのリアルさはある意味恐ろしいほど。思わず「あんた、いい加減にしなさいよ!」と蹴りを入れたくなるような情けなさこそが、この物語を読ませるもとなのでしょう。そうでなければ、ただのおとぎ話です。なんというか・・・物書きの視線というのは、容赦なく冷徹で、少々あたたかくて・・・それは現代でも古代でも、何も変わらないのですね。

また、紫の上に関する荻原さんの考察(あとがき)には、深く感じるものがありました。なるほどね・・・。それにしても、源氏ってやつは・・・。

原典や谷崎源氏、与謝野源氏などを読破された方には、荻原源氏は邪道な口語訳かもしれません。しかし、こうすることで、見えてくるものもあるのです。あらためて、「物語を読む」ことを考えさせられました。

荻原さんは、今回カットした部分をまとめた「蔓花の結び」「宇治の結び」も編んでみたいとのこと。ぜひ、お願いしたいものです!

2014年2月22日 (土)

源氏物語 紫の結び 二

2097「源氏物語 紫の結び 二」 荻原規子   理論社   ★★★★

「荻原源氏」第2巻は、「澪標」から「若菜上」の途中まで。光源氏が栄華を極めたのち、女三の宮を妻とするまでが描かれます。原典の「玉蔓」十帖や「蓬生」「関屋」といった、源氏の生涯の本筋に関わらない部分は省かれています。

2巻目に入り、文章の運びにも慣れたせいか、サクサク読めました。それに、おもしろい。源氏の君はどうにも好きになれませんが(現代人の感覚で読んじゃダメなのはわかりますが・・・)、紫の上とのやりとりや、他の女人たちとのあれこれが、「ああ、こういうことを言っていたのか」と。

また、夕霧が幼馴染のいとこ・雲居雁との恋を実らせるまでの過程も、物語として単純におもしろかったです。

荻原さんは、「若菜」にたどり着く前に読むのをやめてしまう人が多いことを嘆いていますが、これならいけます! ぜひぜひ、たくさんの人に読んでほしいものです。

2014年2月15日 (土)

源氏物語 紫の結び 一

2094「源氏物語 紫の結び 一」 荻原規子   理論社   ★★★★

荻原源氏は、物語の枝葉の部分を取り除いて、「桐壷」の次に一気に「若紫」に飛びます。これは、荻原さんのある考えにのっとったものです。確かにこうすることで、光源氏と藤壺の宮・紫の上・明石の君という3人の女人との物語がわかりやすくなりました。

今まで、源氏には何度かチャレンジして、そのたびに挫折した私・・・。原典のみならず、現代語訳でもダメでした(涙) でも、これならいけます! 源氏の世界の文章の流れの感覚も失わず、でもわかりやすく・・・。原典を読みこなせる人には物足りないのかもしれませんが、私には再チャレンジするのにちょうどよかったです。

ただ、一つ残念だったのは、和歌もすべて訳していたこと。あくまで流れを止めないための選択だったようですが、和歌だけはそのまま残してもらいたかった! ま、あとで原典にあたればいいのですけれどね。

2010年12月14日 (火)

ファンタジーのDNA

1630「ファンタジーのDNA」荻原規子   理論社   ★★★★

「空色勾玉」の作者によるwebエッセイをまとめたものです。荻原さんご自身が読んできたファンタジーについての話。ファンタジーに関する考察。創作にまつわる話などなど。

荻原さんのファンならもちろんのこと、そうでなくてもファンタジーに親しんできた人なら楽しめる内容です。

私は以前「本のプロ」で『ファンタジーは苦手です』と公言していましたが、みなさんのファンタジーを読んでの感想があまりにおもしろそうなので、上橋菜穂子さんや小野不由美さんなど、和物ファンタジーを中心に読み始め、いつの間にか「ファンタジー苦手」の看板は下ろしてしまったという過去があります(笑)

そんな私ですが、荻原さんの「勾玉三部作」はしっかり読んでいました。なにゆえそうだったのか・・・これを読んで、謎が解けました。荻原さんの物語へのアプローチの仕方、その元になった読書体験が非常に似ているのです。そうそう!と相槌を打ちたくなることがたくさんありました。学校現場で奨励されている「朝の10分読書」なんて耐えられないというのも、まったく同感(私の立場上、あまり大声では言えないのですが)。

ただ、「似ている」であって、「同じ」ではないのです。というのは、私は残念ながら「ナルニア国」も「指輪物語」も挫折したクチなので・・・。そして、ダイアナ・ウイン・ジョーンズもやっぱり苦手なのでした(苦笑) しかし、苦手な理由もわかった気がします。そういう意味では、これは読んでよかった!

ほかにもいろいろ興味をひかれる点がたくさんあって(「赤毛のアン」に関する話とか、「バンビ」のこととか)、繰り返し読みたい気分なので、いずれ購入しちゃおうと思います。

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