よしもとばなな

2011年3月22日 (火)

どんぐり姉妹

1674「どんぐり姉妹」よしもとばなな   新潮社   ★★★

「私たちはどんぐり姉妹です。ネットの中にしか存在しない姉妹です。私たちにいつでもメールをください。時間はかかっても、お返事をします。」・・・人々のやり場のない気持ちを受け止めて、返信する。そんなサイトを開設しているどん子とぐり子。幼い頃に両親を失った二人は、メールをくれる人たちを癒しつつ、自分たちの心も癒していく・・・。

よしもとばななを読むのは久しぶりです。これは出た当時からチェックしていたのですが、先日、図書館でゲットしました。

図書館には、震災後初めて、借りっぱなしにしていた本を返しに行きまして。館長さんが以前お世話になった元校長先生なので、ちょっとご挨拶をして、こんな非常事態だし、借りていっても読めるか、いつ返しに来れるかわからないので、今日は借りないで帰ります・・・と言ったら、「借りていきなさい」と。「本を読むのが好きなんだから、少しでも読んだ方がいい。返すのは遅くなっても仕方ない。確実に返却してくれれば、それでいいから」・・・ありがたかったです。で、これを借りてきました。

昨日読み終えた「天平の甍」に比べたら、読みやすいこと(笑) 小説というよりは、散文詩、あるいは歌のような文章ですね。

ネットだからこそ、言えること。もやもやしたものを吐き出してしまいたいけれど、そのあてがない時。身近な人だからこそ、言いづらいこと。それをキャッチしてくれるのが、「どんぐり姉妹」。姉が返信を書き、妹がデータ管理をして・・・決して長くない、淡々としたメールを返すだけなのだけれど、それで何かが確実に癒される気がするのは、わかります。実際、私もネットでのお友達に助けられることが多いので。

ただ、それはどんぐりたちにとっても、実は必要な活動で。ばななさんの物語には、大切な人の喪失と、そこからの再生がよく描かれますが、これも例外ではなく。幼くして両親を事故で亡くした姉妹は、その後の人生でも大事な人たちの死を何度か経験します。何より、二人は「子ども時代」を失ってしまい、30代になるまでずっと、無意識のうちにそれを取り戻そうとしてきたようなところがあります。しかし、徐々に大人の時間が近づいてきていて、どうやら二人はまたそれぞれに、新しい時間を歩きだしそうな気配で、物語は幕を閉じます。

人と人との不思議なつながり。それは、ネットにおいても同じで、そうなるべくしてそうなっていく・・・そのサインを、人が見逃さなければ、きちんとつながっていくのだというのは、ものすごく観念的ではあるけれど、わかる気がします。

途中に挟み込まれている写真が、とても素敵でした。思わず、切り取って、部屋に飾っておきたくなるくらいに。

2007年11月 5日 (月)

まぼろしハワイ

1207「まぼろしハワイ」よしもとばなな   幻冬舎   ★★★★

 父を亡くしたオハナは、父の奥さんだったあざみさんと、ハワイにやってきた。父の思い出がたくさんあるハワイ。自殺した母との思い出があるハワイ。あざみさんの育ての親がいるハワイ。まぼろしのように美しい島で、オハナは夢のようにゆったりとした時間を過ごす。

 表題作のほか、「姉さんと僕」「銀の月の下で」を収録。

 ばななさんの作品には、海外を舞台にしたものも多いけれど、これはいずれもハワイが舞台。何かを失った人たちが、南の島で、泣いたり笑ったりして、心を満たしていく物語。

 私はハワイに行ったことがないけれど、南の島の開放感とか、この世のものとは思えないほど(そう、「天国ってこんな感じ?」と思う)美しい景色とか、その中にいて、気持ちが恐ろしいほど純粋になっていく感じは、わかります。私のそういう経験は沖縄で・・・ハワイとはまた違うんだろうけど。

 だから、この物語に登場する人たちが、日常では有り得ない気持ちの変化を経験するのって、わかるような気もするし、すごくあこがれる部分があるのです。

 ばななさんは、5年かかってこの短編集を完成させたらしい。実際に、何度もハワイに足を運んで。だから、ここに描かれているハワイは、ものすごく説得力があります。

 ばななさんの小説を読むと、いつも「ああ、またこのパターンか」と思ってしまうところがあって。でも、それをすごく求めている自分にも気がつくのです。たとえば、オハナのこんな言葉を。

「もしかして、人ってそういうものなんじゃないの? どこまでもひとりぼっちだけれど、どこまでもだれかといっしょにいられるんじゃないの? そういうふうにうつくしくつくられているんじゃないの?」

2007年10月 8日 (月)

ハチ公の最後の恋人

1198「ハチ公の最後の恋人」吉本ばなな   メタローグ   ★★★★

 真夜中のドーナツ屋で、ハチと出会った。家にいられなくて、ハチの家に転がり込んだけれど、ハチの恋人だった人は死んでしまった。「あんたはハチの最後の恋人になる」・・・おばあちゃんの予言に導かれるように、再びハチのもとへ向かったが、ハチと一緒にいられるのはあと1年しかなかった。

 図書館で書架をボーッと眺めていて、ふと気づいたのです。これ、読んでないや・・・。ばななさんの13年前の本。その頃までのは、ほとんど読んだつもりでいたのですが。

 力のあるおばあちゃんを教祖として、家が宗教をやっているマオ。母親は教団の運営にかかりきりで、父親が誰かもわからない。自分を守るために、心をバラバラにしてかろうじてバランスを保っているマオ。そんなマオが、きちんと世界に向き合えるまでが、ハチというちょっと風変わりな男との恋を通して描かれます。

 ばななワールドとも言うべき世界観と文章表現が満載で、詩を読んでいるような気分でした。さらさらと流れていく物語ですが、ばななさんがこの世界で生きていくことを愛していること・・・その大切さを強く強く訴えているのが伝わってきて、ちょっとうるっときました。祈り、とでも言ったらいいんでしょうか。じわっとしみてきました。

「なんでこんなにすばらしいことをみんな、毎日してるのに、みんな特別には幸せそうじゃないの?」

 マオの言葉が心に残りました。

2007年3月 8日 (木)

ひとかげ

1089「ひとかげ」よしもとばなな   幻冬舎   ★★★★ 

 子供時代の暗い記憶を抱えて生きる「とかげ」と、「私」。互いにしがみついているようなふたりを描く、『とかげ』のリライト版。

 『とかげ』は、以前に読んだ時、ものすごく好きな話ではなかったです。同じ文庫に入っていたほかの短編の方が印象的で。でも、不思議なことに、後で思い返してみると、記憶に残っているのは『とかげ』の方だったりするのです。それだけ、物語のそこかしこに、記憶にひっかかる「何か」がちりばめられている・・・そんな作品でした。
 それをばななさん自身がリライトした、というので、「え?なんで?」と思っていたのです。なぜわざわざ?と。
 確かに、以前に書いたものの粗が見えるということはあるでしょう。でも、同時に当時でないと書けないものもあるはずで、私は安易なリライトには反対なのです。
 ばななさんは、そういう声も覚悟した上で、『とかげ』を「いい小説」と評価し、以下の点をポイントにして書き直したのだと言います。

「おばさんになってからの私は、主人公の職業意識が甘いと感じました。それから、ふたりの過去の体験が誇張されすぎているな、と感じました。若さゆえの極端を好む書き方です。
 彼らがつらい体験から何を学び、なぜ今もつらい人たちと関わり合っているのか、なぜお互いの暗さに耐えられないと思いながらも、ふたりはしがみついているのか。」

 読んでみて一番感じたのは、書き直したことによって、この物語は「開いた」ということです。『とかげ』は、ものすごく「閉じた」世界で物語が展開します。以前は、その狭い世界で主人公二人がギュウッと抱き合っているような感じが、それなりに好きでした。でも、『ひとかげ』は、自分の中に閉じこもるだけを良しとしない「とかげ」たちの、闘いの物語にもなっていました。今の私には、『ひとかげ』の方が好きだし、ばななさんが書き直した意図がわかる気がします。
 おおげさに言えば、書き直すことで、この物語はより普遍性を得たのではないでしょうか。
 ただ、『とかげ』の方がやっぱり好き、という人もいると思います。この本には、『とかげ』も併録されています。やはり、『とかげ』にもすてきな表現や、ばななさんらしい感性があふれていて、これはこれで当時のばななさんだから書けた素敵な小説なのは事実です。
 『とかげ』と『ひとかげ』、読み比べてみるのをおすすめします。
  

2006年8月30日 (水)

アルゼンチンババア

1017「アルゼンチンババア」よしもとばなな   幻冬舎文庫   ★★★

 町外れの廃屋みたいなビルに一人で住んでいるアルゼンチンババア。町の有名人の彼女と父がつきあっていると聞き、アルゼンチンビルを訪ねたみつこが目にしたものは・・・。

 なんとも「よしもとばなな」らしい物語。もっとも、ばななさんは終始一貫して、こういう世界を描いているのだけど。
 母を亡くしたみつこの大きな喪失感。母の臨終に立ち会えなかった(立ち会わなかった)父へのかすかなわだかまり。そういったものが、物語のスタート地点。みつこはずいぶん前向きでしっかりしているようだけど、実は彼女自身それほど割り切っているわけでもなくて、その葛藤が「アルゼンチンババア」ことユリと出会って、解きほぐされていく・・・というお話。
 気高く、揺るぎない精神をもち、温かく人を包み込むユリに、みつこもその父も癒され、自分自身の生き方と向き合っていくという展開は、ばななさんお得意のパターン。それを読んでいて「ああ、いいなあ」と思うということは、私自身もそういうものを渇望しているからなのでしょうね。
 立ち止まったり、振り返ったり、うとうとしたり・・・というのは、実は私は苦手です。でも、今の世の中、自分をいたわってあげることが下手な人の方が多いのかもしれません。だから、ばなな作品が読み続けられるのかも。

「好きな人がいつまでも、死なないで、いつまでも今日が続いてほしい」・・・ユリのこの言葉が心にしみました。

2006年1月 8日 (日)

王国 その3 ひみつの花園

921「王国 その3 ひみつの花園」よしもとばなな   新潮社   ★★★★

 雫石が住んでいたアパートが火事に遭った後。恋人の真一郎と一緒に住む部屋を捜し始めた雫石だったけれど、なぜか気が乗らない。思えば、それが別れの始まりだったのだ。

 「その2」がどうにも話に乗り切れなかったので、もう読むのはやめようかと思っていたのですが・・・やはり気になって図書館で借りてきました。
 今回は、雫石と真一郎の別れの話。これは、意外なほどに効きました。
 たぶん、「別れ」を経験したことのある人なら、共感できる部分がすごく多いのではないでしょうか。ただ、雫石は悪あがきをしているようでいてすごく冷静で、自分のことを一歩ひいたところから眺めているような客観性があります。私なんか、渦中にいると冷静さのかけらもないお馬鹿さんになってしまうので、こんなふうに考えられないけれど。
 もう一つ、私がすごく共感してしまったのは、失恋した雫石が台湾に行って、パワーを充填してくるところ。似たようなことをしたことがあったので(台湾じゃないけど)。なんというか、わかるなあ、その感じ・・・という。
 非常に個人的な理由ですが、なかなかおもしろかったです。
 高橋くんが創った庭、見てみたいなあ。

2005年5月 2日 (月)

High and dry(はつ恋)

789「High and dry(はつ恋)」よしもとばなな   文藝春秋   ★★★

 14歳の夕子は、絵画教室の先生のキュウくんに恋をした。それが、夕子のはつ恋。キュウくんと過ごす日々が、夕子の世界を少しずつ変えていって・・・。

 これが今ごろ「新刊」として入るところが、相変わらず謎な地元図書館・・・。でも、ずっと気になっていた本なので、読めてうれしい。
 さて。14歳の夕子の「はつ恋」物語。と言っても、「世界に二人だけ」みたいな感じじゃなくって、夕子はキュウくんと彼を取り巻く世界に、かなり冷静に向き合います。そんなに冷静でいいのか? 普通、もっと舞い上がるだろう?と思ってしまいましたが(自分がすぐ舞い上がる性質だから?)。
 でも、すごく懐かしい感じがしました。初めて恋をして、他人と向き合うことで、世界が変容していくあの感じ。ああ、そうだったよねえ、と。それまで主観でしか見ていなかった世界が、違うものに見えてくるような・・・。夕子はキュウくんを通して、自分の両親のことや、自分自身のこと・・・今まで気づかなかったことに目を向けるようになっていきます。そういう意味で、「はつ恋」は、初めて外の世界に触れる機会なのかも。
 私としては、キュウくんのお母さんがかなり好きです。世間の基準から見れば規格外なんだけど、純粋で、正直に生きている感じが。

イギー > まゆさんこんにちは♪これ表紙がすごくかわいいですよね(^^) まだ読んではいないのですが、初恋の味を思い出しそうで楽しみのような、切ないような・・。 (2005/05/03 16:47)
たばぞう > 私も「舞い上がるのが普通だよ」と思っちゃいました(笑)。14歳でこんな素敵な大人と付き合えるなんて、ある意味14歳の理想だし。この夕子の冷静さ、大人から見たいい子ちゃんな理想の姿かな、なんても感じたりしました。 (2005/05/03 18:49)
まゆ > イギーさん、表紙は書店でも思わず目がそこにいってしまうようなインパクトがありますね。初恋といっても、一人で恋焦がれるというより、好きな人とちゃんと向き合う・・・という感じです。 (2005/05/04 18:09)
まゆ > たばぞうさん、10歳以上年上の「好きな人」と、ちゃんと一対一で向き合えるところが、ひどく大人びて見えますよね。なんか、自分が恥ずかしくなっちゃいます(苦笑) (2005/05/04 18:11)

2005年2月18日 (金)

なんくるない

749「なんくるない」よしもとばなな   新潮社   ★★★★

 離婚してから1年経った頃、ようやく生活は落ち着いてきた。けれど、心には空っぽな部分が。家にあるガジュマルの木に導かれるように、沖縄に向かった桃子は・・・。

 表題作を含む4編の短編集。
 いずれも「観光客」の視点で沖縄を描いた作品集。
 この「観光客の視点で」というのが、心地よかったです。知ったかぶりしない。説教くさくもない。そうそう、そうだよね・・・と思いながら、沖縄の空気を思い出していました。
 私もそれほど沖縄に詳しいわけではないですが、あの空気に触れいていると、自分の中の凝り固まったものがするするとほどけていくのを感じます。キリキリとしていたものが緩んでいくような、そんな感覚。人が忘れかけているものがそこにある、という感じ。何故沖縄?と思うのですが。
 表題作「なんくるない」。作者が「失敗作」というこの物語は、確かに散漫な感じもするけれど、自分を取り戻していく桃子の姿に惹かれるものがありました。
 いちばん印象的だったのは、「ちんぬくじゅうしい」。家族というものについて考えさせられるとともに、沖縄の空気をいちばん強く鮮やかに感じました。

たばぞう > 沖縄フリーク(?)のまゆさん、遂に読まれましたね。観光客の視点で書かれたこと、私も控えめでいいなぁと思いました。今、石垣島出身の作家が書いた小説を読んでいます。すごーい長いので、アップにはもう少しかかるかしら?。とても面白そうな予感がします。 (2005/02/19 12:05)
のろのろ > こんにちは。ここでははじめまして、ですね(ちょっと照れてます)。
私も「なんくるない」大好きです。去年のばななさんの本はどれもとてもよかったのだけれど、ベストは「なんくるない」でした。
表題作の桃子さん、沖縄に行ってからの行動がすごいですよね。沖縄に行ったことがない母は「あんなに暗かった人があんなことするかしら」と言っていましたが、沖縄に行ったことがある人なら納得かも。それだけの力がある場所だと思います。
「癒し」とか単純な言葉では括れない力。
「ちんぬくじゅうしい」は最初の場面の描写で、やられますよね、ああ沖縄だあ、と。 (2005/02/19 20:28)
まゆ > たばぞうさん、ようやく読みました。来てくれてありがとうです。「観光客」として、変にテリトリーを越えようとせずに書いたのが、とてもいい味を出してるなあと思いました。たばぞうさんが読んでるの、何だろう。感想アップ、楽しみにしてます。 (2005/02/19 20:39)
まゆ > うわ、のろのろさん!ビックリした~!!ようこそいらっしゃいませ。「あんなに暗かった人が」するんですよね、沖縄行くと。私は桃子の行動、気持ちの変化、すっごいよくわかりました。トラちゃんみたいな人には会えなかったけどね(笑)でも、ああいうダメ男もいいなあと思うですよ。 (2005/02/19 20:42)
ハイジ > まゆさん、私も実は沖縄移住希望者だったりします。いいとこもよくないとこもひっくるめてあの沖縄の空気が大好きで。自分、もうダメだという限界にきたら沖縄でイチからはじめようと堅く決意をしておる次第です!「ちんぬくじゅうしい」よかったですよね。きっと大丈夫、という言葉が胸に染みます。 (2005/02/20 00:21)
まゆ > おお、ハイジさん!そんなあなたには「住まなきゃわからない沖縄」(私の日記、696にアップしてあります)をおすすめいたします。私もこのまま年をとったら、将来は沖縄で暮らそうかな~と考えています。誰も信じてくれないけれど、けっこう本気で考えてます。 (2005/02/20 01:16)
あっちゃん > まゆさんレスありがとうでした!この本は、ばななわーるどと、沖縄、ってエッセンスの見事なコラボレーションなんですねー。そっかー、桃子の行動は流れなんですねー。ちょっとご都合ぽくとってしまった自分を反省します(汗) (2005/02/22 13:32)
まゆ > あっちゃんさん、こっちにも来てくれてありがとう。反省する必要ないですよ。私はたまたま沖縄行ったことあるので、あの「場」のもつ力を知っていたというだけ。だから桃子の心境が変化していくのも、すごくわかる気がしただけです。人によって感じ方はさまざま。だから、それでいいんですよ。 (2005/02/22 23:25)

2004年2月 4日 (水)

王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法

443「王国 その2 痛み、失われたものの影、そして魔法」よしもとばなな   新潮社   ★★★

「私のためだけに生きるのなら、私はすごく小さい。でも、私を必要としている人がいるから、私はひとまわり大きな力が出せるし、出したいと思うのだろう。」

 山から下りた雫石は、町で暮らし始めるが、退屈と寂しさに押しつぶされそうになっていた。恋人の真一郎の離婚は成立したけれど、それでも雫石の寂しさは消えることがなく・・・。

 「その1」が出たのが2002年の9月。ずいぶん間があいたので、内容を思い出すのにちょっと苦労しました。
 人を癒す力のある薬草茶を作ることができる雫石の物語。「その2」では、生活が激変した雫石のとまどいと、彼女がなんとかこころを軟着陸させるまでを描きます。
 正直言って、雫石の内面の物語中心に展開するので、なかなか読むのがつらかったです(特に最初の30ページ)。何かが起こるわけでなく、観念的なことが綿々とつづられるのは、ちょっと苦手なのです。
 それに、はっとさせられるフレーズや、心に響く言葉が随所にあって・・・というかありすぎて、かえって一つ一つの印象が薄れてしまいました。なんだかとっても残念。
 でも、ラストがけっこう好きだったので、星3つ。「その3」は忘れないうちに出るといいなあ。 

ハイジ > 私もこれ、明日入手予定です。けれども、忘れている…なんだか、その間に出ましたものね、ばななもの。その1を再読してから、読んだ方がいいような気もしてきました。アロエの話ですよね… (2004/02/04 21:07)
トントン > 王国1を買ったので2も買おうと思っています。でもあまり印象に残ってないかも・・・おばあちゃんが出てきましたよね!忘れかけているので再読してから買いたいです。 (2004/02/04 21:45)
まゆ > ハイジさん、サボテンが出てくる話ですよ~。アロエは「体は全部知っている」に出てきたんじゃなかったかしら?
トントンさん、おばあちゃん、出てきます。不思議な力をもった人。外国に行っちゃったので、今回はメールでの登場です。
これから読む人には、ぜひ1を再読することをおすすめします。最初とっつきにくく感じたのは、1のストーリーを忘れかけていたせいかもしれません。 (2004/02/04 23:10)
たばぞう > 図書館に予約しました。早めの予約のつもりなのですが、すぐに読めるかなぁ。 (2004/02/05 00:34)
まゆ > 早く読めるとよいですね。1のストーリーはおさらいしといた方がいいですよ~。 (2004/02/05 20:06)

2003年10月 8日 (水)

N・P

349「N・P」吉本ばなな   角川文庫   ★★★

97の短編が収録された「N・P」。著者の高瀬皿男は自殺し、98話目を翻訳しようとした人たちもまた自ら命を絶っている。
 そんな翻訳家の一人、庄司とつきあっていた風美は、彼の死後数年たったある夏に、高瀬の遺児たち・・・二卵性双生児の咲と乙彦と出会う。さらに、彼らの異母きょうだいの萃にも。その時から、風美にとって忘れられない夏が始まった。

 展開はひどく断片的なのだけれど、不思議と印象的な物語でした。近親相姦というへヴィなテーマでしたが、奇妙な透明感がある話。
 生きることにとっても不器用な人たちが、泣いたり笑ったりしながら、どうにかこうにか生きる術を見つけていく、そんな話です。
 わりと限定された人間関係の中に、ばなな作品のいろんなモチーフが詰め込まれていて、ばななさんがすごくがんばって書いた作品なのだなあというのが伝わってきます。
 萃のめちゃくちゃであぶなっかしいんだけど、妙にたくましいところが、けっこう好きでした。

りよ > こんばんは。不思議な話ですよね。奇妙な透明感よいう表現は上手いと思います。ちょっとミステリアスな作品に挑戦したんだな~と思いました。 (2003/10/09 00:57)
あしか > 吉本ばななさんにしてはちょっと変り種のようですね。生きる事に不器用というのは持ちネタって感じもしますが。ばななさんは最近敬遠気味だったのですがちょっと興味が湧きました。 (2003/10/09 01:01)
ココ > この頃までのばななさんがとても好きです。特別な能力を際立たせなくても魅力のある登場人物たちがとても良いです。 (2003/10/09 09:45)
まゆ > りよさん、ありがとうございます。言葉ではなんとも表現しきれない、不思議な感じのする物語でした。
あしかさん、変り種というより、ばななさんのいろんなテーマがぎゅぎゅっと詰め込まれている感じです。ただ、あんまり宗教っぽい感じはしません。
ココさん、初期作品は読んでいるのですが、なぜかこれは未読でした。私としては、もうちょっと咲を書き込んでほしかったかなあ。 (2003/10/09 19:09)

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