乙一

2007年8月 2日 (木)

銃とチョコレート

1153「銃とチョコレート」乙一   講談社   ★★★

 リンツは、父の形見の聖書から奇妙な地図を見つけた。それは、怪盗ゴディバのものらしく思われた。リンツは、ゴディバを追う探偵ロイズに手紙を書くのだが・・・。

 乙一の小説も久しぶり。1年以上積読してました。ミステリーランドです。
 乙一にしてはまっとうなお話になってるじゃない・・・と読み進めたら。やはり、乙一でした。途中から全てが暗転したかのように、ダークな部分全開。いいのか、子どもにこんなの読ませて・・・。
 それでもまあ、最後はそれなりにまとめて、一応大団円、なのかな?という感じでした。
 ミステリとしては可もなく不可もなく。後半からの二転三転する展開が、サスペンスとしてはおもしろかったです。ゴディバの正体は予想通りでした。
 登場人物の名前とか、こだわり方が乙一らしいです。
 さて、乙一本、まだまだ積読してます・・・。いつ読めるかなあ。

kanakana > こういう遊び心、大好きです>登場人物の名前 子供向けなのに、迫害のシーンで手を抜かないのはさすが乙一だなと思いました。
積読って、すごく贅沢ですよ♪私は図書館派なので(っていうかお金がなくって)、手にしたら「読まなきゃ」って感じです。。。 (2007/08/03 01:03)
めみ > 母親のイラストが恐怖でした・・・。ロイズとドゥバイヨルのキャラの意外性が良かったです。そうくるか!と驚きました。
まゆさん、購入されたのですか?ミステリーランドは高価すぎて、私は手が出ませんよ~。 (2007/08/03 14:32)
まゆ > kanakanaさん、子供向けだからって変な妥協をしてない描写が、乙一らしいですよね。地元図書館になかなか読みたい本が入らないので、つい買っちゃうんです。そのくせ読まずに積んどくんですよねえ(苦笑) (2007/08/04 23:07)
まゆ > めみさん、このイラスト、全般的に怖くないですか?子どもの頃だったら、きっと手に取らなかった・・・。このシリーズ、高いんですけど、どうしても読みたいものだけは買っています。この装丁も気に入ってるもので・・・。 (2007/08/04 23:08)

2007年4月28日 (土)

小生物語

1107「小生物語」乙一   幻冬舎文庫   ★★★

 これは現実なのか、それとも小説家の妄想か? 乙一のウェブ日記。文庫版書下ろし日記(?)付き。

 一時期、乙一にはまっていたものですが、最近は読んでないなあ・・・と思いつつ、手に取りました。
 なんというか、乙一っておもしろい。その思考の暴走具合というか。けっこうダークなんだけど、つい「ぷぷっ」と笑ってしまいます。
 本人曰く「この本に時間とお金を割くのはやめたほうがいい」。たしかに、何かの役に立つかと言われると、何の役にも立たないのですが(笑)そして、何がおもしろいかと言われると、微妙な感じなのですが。
 そういえば、乙一の「GOTH」も「銃とチョコレート」も、積読してたなあ・・・と、さっき気がつきました。さて、どこにしまいこんだかしら。発掘しなくちゃ。

めみ > 夜の路上での猫と飼い主のやり取りがとても印象に残っています。どれもシンプルだけれど、乙一らしい日記でしたね。文庫版には書下ろしがあるのですか!気になります~。 (2007/05/01 13:46)
まゆ > めみさん、私は筆者の注釈がツボにはまりました。特に、合コンについての。書き下ろしの日記ってのも妙ですが、あるんですよ。乙一さんのプライベートでは大変革があったようで。これって、事実なんですよね。 (2007/05/01 21:17)
めみ > あ、ひょっとして結婚報告っぽい内容でしたか?どうやら妄想では無いようです。ものすごいノロケたコメントをどこかで目にしました(笑)。意外でした。 (2007/05/02 13:05)
まゆ > めみさん、そうなんです。報告というか、いきなり「妻」という記述が登場して、ビックリしました。結婚されたの、知らなかったので。そっか、妄想じゃないんですね(笑) (2007/05/04 18:19)

2004年5月29日 (土)

暗黒童話

523「暗黒童話」乙一   集英社文庫   ★★★

 菜深は、事故で左眼と記憶を失った。眼球は移植したものの、記憶は戻らない。そして、移植した左眼が、かつての持ち主の記憶を菜深に見せ始める。その映像にひきずられるようにして、菜深は旅に出る。

 私がものすごく苦手なものに、生理的に嫌悪感を感じるグロい描写というのがありまして。これも読んでてめげそうになってしまいました(涙)
 ホラーといえばホラーなのですが、単なる「怖がらせ」ではなくて、妙な透明感といい、主人公・菜深の抱える不安や孤独といい、とっても乙一らしい物語に仕上がっています。
 ただ、ちょっと話が整理されていなくてわかりにくいところもあったかな・・・。
 例によってあとがきがけっこう笑えます。これが初めての長編だったのですねえ。
 しかし、グロいのなんだの言っても、また読んじゃうんだろうなあ。乙一、恐るべし。

さくら > 地下室・・想像出来ないですよね、気持ち悪かったです~。全体のからくりには見事ひっかかりました。 (2004/05/29 11:53)
たばぞう > 最後は「やられた~」と思いましたが、グロは気持ち悪かったです(笑)。 (2004/05/29 22:31)
北原杏子 > あとがきだけ立ち読みしてきました。ノベルズ版で読んでいたんで… 私も地下室の場面ではちょっと気持ち悪かったです。眼球の手術というのも想像しただけで怖かったです。話は面白かったですが。 (2004/05/29 23:42)
まゆ > さくらさん、あの地下室に閉じ込められてる人たちの描写で、ちょっと「ううっ」ときてしまいました。話そのものはおもしろかったんですが。
たばぞうさん、乙一って、けっこうグロいもの書きますよねえ。いつも「もうやめてくれ~」と思いながら読んでます。それなら読まなきゃいいのにねえ(苦笑)
北原杏子さん、あとがきの妄想には笑ってしまいました。カラスが眼を取りに来る夢を見そうで、ちょっと怖かったです。 (2004/05/30 18:00)
芳野 > 久しぶりにきました。覚えてらっしゃらないと思いますので、改めて挨拶します。私もこの作品を読んだとき、手術の過程など、もう体がどうなっているのか考えただけで気持ち悪くなってしまいました。あとがき、私も読みたいので本屋で立ち読みしてきます。笑 (2004/06/12 23:46)
まゆ > いえいえ、芳野さんおぼえてますよ~。以前にもレスいただきましたよね。お久しぶりです。これ、ストーリーはおもしろいのですけど、グロいの苦手なもので・・・。乙一はもうあとがき読むのが楽しみの一つになってます。 (2004/06/13 00:58)

2004年2月21日 (土)

失はれる物語

458「失はれる物語」乙一   角川書店   ★★★★

鳴海マリアが死んだ。彼女にほのかな思いを寄せていた恭介は、マリアの指を拾う。そして、彼女の死の真相に近づいていく。(「マリアの指」)

 スニーカー文庫に収録されていた表題作(原題は「失はれた物語」)をはじめ、「Calling You」「傷」「手を握る泥棒の話」「しあわせは子猫のかたち」に、書き下ろし「マリアの指」を加えた最新短編集。
 すでに文庫で読んでいたのですが、装丁があまりに素敵なのと、「マリアの指」とあとがきが読みたくて、図書館で借りてきました。
 あとがきによると「Calling You」「しあわせは子猫のかたち」、さらに「暗いところで待ち合わせ」が三部作であり、主人公に対する思い入れがあるのだそうです。ものすごく納得。これはテーマが共通してるなあと以前から感じていたので。
 人とうまく関われず、期待して傷つくよりはあきらめてしまおうという、いわば「精神的な引きこもり」に陥っている人間が主人公。だけど、そのひきこもりの強さに反比例して、本当は人とのふれあいを求めている・・・。私もそれにものすごく共感してしまう一人です。「しあわせは子猫のかたち」のラストシーンではまたしても泣いてしまいました。
 書き下ろし「マリアの指」はミステリ仕立てですが、やっぱり乙一らしい作品です。人を突き放しているようでいて、最後の1%で救いがあるというか。
 ところで、蔵書が増えすぎてとんでもないので、これからは図書館を利用しようと決心。で、第1弾でこれを借りてきましたが、あまりの装丁のこだわりように欲しくてたまらなくなっています。スニーカーで読んだみなさん、装丁だけでも一見の価値ありですよ~!

ココ > 乙一はグロいものばかり読んでしまい、今遠ざかっています。切なさの乙一と言われる作品を読もうとは思ってるんですけれども・・・。ところでこの本の装丁、書店でじっくり見ました。素敵でした~。思わず欲しくなっちゃいましたよ。でも図書館のコーティングは空気が入っちゃって難しそうです。 (2004/02/21 22:37)
流歌 > おお、早い!もう読まれたのですね~。やっぱりすっごい綺麗な装丁ですよね!装丁だけでなく、表紙を開いたところの鏡のような仕様(←説明下手だけど分かって下さい~)とか、角川書店のこの本への力の入れ具合が伝わってきました(笑)。 (2004/02/21 22:58)
まゆ > ココさん、これはおすすめ度高いですよ。スニーカーに入っていたものの中でも、私のお気に入りがつまっています。
流歌さん、鏡仕様、わかりますよ。細部にまでこだわって作られた本ですよねえ。作り手の本に対する愛情が伝わってきて、うれしくなっちゃいます。 (2004/02/22 00:29)

2003年6月28日 (土)

平面いぬ。

250「平面いぬ。」乙一   集英社文庫   ★★★

気まぐれで腕に入れてもらった犬の刺青。白い花をくわえた小さな青い犬にわたしはポッキーと名づけた。ある日、犬の鳴き声が聞こえ、気づくとポッキーはわたしの肌の上を移動していた。

 表題作「平面いぬ。」のほか、「石ノ目」「はじめ」「BLUE」を収録。(最初の題は「石ノ目」。文庫化にあたり改題)
 いちばん印象に残ったのは「はじめ」。子供の頃、自分の罪を隠すためにつくりあげた架空の少女・はじめ。それがいつしか存在するようになり・・・という話。ラストがなんともせつなくて、その辺の雰囲気が、のちの乙一作品につながっていったような気がします。
 「平面いぬ。」も絶対ありえない設定だったにもかかわらず(わたし以外の家族全員が、がんで余命半年と宣告される)、なんだか最後はジンときてしまいました。ありえないだろ、できすぎだろ、と思いつつ。こういうところが乙一のすごさですね。 

草月堂 > まゆさん、こんにちは。「平面いぬ。」は、始めのうち家族それぞれバラバラで利己的なのかと思ったら、最後にじわっときますよね。 (2003/06/29 20:03)
あさこ > 「石ノ目」改題の文庫版なんですね。私も一番「はじめ」が印象的でした。乙一作品はラストがいいですよね。 (2003/06/29 22:56)
まゆ > 草月堂さん、いらっしゃいませ。最初は「いやな家族」と思って読んでたのですが、最後の手紙にはグッときました。
あさこさん、「はじめ」もラストでやられました。乙一は落としどころを心得てるよなあといつも思います。 (2003/06/30 00:05)
れんれん > 息子に勧められ「はじめ」だけ読みましたが、「石の目」を中断したままになっています。早く読まなくては・・・ (2003/06/30 08:04)
さくら > 「BLUE」が一番印象的でした。あとがきで、書きながら気持ち悪くなったと書いてありましたが、何となく解るような気がするいいお話しだな~と思います。(でも乙一作品らしくないですよね)「BLUE」と「平面いぬ。」のリンクも面白かったです。 (2003/06/30 12:21)
まゆ > れんれんさん、「石ノ目」はどちらかというと「天帝妖狐」などの世界に近いものがありますね。4作の中でいちばんホラーっぽいかもしれません。
さくらさん、「BLUE」はブルーがあまりにも穢れがなくて、逆に読んでてつらかったです。 (2003/06/30 20:17)

2003年2月19日 (水)

さみしさの周波数

158「さみしさの周波数」乙一   角川スニーカー文庫   ★★★★

「自分の人生を、他のみんなと比べる必要はないよ」

 「お前たち、いつか結婚するぜ」…小学生のとき、そう予言された二人の、それからの人生を描く「未来予報」。
 盗みを働くため、旅館の壁に穴をあけて手を入れた「俺」は、とんでもないものをつかんでしまう「手を握る男の話」。
 映研の部室にあったフィルムに映っていた、この世ならぬ少女の素性を探るホラー&ミステリタッチの「フィルムの中の少女」。
 事故で右ひじから先の触覚以外の全ての感覚を失った男と、その妻との関わりあいを描く「失はれた物語」。

 個人的に好みなのはやっぱり「未来予報」。自分の行き方が定まらない焦燥感と、それが癒される過程を、乙一ならではのせつなさ感のなかで描く物語。この人の描き出す物語の空気が、私はどうやらすごく好きらしいです。
 「フィルム~」は、よくある怪談話かと思ったけれど、それだけで終わらせないところはさすが。語りが醸し出す緊迫感はみごとです。
 乙一の作品を読んでいると、人が人と関わるということについて考えさせられます。その難しさと、その大切さを。
 あとがきによると、しばらく新作は出ないようです。ちょっと残念。

やぶ > まゆさん、購入できて良かったですね。ジャンプ掲載中のマンガ「ジョジョの奇妙な冒険」のノベライズ版をゆっくり書いていきたいと雑誌で見たのでしばらく新作は出ないみたいですね。(ガックリ) (2003/02/20 23:53)
まゆ > そうなんです、やぶさん。やっと入手できたのですよ~。書店で見つけたときには歓声をあげそうになりました(笑)新作がとうぶん出ないのは寂しいですが、未読作品が文庫落ちするのを待って、ゆっくり読もうかなと。あまりにも一気に読みすぎたので。 (2003/02/21 00:14)
EKKO > 引用文が私と同じだ~♪私も「未来予報」好きでした。10代の頃に皆が感じる焦燥感をうまく描いていて、そこが共感を呼ぶのでしょうね。この頃は「比べる必要がない」と思えるようには、なかなかなれないものですよね。 (2003/02/21 12:56)
まゆ > 私はこの年になっても、「比べる必要がない」と達観できずにあがいています。だから、なんだか他人事とは思えなかったです。 (2003/02/21 21:09)

2003年2月 7日 (金)

死にぞこないの青

143「死にぞこないの青」乙一   幻冬舎文庫   ★★★★

「死よりもつらいことがあるのだ。そのことを僕は先生に教わった。」

 運動は苦手。人前に出るのも苦手。クラスの中で目立たない存在のマサオ。5年生になって、新しい担任の先生がやってきた。羽田先生は生徒にも大人気。ところが、マサオはなぜか先生に叱られてばかり。
 やがてクラスのみんながマサオに冷たくあたりはじめたころ、マサオの前に無気味な姿の「アオ」が現れる。その姿は、マサオにしか見えない。凶悪なアオは、マサオに復讐を説くのだが…。

 やっと入手しました。久々の乙一です。
 子供の世界における大人の絶対性。そこから生じる歪み。先生にいじめられるマサオの心理の変化は痛々しいものがあります。傷つけられる痛みから心を守るために、自分を貶めていくマサオ。傷を自覚し、「みんなと同じように扱ってほしい」と切望する(そんなあたりまえのことを!)マサオ。そして、自分を傷つけるものへ刃を向けるマサオ。
 その変化が、緊迫感をもって描かれていて、引き込まれるように読んでいました。切なさというより、やりきれなさを感じます。
 あとがきによると、「オチ」とか「感動」とか考えずに、書きたいものを書いたそうです。子供のころに感じた理不尽なものを思い出させられるような物語。
 ラストが、ほんの少し救いになりました。

やぶ > こんな先生いないですよね、というより居て欲しくない。読んでいて痛い部分が多くてまいりますよね。気持ちが落ち込んでいるときに読んだので、かなりブルーな気分になってしまった思いで深い本です。乙一はあと「暗黒童話」だけは気持ちが浮上しているときに読んだ方がいいかもしれません。 (2003/02/08 01:31)
さくら > 私もやっと手に入れたんです!まゆさんの日記を拝見して益々楽しみです。 (2003/02/08 09:29)
まゆ > いろんな意味で、身につまされる物語でした。いじめられるマサオの気持ちもわかるし、先生の弱さ・ずるさも私の中にあるものだから。あとは「さみしさの周波数」を読みたいのですが、こちらはいまだに手に入りません。 (2003/02/08 09:49)
れんれん > 先生も一人の人間ですが、やはりこんな先生はいてほしくないですね。 (2003/02/08 11:17)
まゆ > そうですね。でも、最近は教師の起こす信じられない事件も多いですね。冒頭に引用した文章の意味を考えると、本当にぞっとします。 (2003/02/09 17:32)
こうちゃん。 > はじめましてのこんばんは!まゆさん。
ちょいと(かなりかな)、自分先生と警察には厳しいかもしれません。あと森絵都さんのDIVE読んだんだ。いいなぁ。図書館で予約したんだけどさ、2を先に借りてもまったくしょうがないんだよなぁ。(;´д`)トホホ (2003/02/09 20:02)
まゆ > こうちゃんさん、こちらまできてくださってありがとうございます。
先生にいやな思いをさせられたという経験を持つ人、先生を信頼したことがないという人、私の周りにもいっぱいいます。私もけっしていい思い出ばかりがあるわけでもありません。でも、私は尊敬できる先生に出会えましたし、だから今の自分があるのだろうなと思います。こういう私は幸運なのかもしれないですね。こういう作品を読むと、では今の私はどうなんだろう。羽田先生みたいになってないかなあと、真剣に考えてしまいます。
ところで、「DIVE!」は、続き物なので、1巻から読まないと話が見えないですよー。ぜひ1巻も! おもしろさは保証します! (2003/02/09 20:11)

2003年1月15日 (水)

失踪HOLIDAY

116「失踪HOLIDAY」乙一   角川スニーカー文庫   ★★★★

ナオは大金持ちのお嬢様。けれど、父親とは血がつながっていない。そして新たにやってきたママハハと喧嘩したナオは、家出を決行する。ナオがころがりこんだ先は、使用人クニコの部屋。
 事はどんどん大きくなり、家出から狂言誘拐へと発展する。警察まで乗り込んできたこの出来事に、果たして決着はつくのか?

 乙一のスニーカー1作目。軽くて明るいタッチで、「天帝妖狐」とは全く異なる雰囲気です。事件そのものは、なんとなく先が読めるのだけど、初めは「かわいくないなー」と思っていたナオに、だんだん感情移入してしまうところがなかなかでした。最後の場面がすごく好きです。
 個人的には、併録の「しあわせは子猫のかたち」が好みです。人とうまく関われない主人公が、不思議な体験を通して、外の世界に心を開くという物語。こういうのを書かせたら、乙一は抜群にうまいです。この人の描き出すせつなさが、私はとっても好きです。 

さくら > これも先を越されちゃいました~。こっち読もうか「天帝妖狐」読もうか悩んで「天帝~」を先に手にとりました。まゆさんの感想見てこっちにすれば良かった!とちょっと後悔。良さそうなお話ですね。 (2003/01/16 09:28)
まゆ > 今まで読んだ乙一の中で、いちばん明るい話でした。サクサク読めましたよ。乙一、どっぷりはまってます。とりあえず、文庫化されているものは、制覇しようと思います。 (2003/01/16 21:30)
かの > まゆさんもすっかり乙一にはまってますね。私は図書館で借りたものから読んでいるので、文庫のほうが後回しになってますが、この本も面白そうですね。 (2003/01/16 21:38)
まゆ > スニーカー文庫ということで、やっぱり対象にしてる読者は若者なんだろうな~と思うのですが、じゅうぶんにおもしろかったです。まだ入手できないものもあるので、これから捜して読破します! (2003/01/17 00:19)
やぶ > まゆさんは「失踪HOLIDAY」の方から読んだんですね。私は「さみしさの周波数」を買ってきました。今読んでいる本と積読をいくつか崩したら読むつもりです。 (2003/01/17 01:05)
まゆ > 「さみしさ~」は地元書店にないのですよ。近いうちに大きな書店に捜しに行かねばと思ってます。早く読みたいです! (2003/01/18 00:29)

2003年1月 8日 (水)

暗いところで待ち合わせ

112「暗いところで待ち合わせ」乙一   幻冬舎文庫   ★★★★★

「一人で生きていけるというのは、嘘だった。」

 視力を失い、一人暮らしをしているミチルの家に、殺人犯として追われるアキヒロが忍びこむ。その気配に気づきながら、あえて知らないふりを続けるミチル。ひっそりと生活するアキヒロ。奇妙な暮らしをしながら、二人の距離は少しずつ縮まっていく。そして、殺人事件の真相が明らかになる日がやってくる。

 人と関わることが苦手で、一人で生きていくことを選んだミチルとアキヒロ。よく似た二人が、特殊な状況の中で、しだいに「一人で生きることなんてできない」と気づいていく過程は、読んでいてせつなくて涙が出そうでした。
 ミチルがアキヒロの助けを借りて外へ出て行く場面。父の葬式に現れた母に向かって「お母さん!」と叫ぶ場面。深く傷ついたハルミを癒そうと泣く場面。いずれも、心を揺さぶられました。
 「警察に追われている男が目の見えない女性の家にだまって勝手に隠れ潜んでしまう(作者あとがきより)」という設定が好きになれなくて、読むのをずっとためらってましたが、読んでよかったです。

さくら > 良かったですよね!私も最初嫌な設定だな~と思っていました~。でも全然嫌な感じではなく、純粋さが伝わってきたように思います。 (2003/01/09 09:19)
まゆ > そうなんです。予想に反して、嫌な感じは全くなかったですね。完全に乙一にはまってしまいました。文庫化されているものは読破しようと思います。 (2003/01/09 21:52)

2003年1月 7日 (火)

きみにしか聞こえない

111「きみにしか聞こえない」乙一   角川スニーカー文庫   ★★★★★

「だからおまえが、いらない子なはずがないよ。おまえが死んだら、オレはきっと泣く。」(『傷』より)

 頭の中の携帯で話をするリョウとシンヤ。二人を待ち受けている哀しい運命を描いた『Calling You』。
 他人の体の傷を我が身に移動させる能力をもつアサト。そのせつない生き方を描いた『傷』。
 事故で恋人と我が子を失った「私」は、病院の庭で不思議な花を見つける。人の顔を持ち、歌うその花は、ミサキの思いが産んだものだったという『華歌』。
 以上三篇を収録した短編集。

 私の好みは、『Calling You』のせつなさ感。結末はありがちなのだけど、こういう流れの物語が好きだ。人とうまく関われない。けれど誰かとつながっていたい、ふれあっていたい、というのは、今風のテーマ。この感覚はわかるような気がします。
 ただ、今回泣かされてしまったのは『傷』。親に虐待されて育った少年たちが抱く「僕はいらない子なのか」という疑問。特殊な能力をもったアサトは他人の苦痛を引き受けることで、自分の生きる価値を見出そうとする。そんなアサトを友人の「オレ」が命がけで救い、また「オレ」もアサトに救われる。その過程がせつなくてやりきれなくて、泣きながら読みました。天童荒太の「永遠の仔」を思い出しました。
 乙一、やっぱりよいです。しかし、この年になって、スニーカー文庫を買うとは思いませんでした(笑)

やぶ > 最近「さみしさの周波数」と共にスニーカー文庫から出版されているのは知っていましたが、スニーカー文庫を今更買う気になれずにいました。しかし感想をよんで面白そうなので手をだしてみようか考慮中です。 (2003/01/08 02:10)
さくら > まゆさんも読みましたね~。私は「Calling You」では若すぎてちょっと気恥ずかしさでいっぱいだったのですが、「傷」できました~。泣けましたね!「永遠の仔」解ります!!自分の存在の意味など小さな胸全部で悩み傷ついてるせつない空気が共通してますね。 (2003/01/08 09:14)
まゆ > さくらさん、わかっていただけましたか!私は「永遠の仔」のラストシーンを思い出しながら読んでました。心に傷を負うということのつらさをひしひしと感じました。
やぶさん、私も買うのも恥ずかしかったし、読んでるのを人に見られるのも恥ずかしかったです(笑)でも、個人的にはアタリでした。おすすめですよ。 (2003/01/08 16:21)
ときわ姫 > 私はこの本は読んでいないので、これについてではないんですが。
皆さん、年で自分に枠をはめて、読書範囲を制限するのはやめましょう。まゆさんなんかが年だなんていってたら、私はどうなっちゃうんでしょう。絶対ずーっと年上。児童書、コバルト、スニーカー、ビーンズ、ホワイトハート、JコレクションもうなんだってOK。そういう中からアタリを見つけると、普通に新聞の書評欄で紹介されて読んだりしたものより、よっぽどうれしくなる私です。 (2003/01/09 09:40)
まゆ > ときわ姫さんのおっしゃるとおりだと思うのですが。いかにも若者向けのカバーを見ると、やっぱりちょっとひいちゃうのも事実。人目を気にするあたり、小心者だなーと思うのですが(笑)大人でも手にとりやすい装丁にしてくれないかなあ。とりあえず、スニーカー文庫の乙一は読破しようと心に決めました。 (2003/01/09 21:40)
やぶ > 私のつたない文章がいけなかったのでしょうか。(今更とか使っているし)決してスニーカーを馬鹿にしている訳ではないのですが、そう取られてもしかたないですね。ときわ姫さんの言うことはもっともだと思います。(現に私の1番好きな本はホワイトハートから出ている本です)しかしなかなかレジに持っていく勇気が・・レジに持っていっても店員の視線が・・この様に思うこと自体が偏見ですね。お二人に不愉快な思いをさせてしまったみたいでゴメンナサイ。 (2003/01/11 17:58)
YOU > 本文とは関係ないレスですみません。私は京極夏彦の本が好きなんですが、あの本の装丁があまりにもあんまりなので、買うときは恥ずかしいです。まあ、人それぞれ感じ方が違ってあたりまえですよね? (2003/01/11 20:15)
ときわ姫 > やぶさん、不愉快とかじゃないんですよ。これは私の啓蒙活動なの!実はお二人とは性格が違うので、恥ずかしいどころか、目立つように手にとるようにしているんですよ。平棚のところで、本を見ている人がいると、自分がもう買ってしまっている本でも、良いと思っている本はわざと手にとってながめて見せたりして。
店員さんとも、店主さんとも仲良し。田舎なので、ホワイトハートなど少ししか入らないの。だから発売日には行って、まだダンボールを開けてなかったりしたら、早く開けてねと催促。これかな?と聞かれて、当たる事も多いのよね。何を買っているか知ってるから。まあ性格なので、人にそうしろとは言えないほどの行動ですね。 (2003/01/12 12:32)
まゆ > 旅行中で、レスが遅くなりました。ときわ姫さんがおっしゃることはもっともだと思うのですよ。でも、やぶさんや私のように感じる人が多いのも事実だと思います。できれば、そういう垣根を越えて、「おもしろいものはおもしろい!」と素直に思えればよいのですよね。
やぶさん、別に不快な思いはしてませんのでご安心ください。でも、この乙一の本だけは、まじめにおすすめしますので、勇気を出して、手にとってみてくださいな。
YOUさん、京極本の装丁が「あんまり」なのは、どれでしょう?私は「どすこい」以外はオッケーですが。けっこう装丁とか、カバーのもつ力って大きいと思うのですけどね。

(2003/01/15 16:35)

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