からくりがたり
2680「からくりがたり」 西澤保彦 幻冬舎文庫 ★★★
自殺した兄は、大量の日記を残していた。妹の倫美は、兄の死後、誰の目にも触れないように、それを焼き捨てた。なぜなら、そこには複数の女性との愛欲の日々が綴られていたから。しかも、それは明らかに妄想なのだ。しかし、実在する女性たちは、次々に惨劇に巻き込まれていく。その現場につねに現れる男「計測機」とは?
油断しました・・・。私の中で、「西澤保彦と米澤穂信は要注意」というのがありまして。どちらも口当たりはいいのに、軽い気持ちで読んでいると、人の心の陰惨な部分を見せつけられて茫然となるという・・・。なのに、今回は油断してました。帯の「これが『西澤保彦版ツイン・ピークスだ!」というコピーにだまされました。
倫美の兄が自殺したことが発端となり、それから倫美の周辺で続く事件。市内で毎年大晦日の夜に起こる殺人事件ともつながっているような・・・。倫美をはじめ、その友人たちや、彼女たちと関わりのあった人たち、いろんな人が「事件」に巻き込まれ、命を落としていく。そして、現れる「計測機」という男。
なんとも不思議なミステリなのですが、それぞれ8つの短編として描かれ、時間の経過とともに、それぞれが環を成していく。構成としては、すごく好きなタイプなのですが、人の描き方に容赦がなくて、すっかり毒気にあてられてしまいました。
ところで、実は、「ツイン・ピークス」見たことないのですが、あれってこんな話でしたか?
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