終戦のローレライⅣ
799「終戦のローレライⅣ」福井晴敏 講談社文庫 ★★★★★
第3の原爆の投下を阻止せよ。
誰の命令でもなく、自分の意志で、伊507と乗員たちはテニアンへ向かった。未来へ、全ての希望をかけて。
まいりました。脱帽です。
風邪ひいて微熱が続いている時に読む本じゃないよなあと思いつつ、読み始めたらやめられなくなってしまいました。
映画、先に観といてよかった。原作を先に読んでしまったら、映画はものすごく物足りなく感じたと思います。それくらい、密度の濃い物語でした。最後の最後まで。
いよいよテニアンへ・・・というところで、映画はクライマックスに向けて突っ走るのですが、小説はまだ二転三転します。しかも、多方向で話が展開するので(伊507、ウェーク島、米海軍など)、こちらも多重放送の中に放り込まれているよう。でも、それが煩雑な印象を受けないところがさすが、です。
パウラであれ、征人であれ、絹見であれ、浅倉であれ、誰かに過剰に感情移入もできない代わり、その生きざまに等しく感動してしまいます。これだけの物語を構築する、その力にただ圧倒されて読み終えました。
映画は映画で、いい出来だったと思うのです。限られた時間の中で、わかりやすく構成されていたと思うし。
でも、小説は別物ですね・・・。
どちらがいい悪いでなく、それぞれに感動できるものに仕上がっていると思います。私は映画を先に観たので、小説で描かれている艦の内部や戦闘の状況が、具体的にイメージできたのも事実。
ただ、映画にフリッツが出てこなかったのは残念です。
すごいものを読んじゃったなあというのが正直なところ。壮大な物語を紡ぎあげた福井さんに敬意を表して☆5つ。
人間は何度も間違うかもしれないけれど、また立ち上がり歩き出す「未来」を持っているのだと信じたいです。
あしか > え?Ⅳは、まだだったんですね。じっくり読まれたのですね。でも、体、大丈夫ですか?ここ何日か見かけないなあと思っていました。しかも、もう中間テストではないですか?なかなか休まらない季節かと思いますが、体に気をつけて頑張ってください。(o^-^o) (2005/05/26 08:00) |
nanao > ついに読了ですね。 感動で微熱もふきとんだのでは? また立ち上がり歩き出す「未来」を持っている 良い言葉です。自分も立ち上がらなくては。 (2005/05/26 08:11) |
まゆ > あしかさん、ご心配をおかけしています・・・。今年、うちの学校は1学期の中間テストがないので、ちょっと楽なはずなんですが。本プロでも、自分のとこにレスつけるのでいっぱいいっぱい。皆さんのとこにお邪魔する余裕がなくて残念です。 Ⅳはじっくり読めるときまでとっておこうと。でも、結局、具合悪いのに読んじゃいましたけど(笑) (2005/05/26 21:13) |
まゆ > nanaodさん、映画はそりゃもうボロボロ泣いたのですが、小説はなく余裕すらなく、物語の中に放り込まれている感じでした。終章は余計かなと思ったりもしましたが、ラストシーンで、「ああ、福井さんはこれを描きたかったんだなあ」と納得しました。 (2005/05/26 21:16) |
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