小路幸也

2019年4月23日 (火)

ラブ・ミー・テンダー 東京バンドワゴン

2889「ラブ・ミー・テンダー 東京バンドワゴン」 小路幸也   集英社文庫   ★★★★

我南人と妻・秋実との出会いがついに明かされる! シリーズ第12弾。

 

4作に1回のペースで描かれる番外編。今回は、待望の我南人と秋実さんの物語。

シリーズ開始の時点で秋実さんはもう亡くなっていて、一度も登場していないのですが、「太陽のよう」と語られる彼女のことは、ずっと気になっていたのです。どんな人だったのか、我南人みたいなスターとどうやって恋に落ちたのか。

描かれたその顛末はとっても「らしい」ものでした(笑)

我南人もけっこう走り回っているし、勘一さんもまだ若くて荒事も辞さないし、何よりサチさんがご健在なのがもう・・・。

読みながら、何度もうるうるしてしまいました・・・。

私は家族ものはどちらかというと苦手なのですが、これは本当にいつ読んでもいいなあと思えるのです。

 

蛇足ですが。

夫につきあってたまに「寅さん」を見るのですが、以前は苦手だったあの世界が、年をとったせいか妙に心に響くのです。寅さんはしょうもない男なんだけど、優しい。それは、彼もまた優しく迎えてもらえる場所があるからなのですよね。自分が優しくされることで、人にも優しくなれる。「東京バンドワゴン」シリーズを読んでいると、ふと「寅さん」の世界と重なったりします。

 

2019年3月13日 (水)

ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード 東京バンドワゴン

2870「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード 東京バンドワゴン」 小路幸也   集英社文庫   ★★★★

 

古本屋「東京バンドワゴン」が所蔵している「呪いの目録」について、古書店を訪ね歩いている男がいるという。店主の勘一は警告を受けて、網を張るが・・・。

 

 

 

シリーズ第11弾。積読してました。

 

登場人物がどんどん増えていって混乱しそうですが、上手い語り口で交通整理してくれるので、なんとかついていけています。堀田家の面々は相変わらず元気ですが、若者たちの成長にともなって、いろいろな変化も。

 

まあ、基本的には最後は大団円・・・という黄金パターンだとわかっているので、安心して読んでいるわけですが、それでも毎回「今度はそう来たか!」と思わせる展開と、それが帰結するまでのお手並みには感嘆します。飽きないんですよねえ。

 

自分が年をとってきたせいか、最近は語り手のサチさんはじめ、大人たちが若い世代を見守っている姿に、やたらと共感してしまいます。表題作では、泣いてしまいました。

 

もうほんと、続けられるだけ続けてください!と、心から思うシリーズです。

 

しかし、研人の妹・かんなちゃん、恐ろしい子・・・!(笑)

2018年1月26日 (金)

恭一郎と七人の叔母

2704「恭一郎と七人の叔母」 小路幸也   徳間書店   ★★★

高校生の恭一郎には、七人の叔母がいる。女系大家族の中で育った恭一郎は、人の心の機微に敏感になった。そんな彼が叔母たちの微妙な関係に気づいたのは、13歳の正月だった。

八人姉妹の長女を母にもち、七人の叔母たちに可愛がられて育った恭一郎。彼の目から見た「七人の叔母」、それぞれの生き方。

いやもう、こんな人たち、現実にいないでしょ・・・と思うのですが、おもしろかったです(笑)「東京バンドワゴン」とはまた違った家族もの。まあ、あちらも現実にはあり得なさそうですけど。

個性的な七人の叔母たちは、その個性の方向性も全く違っていて、てんでばらばら(ただし、双子の三女・四女だけは常に一緒)。そして、皆個性は違えど、頑固で、しなやかに強いところはとてもよく似ているのです。

それぞれのエピソードが恭一郎によって語られるのですが、どの叔母にも長所もあれば短所もあり、こちらもそれに共感したり、たまにドン引きしたり(笑) でも、こんなふうにたくましく生きて生きたいよなあと思わされました。

今年は小路作品で気になっていたものをいくつか読もうと思っています。ところで、今気づいたのですが、小路さんってメフィスト賞受賞者なんですね。知らなかった・・・。

2017年12月15日 (金)

猫ヲ捜ス夢

2679「猫ヲ捜ス夢」   小路幸也   徳間書店   ★★★★

災厄を祓うことを役割とする「蘆野原」の郷の者たち。しかし、戦争を機に、郷は入口を閉じてしまう。蘆野原の長筋の正也は、幼なじみの知水とその母と暮らしながら、行方不明になった姉・多美を捜していた。移り変わる時代の中で、蘆野原の者たちは何を為さねばならないのか・・・。

「猫と妻と暮らす」の続編です! この「蘆野原偲郷」ものは、すごく好きなのです。

「猫と妻と暮らす」の主人公たちの子供たちが今回の主人公。間に大きな戦争を挟み、時代が大きく変わろうとしている、まさにその時。蘆野原の郷が新しい時代のなかで、どんなふうに世の中と関わっていくのか・・・という物語。

蘆野原の長筋の正也と、水に関わる家の知水。蘆野原の郷への道は閉ざされ、二人はその道を捜しつつ、日々を暮らしている。彼らのもとには、さまざまな「事」が起こり、災厄とならないよう「事を為し」ているのだが、その「事」に導かれるように、正也たちはある「猫」と出会い・・・。

なんとも不思議な話。でも、この物語のもつ雰囲気、世界観、好きなんですよねえ。誰も気づかないかもしれない。けれど、たしかに存在している「何か」。私たちが忘れてしまった、「何か」。そんなことを考えさせてくれます。

しかし、前作の内容をかなり忘れてしまっていて、自分の書いた過去記事を読んで、「ああ! そうだった!」と(笑) もう一度、読み直さなきゃ。

ところで、帯に「少女は猫になり、世界を救う!」とあるんですが・・・。うん、間違ってはいないけどさ・・・。なんかこう、この物語世界にそぐわないというか、誤解を与えるコピーだと思うんですけど・・・。

2017年6月 1日 (木)

ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン

2586「ヒア・カムズ・ザ・サン 東京バンドワゴン」 小路幸也   集英社文庫   ★★★★

堀田家の面々は相も変わらず元気いっぱい。奇妙な事件が持ち込まれるのも相変わらず。そして、研人の高校受験もせまってきて・・・。

シリーズ10作目です。

登場人物がどんどん増えていって、覚えるのも大変になってきました(笑) でも、その辺のおさらいもうまくやってくれるので、安心して読めます。

何かしら事件が起こり、すったもんだしたあげく、最後はなんとかおさまるとこにおさまって・・・というパターンだとわかっているのですが、いいんですよね、これが。何が起こっても、堀田家の面々が大事にしているのは、「人の心」。手助けをしたり、忠告をしたりはするけれど、相手の心を力づくで動かそうなんてしない。その辺が、すごく好きです。「LOVEだねえ」という我南人のきめ台詞が、最近腑に落ちるようになってきました。

このシリーズを読み始めたのは、私の人生で1、2を争うつらいことがあったときで、今でも読んでいるとそのときのことを思い出して、ちょっとつらくなることもあります。でも、堀田家の人たちに、励まされてるような気になるのも事実。生きていれば思うに任せないことは当然あるけれど、生きていればいいこともあるさと思えるのです。

2016年6月 5日 (日)

オール・ユー・ニード・イズ・ラブ 東京バンドワゴン

2439「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ 東京バンドワゴン」 小路幸也   集英社文庫   ★★★★

堀田家の子供たちはすくすく育ち、今日もまたにぎやかな一日が始まる。そして、古書店「東京バンドワゴン」に今日もやってくる訳ありの客たち。さて、今回巻き込まれる事件とは・・・。

シリーズ第9弾。

いつもながらの堀田家とその周辺の人々ですが、その「いつもながら」が実は貴重なことだ・・・という、サチおばあちゃんのメッセージが、今回はやけに胸にひびきました。

店にやってくる人々の抱えるいろんな問題に積極的に巻き込まれ、それを解決しちゃう勘一をはじめとする堀田家の面々。そんなにうまくいくかーい!とツッコみつつ、でも、癒されるんですよね。

もちろん、すべてがいい方向にいくとは限らないわけで、まさに「とかくままならないのが人生」なわけで。

それでも、元気に生活していく堀田家のパワーに、こちらまで元気をもらいました。

2015年7月21日 (火)

花咲小路四丁目の聖人

2328「花咲小路四丁目の聖人」 小路幸也   ポプラ社   ★★★

亜弥の父・矢車聖人70歳。イギリス名はドネィタス・ウィリアム・スティヴンソン。実は、イギリスでは有名な「最後の泥棒紳士<SAINT>」。伝説の大泥棒も、今は静かに暮らしていたが、花咲小路商店街の危機に立ち上がった!?

「泥棒紳士」が活躍するハートウォーミングな物語。

もっとも、聖人が何をしているか具体的な描写はなくて、聖人の手足となって動く克己や北斗の活躍(?)が目立ちます。

イギリス人で日本に帰化した聖人のたたずまいが、なかなか素敵。こういう泥棒紳士なら許せちゃいますね。

ほんわかした気分になりたい人にはおすすめです。

2015年7月 4日 (土)

つむじダブル

2319「つむじダブル」 小路幸也 宮下奈都   ポプラ社   ★★★

かっこいいお兄ちゃんと柔道が大好きなまどか。バンドをやっていて、七歳下の妹がかわいくてしかたない由一。あまり似てない兄妹だけど、つむじが二つあるところは同じ。そんなまどかと由一の平穏な日常に、「ひみつ」の匂いがしはじめたのは、一本の電話からだった。

宮下奈都さんがまどかパートを、小路幸也さんが由一パートを書いた合作。

何不自由なく育った兄妹が、家族の秘密に気づく物語。悪人が一人も出てこないお話なのですが、この二人が書くと、まあそれもありかな・・・と思ってしまいます。

それぞれのパートを分けて書いているのだけれど、違和感がなく読めました。十歳の女の子と十七歳の男子高校生の視点の違いはあるのだけれど、それが自然な感じで。

特に、十歳のまどかの今の気持ちは、自分にもこういう時期ってあったなあ・・・と思いながら読んでました。さすが、宮下さん。

今気づいたけど、「小宮家」って、小路さんの「小」と宮下さんの「宮」からとったのですね。

2015年4月26日 (日)

フロム・ミー・トゥ・ユー 東京バンドワゴン

2276「フロム・ミー・トゥ・ユー 東京バンドワゴン」 小路幸也   集英社文庫   ★★★★

我南人が生まれたばかりの青を連れてきた日のこと。紺と亜美が出会った日のこと。藍子が花陽を産むと決めた日のこと。・・・堀田家の知られざる過去のエピソード11編。

東京バンドワゴンシリーズ第8作は、本編には描かれることのないエピソードを集めたもの。シリーズを長く続けていくと、どうしてもこういうサイドストーリーが生まれてくるものですが・・・。

読む前は、ちょっと物足りないんじゃないかと思っていましたが、とんでもない! 小さなエピソードたちは、いずれも堀田家には欠かせない話ばかり。堀田家にとっては大事件だったであろう、青の登場や藍子の妊娠をはじめ、亜美が紺に飛び蹴りを食らわせた出会い(笑)とか、シリーズファンには「そう!そこが知りたかったの!」という話が満載でした。

私は藍子・紺・青の三兄弟が好きで、とりわけ紺のファンなので、今回はさりげなく出番が多くてうれしかったです。

最初の話が紺と研人親子の会話から始まって、最後がまたこの二人にサチおばあちゃんが絡んで終わるあたりの構成も、とってもナイスでした。

2015年3月 5日 (木)

少年探偵

2242「少年探偵」 小路幸也   ポプラ社   ★★★

その少年はこの世から消え失せようとしていた。しかし、ある人物との出会いが、少年を変えた。そして、彼は戦いの場へを身を投じる・・・。

江戸川乱歩生誕120年特別企画「みんなの少年探偵団」シリーズです。昔ながらの装丁で、ずごく気になっているんですが、なかなか借りられず。ようやくこれだけゲットしました。

一度は探偵業をやめた明智小五郎が、怪人二十面相と闘うために再び立ち上がり、小林少年を助手にするまでの物語です。

小林少年とはいったい何者なのか。明智小五郎との関わりとは。そんな謎がちりばめられています。これって小路さんのオリジナル・・・なんでしょうか?

残念ながら「怪人二十面相」シリーズをまったく読んでいないので(だって、子供心におどろおどろしい気がして、怖かったんです・・・)、元と比べてどうなのかはわからないのですが、おもしろかったです。

しかし、この本の装丁ってある程度の年代の人は、「おっ!」と思いますね~。ほかのもやっぱり読んでみたいです。

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