小路幸也

2016年6月 5日 (日)

オール・ユー・ニード・イズ・ラブ 東京バンドワゴン

2439「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ 東京バンドワゴン」 小路幸也   集英社文庫   ★★★★

堀田家の子供たちはすくすく育ち、今日もまたにぎやかな一日が始まる。そして、古書店「東京バンドワゴン」に今日もやってくる訳ありの客たち。さて、今回巻き込まれる事件とは・・・。

シリーズ第9弾。

いつもながらの堀田家とその周辺の人々ですが、その「いつもながら」が実は貴重なことだ・・・という、サチおばあちゃんのメッセージが、今回はやけに胸にひびきました。

店にやってくる人々の抱えるいろんな問題に積極的に巻き込まれ、それを解決しちゃう勘一をはじめとする堀田家の面々。そんなにうまくいくかーい!とツッコみつつ、でも、癒されるんですよね。

もちろん、すべてがいい方向にいくとは限らないわけで、まさに「とかくままならないのが人生」なわけで。

それでも、元気に生活していく堀田家のパワーに、こちらまで元気をもらいました。

2015年7月21日 (火)

花咲小路四丁目の聖人

2328「花咲小路四丁目の聖人」 小路幸也   ポプラ社   ★★★

亜弥の父・矢車聖人70歳。イギリス名はドネィタス・ウィリアム・スティヴンソン。実は、イギリスでは有名な「最後の泥棒紳士<SAINT>」。伝説の大泥棒も、今は静かに暮らしていたが、花咲小路商店街の危機に立ち上がった!?

「泥棒紳士」が活躍するハートウォーミングな物語。

もっとも、聖人が何をしているか具体的な描写はなくて、聖人の手足となって動く克己や北斗の活躍(?)が目立ちます。

イギリス人で日本に帰化した聖人のたたずまいが、なかなか素敵。こういう泥棒紳士なら許せちゃいますね。

ほんわかした気分になりたい人にはおすすめです。

2015年7月 4日 (土)

つむじダブル

2319「つむじダブル」 小路幸也 宮下奈都   ポプラ社   ★★★

かっこいいお兄ちゃんと柔道が大好きなまどか。バンドをやっていて、七歳下の妹がかわいくてしかたない由一。あまり似てない兄妹だけど、つむじが二つあるところは同じ。そんなまどかと由一の平穏な日常に、「ひみつ」の匂いがしはじめたのは、一本の電話からだった。

宮下奈都さんがまどかパートを、小路幸也さんが由一パートを書いた合作。

何不自由なく育った兄妹が、家族の秘密に気づく物語。悪人が一人も出てこないお話なのですが、この二人が書くと、まあそれもありかな・・・と思ってしまいます。

それぞれのパートを分けて書いているのだけれど、違和感がなく読めました。十歳の女の子と十七歳の男子高校生の視点の違いはあるのだけれど、それが自然な感じで。

特に、十歳のまどかの今の気持ちは、自分にもこういう時期ってあったなあ・・・と思いながら読んでました。さすが、宮下さん。

今気づいたけど、「小宮家」って、小路さんの「小」と宮下さんの「宮」からとったのですね。

2015年4月26日 (日)

フロム・ミー・トゥ・ユー 東京バンドワゴン

2276「フロム・ミー・トゥ・ユー 東京バンドワゴン」 小路幸也   集英社文庫   ★★★★

我南人が生まれたばかりの青を連れてきた日のこと。紺と亜美が出会った日のこと。藍子が花陽を産むと決めた日のこと。・・・堀田家の知られざる過去のエピソード11編。

東京バンドワゴンシリーズ第8作は、本編には描かれることのないエピソードを集めたもの。シリーズを長く続けていくと、どうしてもこういうサイドストーリーが生まれてくるものですが・・・。

読む前は、ちょっと物足りないんじゃないかと思っていましたが、とんでもない! 小さなエピソードたちは、いずれも堀田家には欠かせない話ばかり。堀田家にとっては大事件だったであろう、青の登場や藍子の妊娠をはじめ、亜美が紺に飛び蹴りを食らわせた出会い(笑)とか、シリーズファンには「そう!そこが知りたかったの!」という話が満載でした。

私は藍子・紺・青の三兄弟が好きで、とりわけ紺のファンなので、今回はさりげなく出番が多くてうれしかったです。

最初の話が紺と研人親子の会話から始まって、最後がまたこの二人にサチおばあちゃんが絡んで終わるあたりの構成も、とってもナイスでした。

2015年3月 5日 (木)

少年探偵

2242「少年探偵」 小路幸也   ポプラ社   ★★★

その少年はこの世から消え失せようとしていた。しかし、ある人物との出会いが、少年を変えた。そして、彼は戦いの場へを身を投じる・・・。

江戸川乱歩生誕120年特別企画「みんなの少年探偵団」シリーズです。昔ながらの装丁で、ずごく気になっているんですが、なかなか借りられず。ようやくこれだけゲットしました。

一度は探偵業をやめた明智小五郎が、怪人二十面相と闘うために再び立ち上がり、小林少年を助手にするまでの物語です。

小林少年とはいったい何者なのか。明智小五郎との関わりとは。そんな謎がちりばめられています。これって小路さんのオリジナル・・・なんでしょうか?

残念ながら「怪人二十面相」シリーズをまったく読んでいないので(だって、子供心におどろおどろしい気がして、怖かったんです・・・)、元と比べてどうなのかはわからないのですが、おもしろかったです。

しかし、この本の装丁ってある程度の年代の人は、「おっ!」と思いますね~。ほかのもやっぱり読んでみたいです。

2014年6月17日 (火)

猫と妻と暮らす

2139「猫と妻と暮らす」 小路幸也   徳間書店   ★★★★★

ある日、家に帰ると、妻が猫になっていた・・・。「蘆野原」出身の和野和弥は、郷を出て、学者として東京で暮らしている。郷の長筋の者として、事を為しながら。恩師の一人娘を妻に迎え、平穏な暮らしを営んでいたはずが、なぜか妻は猫になってしまい・・・。

★5つつけました。万人受けするとは思えませんし、すべてをすっきり説明されないと嫌だという人には向かない話です。ただ、私にとってはものすごく好きな話なもので。

「蘆野原」という、ちょっと特殊な地域出身者であるらしい和弥と、妻の優美子、和弥の幼馴染の泉水を軸に物語は進みます。和弥と泉水は、なんだか良くないものを祓うようなことをしているけれど、それを何と説明していいのか、ちょっとわからない感じです。「蘆野原」とは何なのか、そして優美子はなぜ猫になってしまうのか、何の説明もなく、物語はするすると進んでいきます。

それでも、読み進めるうちに、少しずつ見えてきます。世の理とは何なのか、なぜこんなことが起こるのか、そしてすべての出来事はつながっているのだと。

特殊な能力を持つ人々がひっそりと暮らすというのは、恩田陸の「常世物語」の世界を思い出させます。また、幻想性と、新しい時代ゆえの喪失というイメージは、梨木香歩の「家守綺譚」「冬虫夏草」につながるような。・・・ということは、私はそういう物語が好みだということですね。

「東京バンドワゴン」シリーズとは全然違う、静謐な世界でした。(バンドワゴンは、あれはあれで好きですけれど)

サブタイトルの「蘆野原偲郷」にこめられた思い。「偲郷(しきょう)」という言葉のもつ余韻が素敵でした。

2014年3月22日 (土)

レディ・マドンナ 東京バンドワゴン

2106「レディ・マドンナ 東京バンドワゴン」 小路幸也   集英社文庫   ★★★★

毎度おなじみ東京バンドワゴンシリーズ第7弾。

文庫化されてすぐ買ったのですが、ドラマのキャストがちらついて、どうにも読む気になれず(ドラマファンの方、すいません)。積読してましたが、ちょっと気持ちがほっこりするものを読みたくなって、手に取りました。

やっぱりこの世界はいいですねえ。今回は、紺の娘・かんなちゃんと、青の娘・鈴花ちゃんが、ひたすらかわいかったです。子どもたちが着々と大きくなっていくというの、いいですね。もっとも、今回のトピックは、「堀田勘一に恋のうわさ!?」というやつかもしれませんが(笑)

いつも通りに事件が起こって、いつも通りに大騒ぎして、いつも通りにまるく収まる。そうとわかっていて読んでしまうというのは、すごいことですね(笑) そして、今回も、しっかり癒されました。

2013年5月21日 (火)

オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東京バンドワゴン

2001「オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東京バンドワゴン」 小路幸也   集英社文庫   ★★★★

シリーズ第6弾もやっと文庫に。

古本屋「東京バンドワゴン」も、ますます大家族化していきます。相変わらず、事件に巻き込まれ(時には巻き起こし)、勘一をはじめとする堀田ファミリーが大活躍。

今回は、藍子の娘・花陽と、紺と亜美さんの長男・研人の成長著しい姿が印象的でした。それから、かんなちゃんと鈴花ちゃんのかわいさも!! 

最終話では、いろんな人間関係が入り乱れて大変なことになってましたが、思わず涙が・・・。まさに、「Life goes on」。我南人、相変わらずおいしいとこを持っていきますね。

昔のホームドラマへのオマージュというコンセプトの小説ですが、こんなにギスギスした世の中だと、こういうのにホッとさせられます。

文庫の解説は、盛岡のさわや書店フェザン店の店長さん。私も盛岡に行くと、お世話になる書店です。

2012年10月28日 (日)

話虫干

1932「話虫干」 小路幸也   筑摩書房   ★★★

夏目漱石の「こころ」が、いつのまにか書き換えられていく。図書館員の糸井馨は、副館長の榛さんとともに、「こころ」の中に入りこみ、「話虫」から本来のストーリーを取り戻そうとするのだが・・・。

ミステリ?SF?ファンタジー?・・・どのジャンルにカテゴライズしていいのかよくわかりませんが・・・。

物語が、ある意志によって勝手に書き換えられていくのをどうにかしようと、主人公・糸井は、「こころ」の世界に入り込みます。そして、「こころ」の「先生」と「K」の友人として、物語の中に登場します。さらに、話を書き換える「話虫」はめちゃくちゃな展開をしていき、それに対抗するべく意外な登場人物が・・・。

「こころ」を恋バナと言い切るのには抵抗がありますが、「明治の書生」たちの気質やら、なぜか登場する漱石先生の様子やら、現在ひそかに漱石ブームな私には、楽しかったです。

ただ、最後の決着はどうでしょう。ハッピーエンドといえばそうなのかもしれませんが。なんとなく、続きも書けそうな終わり方でした。

ところで、「こころ」は、下巻の一部が高校の教科書に載っていたので、そこだけは繰り返して読みましたが、全部を通して読んだのは中学生の時以来。これを読んだら、どうしても読み返したくなりました。

2012年6月18日 (月)

オール・マイ・ラビング 東京バンドワゴン

1880「オール・マイ・ラビング 東京バンドワゴン」 小路幸也   集英社文庫   ★★★★

堀田家は、女の子が二人増えて、ますますにぎやかに。相も変わらず事件に巻き込まれるが、店主・勘一を中心に、無事解決。しかし、勘一の息子・我南人に、思いもかけない出来事が・・・。

シリーズ第5弾。登場人物がどんどん増えてきて、巻頭の人物相関図がないと混乱するようになってきました(苦笑)

これだけ続いてもマンネリ感がないというのがすごいです。毎回、同じような情景で始まって、同じように幕を閉じるのに。

今回は、子どもたちの成長がなんともいとおしかったです。藍子の娘・花陽。紺の息子・研人。素敵な大人に囲まれて、彼らもしっかりと大人へのステップを昇っていますね。

ほんと、お日様のような堀田家。こういう人たちがいるかも・・・と思うだけで、気持ちがほっこりします。

心身の疲労がたたったのか、風邪をひいてヘロヘロの時に読んだので、よけいに心にしみました。

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