誉田哲也

2015年11月 8日 (日)

ブルーマーダー

2372「ブルーマーダー」 誉田哲也         光文社文庫         ★★★★

池袋の雑居ビルで、暴力団組長が全身骨折した遺体となって発見された。池袋署の姫川玲子は捜査にあたるが、さらなる事件が。玲子は、池袋を恐怖に陥れている怪物「ブルーマーダー」の存在に行き当たる。

シリーズ第6作。

前作「インビジブルレイン」の事件で捜査一課を追われた姫川玲子が、池袋署で活躍します。

前作はちょっと後味が悪い終わり方だったので、どうなることかと思っていたら、なんと、玲子の元部下・菊田が結婚!?    ショックでした(苦笑)  いや、前作で玲子が牧田とああいうことになったので、菊田とはもう無理だろうとは思ってましたけど。

でも、事件を通して、玲子と菊田の関係にも決着がついたようで、まあよかったかな、と。事件そのものより、二人がどうなることかと、そればかり気になってしまいました(苦笑)

 

2015年8月 3日 (月)

武士道ジェネレーション

2335「武士道ジェネレーション」 誉田哲也   文藝春秋   ★★★★

早苗が結婚!? 高校卒業後、それぞれの人生を歩んできた早苗と香織だったが・・・。人生の伴侶を見つけた早苗に対して、香織には桐谷道場閉鎖という大事件が。それなら自分が桐谷道場を継ごうと香織は考えるが・・・。

武士道シリーズに続きがあるなんて思いませんでした~。新聞広告でその存在を知り、書店で実物を見たら我慢できなくて、買ってしまいました。だってねえ、結婚でしょ、道場閉鎖でしょ、気になるじゃないですか。

香織と早苗の高校卒業後から、現在に至るまでの物語。学生時代は剣道に明け暮れた香織と、高校時代の膝のけがが原因で、すっかり剣道からは足を洗った早苗。ところが、桐谷玄明先生が体調を崩したのをきっかけに、香織は道場で稽古をつけることになり、早苗も玄明先生のお世話をすることに・・・。こうして大人になった(はず)の二人はまた親しく顔を合わせることになるのです。

シリーズおなじみのメンバーもちょこちょこ顔を出していて、シリーズファンには楽しいところ。香織と早苗のやりとりは相変わらずで、笑ってしまいました。

でも、道場の存続をかけて厳しい道を選んだ香織が、最終的にそういう境地に達したというのは、なんか感無量でした。「シックスティーン」の頃のわけわかんなさ(笑)に比べたら・・・。

シリーズ読んできた方には、ぜひここまで読んでいただきたい!というおすすめの一冊です。

2013年11月28日 (木)

感染遊戯

2068「感染遊戯」 誉田哲也   光文社文庫   ★★★★

ガンテツこと勝俣が関わった殺人事件。それは、元刑事・倉田と、姫川玲子の元部下・葉山則之がそれぞれ関わった事件とつながっていく・・・。元官僚を狙った殺人事件が続く中、彼らがたどりついた真実とは。

どうしてシリーズでこのタイトルだけ漢字なんだろうと思っていました。スピンアウトのような位置づけなんですね。玲子も登場しますが、脇役。メインは、ガンテツと倉田と、ノリでした。

最初は、スピンアウトの短編集かと思ったのですが、最終話ですべてがつながって・・・。たしか、ドラマでも見た気がするのですが、小説もじゅうぶん楽しめました。

事件そのものは洒落にならないというか・・・あるんでしょうね、似たようなこと。これから、さらにこういうことが起こる可能性は高くなるのかも。と言っても、いまさらネットをなくすことなんかできないですもんね。

「インビジブルレイン」の「その後」になるのですが、玲子がしぶとく復活していて(笑) さらにたくましくなったようで、何よりです。

2012年8月 1日 (水)

インビジブルレイン

1900「インビジブルレイン」 誉田哲也   光文社文庫   ★★★★

チンピラ惨殺事件にかりだされた姫川班。暴力団どうしの抗争かと思われたが、思わぬタレこみが入る。「犯人は、柳井健斗」・・・しかし、警視庁上層部から、柳井に関する捜査はご法度という通達が。9年前の事件に関わる警察の失策を隠ぺいしようとする動きを察知した玲子だったが・・・。

映画原作。姫川班の面々はもちろんのこと、上司の今泉や、玲子の天敵・ガンテツや日下、さらには玲子のストーカーっぽい井岡も登場して、オールスターキャストっぽい布陣。たしかに、これを映画化したら見栄えがするでしょう・・・と。

しかし、ストーリーは玲子の恋愛がらみで意外な展開に。ええ~、そうなっちゃうの~?という感じでした(笑) なるほど、玲子の危なさってこういうところもあったのですね。そりゃ、菊田じゃ物足りないよね、と。彼は玲子を「守るべき存在」としか見てないものなあ。もっとも、ドラマ版菊田のファンである私としては、今回の展開は非常に微妙な気分でした。

そして、最後の衝撃の展開。そんなぁ・・・。巻末の竹内結子と誉田哲也の対談を読んでわかったのですが、確かに玲子が幸せになっちゃったら、この話は終わりなんですよね。ということは、このシリーズはまだまだ続いていくってことでしょうか。そして、玲子はなかなか幸せになれない、という(苦笑)

今回、事件そのものはそれほど込み入った感じは受けませんでした。途中から完全に玲子の恋愛モードがメインになってしまって、せっかくのオールスターキャストも生かしきれなかった感が。そこがちょっと残念。とはいえ、このシリーズのもつ緊張感・スピード感には、いつもはまってしまいます。

私の脳内では、完全にドラマ版キャストがセリフを言ってます(笑) 竹内結子はそれほど好きじゃないのに、姫川玲子はもう彼女以外考えられない・・・。

2012年3月31日 (土)

シンメトリー

1850「シンメトリー」 誉田哲也   光文社文庫   ★★★★

列車事故の原因は、飲酒運転の車だった。運転手は、わずか5年の刑にしかならなかった。その事故で右腕を失った元駅員は、復讐を企てるが・・・。

姫川玲子シリーズ第3弾は、短編集です。「東京」「過ぎた正義」「右では殴らない」「シンメトリー」「左だけ見た場合」「悪しき実」「手紙」の7編。

連続ドラマ「ストロベリーナイト」では、これらの短編をもとにした事件が展開し、最後の3回が「ソウルケイジ」でした。なるほど。短編をもとに、かなりうまくドラマをつなげていたんだなあと、今さらながら感心しています。

長編「ストロベリーナイト」「ソウルケイジ」では、基本的に玲子の視点で話が進みますが、この短編集では犯人側からのものもあり・・・そうなると、玲子の存在はなかなか恐ろしいものがあります(笑) いきなり現れた美人の女刑事に罪を暴かれてしまうのですから。

これはこれでじゅうぶんおもしろかったのですが、ドラマを先に見てしまったので、もう結末がわかっていたり、あるいは「あれ?ドラマよりあっさりしてる・・・」なんてのもありました。こちらを先に読んでいたら、もっと楽しめたかもしれません。

しかし、玲子ってけっして性格いいわけじゃないですね(苦笑) 彼女の言動には、時々ついていけないものがあります。同僚もしくは上司だったらいやかも・・・。

2012年3月17日 (土)

ソウルケイジ

1844「ソウルケイジ」 誉田哲也   光文社文庫   ★★★★

河川敷に止められた車から見つかった左手首が、死体なき殺人事件の始まりだった。手首は近所の工務店の主、高岡賢一のものと判明。鎌田署に立った帳場に、警視庁捜査一課十係・姫川玲子班が投入される。しかし、今回は玲子が嫌いな日下班と一緒の捜査。全く相容れない日下の捜査手法にイラつく玲子だったが・・・。

ドラマで今ちょうどこのエピソードをやっているので、読むのを我慢していました。でも、前回でだいたい目星がついた感じだったので、もういいかな、と。

相変わらず玲子はガツンガツンといろんなものにぶつかりながら、捜査にかけずりまわっています。「ストロベリーナイト」では、元公安のベテラン悪徳刑事・ガンテツがライバルでしたが、今回は捜査に一切の予断を許さない、徹底した現実主義者の日下が相手。ガンテツの時とは違うノリですが、玲子は日下ともガチンコ勝負です。一方、年上の部下・菊田との恋愛モードも微妙に進展中(と言っても、日下があきれ果てるスピードですが)。

そして、事件の方は、なんとも・・・。ありがちと言えばありがちなんですが、二重三重にいろいろな事実が絡み合っていて、玲子たちも振り回されます。ただ、もう少し被害者たちを深く描いてもいいんじゃないかという気はしましたが。特に中川美智子のあたり。

とにかく、玲子という主人公の魅力と、リアルすぎる警察内部の空気で読ませる小説です。ただ、気になるのは、説明不能な「勘」で捜査する玲子を、ガンテツも日下も、ひどく心配していること、です。今後、玲子に何かとんでもないことが降りかからなければいいのだけど・・・と、本気で心配してしまいました。それから、玲子の周りをうろちょろする井岡の存在。彼も只者ではない気がするのですが。

ドラマから入ったので、すっかりドラマのキャスティングで読んでしまっています。ただ、菊田はゴリラ系な感じですが、ドラマの西島秀俊はどっちかというと線が細い感じですよね。まあ、脳内イメージは西島で読んじゃってるのでいいのですが(笑)

2012年2月29日 (水)

ストロベリーナイト

1839「ストロベリーナイト」 誉田哲也   光文社文庫   ★★★★

ビニールシートにくるまれた惨殺死体。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、この事件に連なる事件に気づく。姫川班を率いて、真相に近づいた玲子の前に「ストロベリー・ナイト」という謎の言葉が・・・。

ドラマにはまってしまいまして。原作にも手を出してしまいました。

原作はけっこうグロい・・・というのをどこかで聞いていて、読む気はなかったのですが。あまりにもドラマの竹内結子がかっこよくて(私は彼女のファンではありません)。

男ばかりの捜査一課の紅一点。昇進試験をクリアして、27歳にして警部補まできたノンキャリア。男性で年上の部下たちを指揮し、他班の刑事たちと互角に渡り合う。性格もけっこうキツイ(笑)・・・そんな、 「いい人」じゃない玲子がなかなか気に入りました。

もっとも、玲子が刑事になったのには、ある事件の被害者になった経験があるわけで。玲子が決心した場面というのは、なかなか絵になるのですが・・・。

警察小説としてじゅうぶん楽しみました。ミステリというより、刑事たちの人間ドラマとしてすごい緊張感があって。

ただ、玲子の「動機」とそれに関わる事件がどうも・・・。嫌悪感の方が強くて。うーん。

でも、なんだかんだ言って原作にもはまったので、次も読みます。

なお、ほんとにグロかったです(涙) 覚悟して読んだので、なんとか耐えられましたが。

2009年9月 6日 (日)

武士道エイティーン

1409「武士道エイティーン」誉田哲也    文藝春秋    ★★★★

東松学園剣道部の磯山香織。東松から福岡南に転校した甲本早苗。二人の剣道少女がいよいよ迎えた最後のインターハイ。ところが、早苗が怪我をしてしまい…。

なんか、いいですねぇ、これ。
正直言って、わりと呆気なくインターハイを迎えてしまうので、「え、もう?」と思ってしまったのですが…。
インターハイは、クライマックスではあるけれど、通過点なんですね。そこで人生が完結するわけじゃない。ただ勝った負けたで終わるんじゃなくて、「その後」の香織と早苗が描かれているのがよかったです。

今回は、他の登場人物を主役にしたサイドストーリーが間にはさみこまれていますが、これがいずれもよかった! 本編ときちんとつながっていて、「あの人がああいう行動をとったわけは…」と、わかるようになっています。
福岡南の吉田監督の話と、香織たちの後輩・美緒の話が好きでした。

それにしても、剣道経験者としては、いろいろ考えさせられることも多かったです。
特に、本気で人を斬るような剣道をしていた香織の考え方が変わっていくのは…。私もああいう気持ちで剣道をやっていたら、もう少しいい試合ができたんじゃないかと思ってしまいます。

2008年10月15日 (水)

武士道セブンティーン

1358「武士道セブンティーン」誉田哲也   文藝春秋   ★★★★

磯山香織は、東松学園で順調に剣道のキャリアを重ねていた。一方、甲本(西荻)早苗は、強豪・福岡南に転校し、自分の目指す剣道とのギャップに悩む。ともに全国大会の常連校。全国の舞台で活躍しながら、自分たちの武士道をめざす二人は・・・。

読みました、「セブンティーン」。「シックスティーン」では香織の方がジタバタしていましたが、今回は早苗の方が葛藤しています。「勝つための剣道」を徹底し、そのシステムにのっとって練習している福岡南と、同級生の黒岩(これがまた、香織と因縁があったりして)に対する違和感が、早苗を悩ませます。

1年前とは二人とも全く違う立場になっていて、それがまたおもしろかったです。香織も変わったなあ〜と思ったし、早苗が強くなるためには、こういう試練も必要だったかなと思えたし。

それにしても、香織視点と早苗視点と、交互に語られるわけですが、この全く異なる雰囲気を表現するのって、なかなか難しいと思うんですが・・・。それがブレずに描かれてるのってすごいですね。

しかし、この終わり方は、絶対「エイティーン」もありますよね?大いに期待します!

2008年9月25日 (木)

武士道シックスティーン

1351「武士道シックスティーン」誉田哲也   文藝春秋   ★★★★

剣道で全中2位の磯山香織は、小さな剣道大会で、思わぬ完敗を喫する。その相手と再戦すべく、東松学園に進んだ磯山だったが、相手の西荻早苗は意外なほどに手ごたえのない相手で・・・。

剣道、やってました。一応、選手として10年間。指導者として3年間。「シックスティーン」の頃は、まさに剣道に明け暮れてました。そんな私にとって、これは快哉を叫びたいような青春小説です。

兵法をおさめんとし、勝ち負けに徹底的にこだわり、自分以外のものはすべて敵、目の前にいる者すべてぶった斬る・・・という磯山。剣道は好きだけど、勝敗にはこだわらず、自分の技の上達に精進する西荻。全く対照的な二人の姿が、交互の視点で描かれていく物語。その違いがすごくおもしろかったし、決して相容れないはずの二人の距離が徐々に近づいていく感じが好きでした。

時代錯誤でキリキリしている磯山の姿は痛々しくもあり、こっけいですらあるのですが、それをやさしく包んでいるふうな西荻も、実は傷を抱えていて・・・というのが後半わかって、その辺でちょっとグッときました。磯山がどんどん変わっていく過程も、予定調和とわかっていても感動してしまったし。

物語のラストは意外な展開を見せましたが、なんだか気持ちのいい終わり方で、清々しい気分になりました。

「武士道セブンティーン」も出たようなので、そちらも読みたいです。

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