たつみや章

2009年1月 8日 (木)

天地のはざま

1371「天地のはざま」たつみや章   講談社   ★★★

「星の子」ポイシュマと、クニを追われたワカヒコ。アテルイのムラですくすくと成長した二人は、海辺のムラとの交易に行くことになる。しかし、そこで二人を待っているのは過酷な運命だった・・・。

このシリーズの前作を読んだのが、2004年!約4年半前ですよ。いや~、我ながらよく話についていけたと感動しました(笑) もちろん、細かいところは忘れていましたが。読んでいるうちに、「ああ、そうそう・・・」と思いだすこともあって。

もともとこの物語の世界観が好きなので、抵抗なく入れるんですね。ただ、「ハリー・ポッター」の次に読むのは間違いだったかもしれません。普段は同じジャンルとか重ならないように気をつけているんですけどね。図書館の返却期限が(苦笑)

これを読んでいて思うのは、私たちは感謝の心、自然に対する畏敬の念を忘れがちだということです。それは、私たち人間が自然な形でもっていたはずのものなのに・・・。それを忘れたときに、人間は傲慢になるのだなあと感じます。

物語はいまだ途中。今利用している図書館に全巻そろっているので、次も借りてこようと思います。

2007年8月18日 (土)

水の伝説

1163「水の伝説」たつみや章   講談社   ★★★★

 いじめが原因で不登校になった光太郎は、田舎に山村留学することに。寄宿先の一ノ関家の龍雄とも仲良くなり、自然に囲まれた村で楽しく暮らしていた。
 しかし、光太郎がカッパらしき生き物を助けた時から、不思議な出来事が続き・・・。

 「夜の神話」に引き続き、都会からの転校生ものですが、こちらは一転して、とろいし女の子みたいだということでいじめられた男の子が主人公。田舎に来て楽しく生活しながらも、「人に嫌われたくない」と、どこかおどおどしているような子です。
 この光太郎の心情が、とても悲しかったです。自分の価値を認められなくて、「ぼくなんか」としか思えない。あるがままの自分をよしとできない。大人だってそういうことはあるけれど、子供の時って世界が狭い分、希望を見出せなくなることってありますよね・・・。神のいけにえになることを覚悟して、遺書を書く場面は、「そうじゃないだろ、光太郎!」と思いつつ、悲しい気分になりました。私も自分で自分を認めてやれなくて苦しんだ時期があったからでしょうか・・・。
 ストーリーは、いつもの通り「この世のあらゆるものには神が宿る」、そう思うことでいろんなものを大切にできるのだ・・・という考えに基づいたものです。
 今回、山ノ神様を拝んだりするのを「迷信」と非難する場面もあるのですが、私もまさにその「迷信」の中で育てられた人間です。さすがに私の世代では、こういうのは少ないようですが。でも、その「迷信」の中には、自然と共生していくための知恵がたくさんつまっていたのでは・・・と、この本を読んでいて思いました。

2007年8月 7日 (火)

夜の神話

1157「夜の神話」たつみや章   講談社   ★★★★

 母方の祖母の住む田舎に引っ越してきたマサミチ。しかし、田舎の学校も生活も、すべてが気に入らない。
 1学期の最後の日。学校の帰りに鎮守の森に入り込んだマサミチは、お社のツクヨミさまにサトリ草の入ったおまんじゅうを食べさせられる。それ以来、家霊のヨネハラさんの姿が見えるようになったり、生き物の言葉がわかるようになったり。新しい世界に興奮するマサミチだったが・・・。

 「ぼくの・稲荷山戦記」に引き続き読みました。
 これは、ものすごく私のツボにはまる物語でした。
 まず、「田舎に来た都会っ子」という設定。ありがちですが、私はこれに弱いのです。今回のマサミチもなかなか・・・。
 そして、月うさぎのかわいいこと! 月うさぎは、生まれてすぐに死んでしまった子どもの魂を、ツクヨミさまが拾ってうさぎにしてやるという設定。このうさちゃんたちがとにかく愛らしいのです。そして、「おかあさんってどんなの?」と聞くところでは、ちょっとウルッときてしまいました。
 のどかな田舎の物語・・・と思っていたのが、原発がからんできて、一気に緊迫感あふれるものに変容します。原発事故の場面では、読んでいてドキドキしました。最近、原発の事故隠しが話題になっているので、よけいに・・・。
 児童書だからとオブラートに包んでしまうのではなく、原発の現場を描いているので、説得力がありました。スイッチョさんの気持ちがせつなかったです・・・。

「生きているものには魂がある」・・・そういうたつみやさんの思いがあふれている物語でした。

2007年8月 1日 (水)

ぼくの・稲荷山戦記

1152「ぼくの・稲荷山戦記」たつみや章   講談社   ★★★★

 マモルの家は、代々裏山の稲荷神社の巫女をつとめてきた。
 ある日、マモルの家に、奇妙な下宿人がやってきた。腰まで届く長髪。着流し姿。時代がかった話し方をする守山さんは、稲荷山の開発事業をストップさせたいのだという。
 守山さんの「正体」を知ったマモルは、共に闘うことを決意するが・・・。

 たつみや章さんを読むのも久しぶり。
 ありがちな自然愛護ものかなあ・・・と思っていて、今まで手を出さなかったのですが、私が浅はかでした。
 「自然の中のあらゆるものに神が宿っていて、それを敬わなくてはいけない」・・・たつみや章さんのその考え方が、すごく好きです。
 中1のマモルを主人公に、お山の主さまとその眷属たちとの関わりを描く物語。自然保護というのが大きな柱になっているのだけれど、理屈ではなく、すごく自然な形でそのテーマにせまっていきます。
 その重要な役割を果たすのが、マモルと守山さんの関係。守山さんが山を守るために命がけで大仕掛けをするくだりは、せつなくてたまりませんでした。
 安易なハッピーエンドにすることなく、でも、ちゃんと希望をもてる終わり方もとてもよかったです。

 話の本筋からはずれますが。
 このお話では、まだ土曜日に学校があったのですね。そして、携帯電話は普及していません。
 今から15年前に書かれた物語なのですが・・・いろんなものが急激に変化しているのだなあと痛感しました。

2004年7月 4日 (日)

地の掟 月のまなざし

550「地の掟 月のまなざし」たつみや章   講談社   ★★★

 「月の神の息子」シクイルケを失ったアテルイとポイシュマは、ようやくムラに帰り着いた。シクイルケの死に責任を感じるポイシュマはムラを出ようとするが、ある事件がきっかけで、皆に受け入れられる。
 一方、シクイルケがその命と引き換えに助けたヒメカのクニの少年ワカヒコも、ようやくクニにたどり着く。しかし、叔母のヒメカの怒りを買い、幽閉されてしまうのだった。

 「月神の統べる森で」続編。
 今回はポイシュマサイドとワカヒコサイド双方で物語が進行します。
 ポイシュマがあんまり純粋なので、思わずうるうるきてしまいました。人食いに襲われて、アテルイに助けられてムラに帰ってきた後、またムラから出て行こうとするところで。うう、なんていい子なんだ。
 それから、ヤドでの生活がとっても楽しそうでした。
 ワカヒコもまたおそろしく純粋な子なんだけど、こっちは虐げられていて、あるいはその純粋さを利用しようとする人がいたりと、読んでてつらかったです。
 それにしても、ここで物語は終わってしまうのですね。うう~。これからってとこなのに。続きを読みたいのですが、どうも図書館になさそうなんですよねえ。でも、ここまで読んでやめるなんてできないしなあ。

ときわ姫 > あのー職権(乱用)で、学校図書室に全巻入れませんか?ダメ?中学生にも読んでもらいたいもの・・・。 (2004/07/04 21:13)
まゆ > 実は今年度分は、もう発注してしまったんですよねえ。「バッテリー」とか(じゅうぶん自分の趣味)。やはり買うしかないかしら・・・。 (2004/07/05 00:36)

2004年6月27日 (日)

月神の統べる森で

543「月神の統べる森で」たつみや章   講談社   ★★★

 のちに「縄文」と呼ばれる時代。海から来たヒメカの民は、クニを作り、ムラを襲った。ムラの若き長アテルイと、美貌の巫者シクイルケは、ヒメカの追っ手から逃げる途中、翡翠色の目をもつ少年ポイシュマと出会う。彼こそ運命の少年だった。

 昨今のファンタジーブームの影響を受けてか、小さな地元図書館にもファンタジーコーナーがあります。いつも眺めているのですが、分厚い本が多いのと、洋物が苦手なせいで、なかなか手が出ません。
 ところが、先日、和製ファンタジーを発見。しかも舞台は縄文時代(実はひそかにマイブームなのです)。なんとなく読みやすそうだし・・・と借りてきました。
 山や川、獣も鳥も、すべてが命をもち、人間はその恵みを受けて生きている・・・というのが、物語のベース。そして、自然と共存して生きている縄文人と、全く異なる文化をもつ弥生人との闘争の物語。と言っても、これはほんの序章にすぎず、本編はこれから、といった感じです。
 私の母は、ほんとに山奥と言っても差し支えないようなところで育った人で、この物語に出てくるポイシュマたちほどではないにしろ、やはり自然と共存するという意識は強い人です。私たちもそう教えられて育ちました。だから、この物語の言わんとしてるところは、非常によくわかります。
 しかし、これを読んでしまったら、続きを読まないわけにはいきませんね。

ときわ姫 > まゆさん、これまだでしたか。私の好きな和製ファンタジーの一つです。ぜひ続きを読んでくださいね。私はこれと、以前NHKでやった、「日本人はるかな旅」が重なって、どっちも良かったなあと思いました。 (2004/06/27 16:58)
まゆ > 北東北には縄文時代の遺跡が数多くあって、うちの母はある遺跡のボランティアガイドをしています。その影響もあって、縄文時代にすごく興味があるんです。これ、たまたま手にとったんですが、続きも絶対読みます~。 (2004/06/27 17:23)
北原杏子 > 続きもぜひ読んでみてください。よいですよ~ 縄文文化=古代ということでもう一冊。上橋菜穂子さんの「月の森に、カミよ眠れ」はいかがでしょう。たつみやさんの月神シリーズとイメージがちょっとかぶるんですが。 (2004/06/28 00:57)
ときわ姫 > 私も「月の森に、~」をぜひまゆさんに読んで欲しいと思います。シリーズでなく一冊で終わる児童書です。良いですよ! (2004/06/28 09:33)
まゆ > 北原杏子さん、ありがとうございます。φ(..)メモメモ。探してみます~。
ときわ姫さんもおすすめなのですね。これは絶対探さねば。 (2004/06/28 19:08)

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