俵万智

2003年7月31日 (木)

愛する源氏物語

281「愛する源氏物語」俵万智   文藝春秋   ★★★★

 源氏物語を和歌に注目して読み解いた、「万智訳で読む源氏」。
 源氏物語はあの膨大な物語を追いかけるのに精一杯で、和歌には全く注目していませんでした。数少ない原文で読んだ場面も、和歌の記憶はいっさいナシ。
 ただ、この時代における和歌の重要性ってのはわかってるつもりなので、万智さんがこういう本を書いてくださったなら読まなくては!と早速購入。装丁に使われている中島潔さんの絵もすばらしかったし。
 中身は全然堅苦しくなくて、物語中に出てくる和歌の「万智訳」を読みながら、それぞれの登場人物の人となりや、和歌のもつ力が語られていきます。人物評はなかなか傑作で、特にも夕霧や薫なんてめった斬りにされています(笑)それがまた的を射ていて、笑ってしまいました。特に「宇治十帖」にいたっては、万智さんの筆はものすごい勢いがつきます。も~、そこまで言う?みたいな。でも、納得しちゃいましたけど。
 それにしても、それぞれの登場人物になりかわってこれだけの歌を詠んだ紫式部の力量にあらためて脱帽。私も今まで歌人としての紫式部はあんまり評価してなかったのですが、特異な才能をもった人だったのは認めざるを得ません。

あしか > これ、何かに連載されてました?文芸春秋かな? (2003/07/31 18:28)
nanako > やばい、また面白そうな源氏本をみつけてしまった・・・。
近々書店にダッシュする自分の姿が目に浮かびます。 (2003/07/31 21:35)
まゆ > あしかさん、おっしゃる通り文藝春秋に連載されていたみたいです。あとがきによると、「源氏物語」をテーマにした絵画も一緒に掲載されていたみたいですね。
nanakoさんのためにアップしました(笑)というのは冗談ですが。お目に止まるかなあとは思ってました。源氏好きな方にはぜひ読んでみてほしい本です。 (2003/07/31 21:41)

2003年5月13日 (火)

101個目のレモン

223「101個目のレモン」俵万智   文藝春秋   ★★★★

「弟が結婚したり、自分は結婚しなかったり、二十一世紀になったり、三冊目の歌集を出したり、いろいろありましたが、すべてをひっくるめた自分自身の三十代が、ここには詰まっているような気がします。」(あとがきより)

 俵万智さんのエッセイ集。
 ほんとにこの方の書く文章は、さりげないようでいて言葉の選び方が絶妙で、ついつい読んでしまいます。歌も好きですが、むしろ日常読むぶんには、エッセイの方が好きです。歌はその時の気分によって、すんなり入ってくる時と、受け入れられないときがあるので・・・。
 おもしろかったのは、短歌について書いた一群。「チョコレート語訳みだれ髪」の成立過程なんて、読んでてドキドキしてしまいます。こうやって晶子の歌と向き合って、自分なりの言葉を紡いでいったのか~、と。
 お芝居や絵画について書かれた文章も興味深かったです。私もどちらも大好きなのです。

カラリ > 僕も彼女のエッセイは大好きです。歌の方はあんまり読んだことないですが。美しい日本語だなぁ、って感じます。 (2003/07/05 21:04)
まゆ > やはり言葉に対する感性がすばらしいなあと思います。歌のほうもさらさら読めるようでいて、その言葉の選び方、並べ方は余人の及ばないセンスがありますよ。 (2003/07/06 18:12)

2003年3月31日 (月)

チョコレート革命

192「チョコレート革命」俵万智   河出書房新社   ★★★

「焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き」

 「サラダ記念日」のちょうど10年後に出版されたこの歌集は、相変わらず恋の歌満載。しかも、テーマは「不倫」。読んでいてドキリとするような情景が描かれます。
 実は、初めて読んだときには「サラダ記念日」「風のてのひら」ほどのインパクトはなくて、あれ?と思ったのでした。だけど、何度も何度もくり返し読むたびに、少しずつ心に残っていく歌が増えていきます。
 万葉の時代から、恋歌は和歌の基本。俵さんも恋の歌が有名ですが、それ以外のものも私はけっこう好きです。この歌集のお気に入りは、山田かまちを歌った一章。
「ただ鳥が空を飛ぶようにただぼくは十七歳であることを飛ぶ」

さくら > 私もこの歌好きでした!俵万智は平常の気分の時に読んでもサラッと流れてしまうのですが、ちょっと弱ってる時などには深く入り込んできます。 (2003/04/01 10:01)
あさこ > 母が大好きで、家に本はあるのですが真剣に読んだことはありませんでした。ちょっとドキッとするような歌ですね~! (2003/04/01 18:11)
まゆ > 私は何回も読んでいるうちにしみてくるなあという感じです。俵さんの言葉の使い方のセンスが好きですね。あさこさん、きっと気にいる歌があると思いますよ。手にとってみてくださいな。 (2003/04/01 18:26)

2003年2月28日 (金)

風の組曲

167「風の組曲」俵万智   河出書房新社   ★★★★

 さくらさくらさくら咲き初め咲き終わりなにもなかったような公園

 俵万智の歌の中でも、かなり好きな一首。平易なようでいて真似できない言葉遣いのセンスと、歌の余韻が歌人・俵万智の魅力、と思っています。
 これらの短歌を中心としたエッセイと、文庫本の解説を集めた一冊。
 エッセイの方は自作解説のようなものあり、師匠・佐佐木幸綱の歌の解説ありで、歌詠みとして万智さんのスタンスが見えてきて興味深い。
 一方の文庫解説集は、読んでいるとどの本も読みたくなってしまうというおそろしいものです(笑)実際、これで買いに走った本もありました。好きな人にすすめられる本というのは、とっても魅力的なものですね。

2003年2月21日 (金)

百人一酒

160「百人一酒」俵万智   文藝春秋   ★★★★

「本書を読んで、なんだかお酒が飲みたくなってくだされば、本望です」…って、これを読んで飲みたくならない人は、「酒飲み」を名乗る資格はありません(笑)
 というわけで、自他ともに認める酒飲みの私は、これを読みながら、がまんできずにとっておきの泡盛をあけたのです。
 ワイン、日本酒、焼酎など、さまざまなお酒を飲んだ体験談、さらに新宿ゴールデン街での飲み屋のバイトの話まで、とにかく全編これお酒の話。
 1本いくらという高級ワインの話があれば、百円居酒屋の話があり。お酒のあての話なんて、もうよだれが出そうでした(失礼)。
 とにかく、万智さんがお酒が好きで好きで、とっても楽しそうに飲んでらっしゃるので、ついついこちらも飲みたくなってくる、そんなエッセイ集。
 いちばん印象に残ったのは、「ワインのいちばんの当たり年は、1945年」という話。それなのに、戦争にうつつを抜かしていた人間は、ワインを楽しむことすらできなかったという…。なんとも皮肉なエピソードでした。

mone > では、まゆさん、そのうちご一緒させて頂きましょう。(笑) (2003/02/22 02:01)
やぶ > まゆさん、飲みすぎには気をつけてくださいね。と言いながら酒飲みの私としては、まゆさんの日記を見てお酒を飲みたくなってきました。(笑)moneさんではないのですが本プロの皆さんと一緒に飲んでみたいですね。(私の回りで飲みながら本の話を出来る人がだれもいないので) (2003/02/22 02:42)
さくら > 本読みながらお酒!私も大好きです。まゆさんの日記拝見したら飲みたくなってきますね~。 (2003/02/22 09:29)
まゆ > わ~い。同好の士は少なくないみたいですね。うれしいです。おいしいお酒を飲みながら大好きな本…ってのは至福のひとときです。本プロの皆さんと飲みながら本の話ができたら楽しいだろうなあ。 (2003/02/22 10:26)
つん > まゆさんの感想を読むと、ますますこの本に興味湧いてきました。酒好きとしては読まなきゃ! (2003/03/11 20:51)
まゆ > つんさん、すいません。レス見落としてました~。酒好きなら必読の書(笑)ですよ~。ただし、読むときにはお酒の準備もお忘れなく。絶対飲みたくなりますから。 (2003/03/15 22:18)

2002年10月31日 (木)

チョコレート語訳 みだれ髪

63「チョコレート語訳 みだれ髪」俵万智   河出書房新社   ★★★★

 なんとなく君が待ってる気がしたの花野に出れば月がひらひら

 与謝野晶子「みだれ髪」の俵万智版現代語訳。
 晶子の歌を元歌にして、決してその範囲から逸脱しないように、けれど万智さんらしくカヴァーされた歌。晶子の歌では難解なところが、訳されるとストンと理解できる。
 冒頭に引用した歌の元歌は、
   なにとなく君にまた待たるるここちして出でし花野の夕月夜かな
 「夕月夜」を「月がひらひら」とするところが、なんとも万智さんらしい。夕月夜という言葉も美しいが、ひらひらにも新鮮な感動がある。
 現代語訳というより、与謝野晶子と俵万智のバトルといった感じもする。万智さんの訳がピタッと決まったものもあれば、元歌を越えられずといったものも。
 最後にもう一首、好きな歌を。
    その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな
  二十歳とはロングヘアーをなびかせて畏れを知らぬ春のヴィーナス 

さくら > まゆさんの言うとおり、うまい!っていうのもあるし、「ん~こうくるかな?」っていうのもありますよね。こういう美しい日本語を目にすると、普段使う自分の言葉を反省・・です。 (2002/11/01 14:46)
まゆ > 私もふだん言葉に関わる仕事をしてるのですが、こういうものを読むと、自分の言葉遣いの雑さ・つたなさに赤面しちゃいますね。 (2002/11/01 22:28)

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