茨木のり子

2014年4月27日 (日)

詩のこころを読む

2115「詩のこころを読む」 茨木のり子   岩波ジュニア新書   ★★★★★

今まで気が向いたときに、読みたいところだけ読んでいましたが、久々に最初から通読しました。紹介されている詩もさることながら、詩のよさを説く茨木のり子さんの凛とした姿勢がすてきです。

和歌の長い歴史に比べると、日本の詩(特に口語詩)の歴史はまだまだ浅く、発展途上なのではないか・・・ということを最近つれづれに思ったりしていまして。というのも、久しく詩から遠ざかっていたのが、このところ、またぽつぽつと詩を読むようになってきたからです。

この本は、詩を読む入門書としても、また、多少かじったつもりになっている私みたいな人間にも、おすすめの一冊。詩とは何かという、茨木のり子なりの詩論にもなっていて、いろいろ考えさせられます。

それにしても、これ、初版が1979年! 35年も前なのに、少しも古びていないところがすばらしいです。

2011年2月16日 (水)

歳月

1663「歳月」茨木のり子   花神社   ★★★★★

  ふさわしい者でありたいと
  おもいつづけてきましたが
  追いつけぬままに逝かれてしまって
  たったひとつの慰めは
  あなたの生きて在る時に
  その値打ちを私がすでに知っていたということです
                         (パンツ一枚で)より

先日、「清冽」という茨木のり子の評伝を読んだとき、この詩集に関する記述があり、どうしても読みたくなって、盛岡の大きな書店まで買いに行きました。実は、以前にも立ち読みしたことがあったのですが、途中で泣きそうになってしまい、それ以上読めず、本棚に戻したのでした。

二十五年連れ添い、病で先立った夫への恋唄を集めたこの詩集。気恥ずかしかったのかなかなか出版しようとせず、それでも晩年には詩集としてまとめる準備をしていたということを知り、世に出すことが作者本人の意志だったのなら、ぜひ読むべきだ・・・と。さらに、茨木のり子の詩に物足りなさを感じていたらしい谷川俊太郎がこの詩集を絶賛したというのも、私の興味をひきました。

たしかに、茨木のり子の、姿勢のいい、凛とした詩とは、ちょっと趣が異なります。どこかなまめいていて、艶っぽく、一人の女性が、たった一人の巡り合うべき男性に巡り合い、愛し合った幸せと、残された者の強い寂寥感が伝わってきます。この「ナマ」な感じこそ、谷川俊太郎が求めていたものだったのでしょう。それでも、やはり茨木のり子らしさは失っていない、奇跡的なバランスで成り立っている詩篇です。

茨木さんの詩は、感情を感情的な言葉で表現しない、ある意味抑制されたところがあるのが特徴なのかもしれません。しかし、この詩集では、時々ドキリとするような言葉が並んでいます。例えば、亡夫がもし夜の庭にふらりと現れたなら・・・という詩「夜の庭」では、

  隙をみて
  やおらあなたの兵児帯をしっかり摑み
  いっしょにくるりトンボを切って
  今度こそいっしょに行くのです

さりげなく並べられた言葉のかげの激情に、思わずこちらの感情が揺さぶられました。

伝わってくるのは、夫への愛情です。人として尊敬できる相手に、愛し愛された幸福な日々と、死後なお募る思い。亡き夫への恋文を書き続けたようなものかもしれません。

繰り返し読んでいるのですが、感じたことがまだうまく言葉になりません。一生、そばに置きたい詩集です。

2008年2月 8日 (金)

倚りかからず

1255「倚りかからず」茨木のり子   筑摩書房   ★★★★

 1999年に刊行された、茨木のり子さんの詩集。表題作がいかにも茨木さんらしいです。

 茨木のり子さんが亡くなられて2年がたちます。「わたしが一番きれいだったとき」や「自分の感受性くらい」は、いまだに大好きな詩です。

 凛とした強さがあって、何にも媚びず、へつらわず、自分の足ですっくと立っている印象の詩人でした。この詩集も、そういう茨木さんのスタンスが、明確に示されています。

 個人的に「あ!」と思ったのは、「ピカソのぎょろ目」。茨木さんがご自身の病気について書いているのですが、私も同じ病気なのです。なんだか、妙に親近感を覚えてしまいました。病気のことといっても、全然重くなくて、むしろユーモラスな詩になっているところが、とても好きです。

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