須賀しのぶ

2017年4月15日 (土)

また、桜の国で

2562「また、桜の国で」 須賀しのぶ   祥伝社   ★★★★

第二次世界大戦直前のポーランドに赴任した外務書記生の棚倉慎は、戦争を回避するため、何より日本とポーランドの友好のために働いていた。しかし、ナチスドイツはポーランド侵攻をはじめ、国土は蹂躙される。友との約束を果たすべく、慎がとった行動は・・・。

直木賞候補作でしたね。読み応えありました。

ポーランドの歴史については、恥ずかしながらほとんど知りませんでした。これだけ周りの国々に裏切られ続け、何度も国土を失った歴史があったなんて。

主人公・棚倉慎は、白系ロシア人を父にもつ日本人。その生い立ちと、幼い頃偶然出会ったポーランド人の少年・カミルとの出会いが、慎の人生を決定付けます。外交の最前線で、後半は戦闘の最前線で、慎は果たして自分の信念を貫くことができるのか・・・。

慎の生き方は見事です。しかし、その結末はやはり悲しい。全編を通して流れる「革命のエチュード」が、印象的でした。

2011年10月 2日 (日)

北の舞姫 芙蓉千里Ⅱ

1765「北の舞姫 芙蓉千里Ⅱ」 須賀しのぶ   角川書店   ★★★★

哈爾濱では知らぬ者のないほどの芸妓になった芙蓉。その頃、ロシアでは革命が起こり、多くのロシア人が国境を越えてきていた。その中の一人、エリアナの「瀕死の白鳥」を見た芙蓉は衝撃を受ける。自分の舞を見失った芙蓉は何かを求めてシベリアへ向かうが、そこにはさらに過酷な運命が待っていた。

「芙蓉千里」続編です。波乱万丈のフミの運命は、2巻になってさらに舞台を広げるとともに、過酷さを増します。もう、なんと言ったらいいか・・・。

正直、最初はあまり乗れなかったのです。予想はできたことですが、けっこうベタな展開だったもので。しかし、フミが大連で舞を一からやり直すあたりから一気にはまりました(まあ、それもベタな展開ですが)。

1巻は基本的に妓楼の中で話が展開しましたが、今回は哈爾濱、シベリア、大連、ウラジオストックと、転々とします。それだけスケールも大きくなるし、山村や黒谷たちの過去も語られ、芙蓉の舞もとんでもない境地に達してしまいます。こっちは、物語の波に飲み込まれて、翻弄されるがまま。いやはや、堪能いたしました。

悲惨な話ではあるのですが、フミの生命力が救いだし、希望です。

この話、まだ続くのですね。うーん、楽しみ。

2011年8月27日 (土)

芙蓉千里

1749「芙蓉千里」 須賀しのぶ   角川書店   ★★★★

自ら望んで女衒に拾われ、大陸に渡ったフミ。天涯孤独、故郷をもたぬフミは、大陸一の女郎になると心に決めていた。東北の農家の娘タエとともに、ハルピンの女郎屋に引き取られたフミは、下働きに明け暮れる。しかし、フミには思いもかけない運命が待っていた。

本の表紙がなんとも言えない雰囲気を醸し出していて、前から気になっていたのですが・・・ケータイ小説なのですね。知りませんでした。

これぞエンタテイメント、これぞ大河ロマン、これぞメロドラマ!って感じで、とにかくおもしろくて一気読みしてしまいました。

主人公のフミが、とってもよいのです。なんと言ったらいいのか・・・まず、たくましい。そして、魂が自由。変に善人ぶらず、自分の気持ちに正直で。そんなフミが、ただの子供から少女になり、恋をして女になっていく姿が、実に嫌味なく描かれていて、とっても気持ちよく読めました。

決してきれいなことだけでなく、女郎屋の生々しさも書かれているし、伊藤博文の暗殺が描かれる通り、きなくさい時代なので、後半はフミたちの生活にも暗い影がさしてくるのですが。それでも、フミの生命力に引っ張られるように、最後までぐいぐい読まされました。

不思議な形で交錯するフミとタエの生きざま。フミの初恋の人・山村との出会いと別れ。姉女郎たちの悲惨な人生。フミの「旦那」となる黒谷の心の傷。さまざまなドラマが展開して、息つく暇もないという感じでした。

続編も出てるので、楽しみです。

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