三木笙子

2017年11月 3日 (金)

怪盗の伴奏者

2659「怪盗の伴奏者」 三木笙子   創元推理文庫   ★★★

帝都を騒がせる大怪盗ロータスと、一連の事件の主任検事となった安西は、少年時代、無二の親友だった。敵対する二人が再び相まみえたとき、事件の結末は・・・。帝都探偵絵図シリーズ第4弾。

「君なら僕と同じ速さで走ることができる」・・・憧れてやまない相手からこう言われたら。どれほど誇らしく思うことだろう。そして、どこまでも共に走ろうと決意することだろう。

「伴走者」「反魂蝶」「怪盗の伴走者」の三話から成るこの物語は、そんな立場におかれた安西省吾検事が主人公。鬱屈した少年時代、省吾に唯一の光を与えてくれた蓮は、才気にあふれ、少年ながら末恐ろしい人物。二人は互いをパートナーと認め合うが、大人になった省吾は検事に、蓮は帝都を騒がす怪盗ロータスに。敵対する関係になった二人は・・・。

「伴走者」では二人の出会いを、「反魂蝶」は二人が協力して事件を解決した出来事を。そして「怪盗の伴走者」は、大人になった二人が描かれ、ここでようやく本来の探偵役・記者の高広と絵師の礼が登場します。敵対しなければならない省吾と蓮は、いったいどうするのか? 

結末は、そうなるのか・・・という感じでしたが、二人の来し方を考えると、それもまた必然だったのかもしれません。それほどまでに、省吾をとらえた光は強かったのでしょう。

「伴走者」「

2014年2月10日 (月)

人形遣いの影盗み

2091「人形遣いの影盗み」 三木笙子   創元推理文庫   ★★★

雑誌記者の里見高広と、帝都一の美人画家・有村礼による、帝都探偵物語シリーズ第3作。「びいどろ池の月」「恐怖の下宿屋」「永遠の休暇」「妙なる調べ奏でよ」「人形遣いの影盗み」「美術祭異聞」の6編を収録。

シリーズの中で、これが一番充実していた気がします。ミステリ部分もさることながら、高広と礼、それぞれの置かれた環境が、それに関わる事件に厚みを増していくような。

表題作には怪盗ロータスが再登場。いったい何者?という感じですが。ホームズの大ファンである礼は、自らをワトソン、高広をホームズになぞらえていますが、ロータスは自称アルセーヌ・ルパンとのこと。なんとも豪華なキャスティングです(笑)

ほかにも、今までの作品に登場したキャラが再登場していて、ちょっとお得感がありました。

表題作や「びいどろ~」もよかったですが、コメディタッチの「恐怖の下宿屋」、幕切れの礼の言葉が印象的な「妙なる調べ奏でよ」といった小品がとてもよかったです。

2012年10月 5日 (金)

世界記憶コンクール

1919「世界記憶コンクール」 三木笙子   創元推理文庫   ★★★★

『記憶に自信ある者求む』という奇妙な新聞広告。養父に勧められて応募した博一は、その圧倒的な記憶力で見事合格。毎日、記憶力の訓練に通うことになったが・・・。

美形の天才絵師・有村礼をワトソンに、司法大臣を養父にもつ雑誌記者・里見高広をホームズになぞらえた、「帝都探偵絵図」シリーズ第2弾。

「世界記憶コンクール」「氷のような女」「黄金の日々」「生人形の涙」「月と竹の物語」の5話を収録。

表題作は、なんとも奇妙なタイトルですが、ホームズの「赤毛組合」を下敷きにしたミステリ。「赤毛」はホームズものの中でもかなり有名かつインパクトのある話ですが、あれがこういうふうにアレンジされますか~と、感心してしまいました。

それから、「氷のような女」もおもしろかったです。いつまでたっても、高広も礼も登場しないじゃないの・・・と思っていたら、そういうことでしたか。作者の思惑にはまりまくりでした(苦笑)

ほかにも、高広と礼のなれそめ(?)エピソードがあったり、なかなか楽しめた2作目でした。

2012年1月16日 (月)

人魚は空に還る

1815「人魚は空に還る」 三木笙子   創元推理文庫   ★★★

消えた大粒の真珠。見世物小屋の美しい人魚。神出鬼没の怪盗ロータス。・・・雑誌記者の里見高広と、美貌の天才絵師・有村礼。二人の青年が明治の世の不可思議な事件を解き明かす、帝都探偵物語。

以前から気になっていた作家さん、気になっていたシリーズ。とりあえず、文庫で購入してみました。

なんとなく、設定はツボだなあと思っていましたが、ちょっとひとひねりありました。美形天才絵師の礼が探偵役かと予想していたら、ホームズは高広の方。そして、礼はストランドマガジンに連載中の「シャーロック・ホームズ」の大ファンで、自らをワトソンになぞらえ、高広にホームズたることを期待(要求?)している、という・・・。高広もさっそうとした探偵ではなく、おそろしく控えめで、そのアンバランスがなんとなく微笑ましいのです。

ミステリとしては正攻法なんでしょうけれど、ちょっと物足りない気もしました。わりと淡々と謎解きされてしまうので。もう少し何かインパクトがあってもいいかなと。

ま、こういう話のお約束で、のちに名を残す実在の人物がちらほら登場するのはご愛嬌ですね。

まあまあ楽しめたので、続編も読んでみようかなと思ってます。

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