日明恩

2012年4月21日 (土)

ギフト

1855「ギフト」 日明恩   双葉文庫   ★★★★

レンタルビデオ店で働く須賀原は、ホラービデオの棚の前で毎日涙をこぼす少年を見かける。その少年・明生は、死者が見えるのだという。ほんの偶然から明生の秘密を知ってしまった須賀原は、明生に話しかけてくる死者たちとも関わることになる。それは、須賀原が刑事を辞めるきっかけになったある事件へとつながっていく・・・。

ずっと読もう読もうと思って忘れていた一冊。文庫化されたので、買っちゃいました。

「ギフト」・・・神様からの贈り物。しかし、明生にとって、死者が見えるという力は、悲しみと孤独しか与えてくれなかったのです。同じように孤独だった須賀原に出会うまでは。

それぞれが抱えている孤独は、あまりにも重くて、やりきれません。職務質問しようとした少年が死んでしまった須賀原。自分の力を信じてもらえず、両親との深い心の溝を抱えて生きてきた明生。偶然出会った二人は、それぞれの能力を駆使して、死者たちの未練を解消していくことになります。

心残りが消え、満足して旅立つ死者たち。中には、決して救われることのない死者もいるのですが・・・そのあたりがただの「めでたしめでたし」でなくて、好きでした。

最後には須賀原も明生の力に救われるのですが・・・明生はどうなっていくんでしょう。死者と生者、両方を救った明生。そのことが、彼が生きていく杖の一つになれば・・・と、願わずにはいられませんでした。

2008年5月 3日 (土)

鎮火報

1290「鎮火報」日明恩    講談社文庫    ★★★

 大山雄大。新米の消防士。根っからの消防士だった父を亡くし、自分はそんな消防バカにはならないと誓う二十歳。
 しかし、外国人アパートを狙った連続放火事件に関わるうちに、雄大の気持ちに変化が…。

 「それでも、警官は微笑う」の日明さんの消防士もの。待望の文庫化です。
 消防士の仕事に全く熱意をもたない主人公・雄大の成長物語。すごく好みなストーリーなはずなのに、いまいちノリきれませんでした。
 事件そのものがなんだかごちゃごちゃしていて、そのわりに犯人は簡単にわかってしまうし。
 何より、雄大がかっこよすぎるんですよ。友人たちや母親もかっこいい。「池袋ウエストゲートパーク」みたいな感じがしました。 それなりにおもしろかったのですが…ちょっと私の期待したものとは違ったかなぁ。

2006年8月15日 (火)

それでも、警官は微笑う

1013「それでも、警官は微笑う」日明恩   講談社文庫   ★★★★

 製造元不明の拳銃を追う渋谷署の刑事・武本の前に、ある日突然現れた麻薬取締官の宮田。二人は五年前のある事件にたどりつく。無口な武本と対照的ににぎやかな年下の上司・潮田や、課長の安住・・・男たちが真実を求め、走り出す。

 刊行された当時からずっと気になっていた一冊。文庫化されたので買ってみました。いや~、読み応えありました。
 出だしでちょっとひいてしまいましたが(笑)、なんというか、ゴリゴリの刑事ものですね。潮田くんがいきなり「合田さんが」と言い出すので笑ってしまいました。
 個人的には、正統派の刑事もの、という印象で、「太陽にほえろ」から始まって、刑事もの・警察小説を愛する私としては、非常に楽しめました。武本なんて、刑事ものには欠かせないタイプのキャラですよね。安住課長も。
 今回、意外と気に入ってしまったのが潮田くんでした。微妙に権力をもってしまった彼が、葛藤しつつ成長していく過程は、ちょっと感動してしまいました。でも、行き着いた結論は、室井さん(by踊る大走査線)と同じなわけね(笑)
 それにしても、誰一人望んだ結果は手に入れていないというところが、苦かったです。いや、甘い結末は似合わないので、それでこそだとは思うのですが。武本と、潮田と、宮田と・・・三人がそれぞれの道へ歩き出すラストシーンがとても好きです。

めみ > この出だしは引きますよね~(笑)。特に必要なかったのでは。潮田の葛藤する姿が人間っぽくて良かったです。でも、彼の決断はあまりにも有名な前例があるから、新鮮味が感じられなくて残念。やっぱり室井さんの方が説得力がありますし・・・(笑)。 (2006/08/17 13:27)
まゆ > めみさん、やっぱりひきますよね・・・。あの二人じゃあ、ねえ。潮田くんのキャラは意外とよかったですよね。でも、室井さんには負けるなあ。初読みの作家さんなんですが、ほかの作品もこんな感じなんでしょうか。 (2006/08/17 21:46)

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