大倉崇裕

2017年1月 6日 (金)

福家警部補の報告

2522「福家警部補の報告」 大倉崇裕   創元推理文庫   ★★★★

およそ刑事らしくない福家警部補が、犯人を追い詰める倒叙ミステリ第3弾。

待ちに待った文庫化です! 「挨拶」も「再訪」もおもしろくて、あっという間に読んでしまったので、この三作目の文庫化を首を長~くして待っておりました。

「禁断の筋書(プロット)」「少女の沈黙」「女神の微笑(ほほえみ)」の3編を収録。

相変わらず、刑事に見えない福家警部補が、警察バッヂを捜したり、お金を借りたりしながら、事件を解き明かしていきます(読んでない人には、なんのことだかわかりませんね)。

倒叙ものなので、犯人も、殺害の手段も最初からわかっているのですが、福家がどうやって犯人を突き崩していくのか、犯人の動機とはいったい何なのか・・・。そのあたりの、福家の犯人との緊迫感のあるやりとりが、醍醐味です。

そういえば、これ、ドラマ化されたんでしたっけ。檀れいは、宝塚時代から好きな女優さんなんですが、ドラマの作りがイマイチな感じで、見るのやめちゃったんでした。もうちょっと見とけばよかったかな。

とりあえず、さらなる続編も出ているので、また文庫化をひたすら待つことにします。

2013年11月 8日 (金)

福家警部補の再訪

2065「福家警部補の再訪」 大倉崇裕   創元推理文庫   ★★★★

刑事に見えない福家警部補と、犯人の熾烈な攻防。倒叙ミステリのシリーズ第2作。「マックス号事件」「失われた灯」「相棒」「プロジェクトブルー」の4編を収録。

同じ作者の作品は続けて読まないようにしているのですが(あまり続くと、あきてしまうので)、そんなセーブがきかないほど、読みたくて。1作目「挨拶」に続けて、読んでしまいました。そして、全然あきなかったです。

「刑事コロンボ」へのオマージュでもあるようですが、それと切り離しても、とてもおもしろい。必死に犯行を隠ぺいしようとする犯人を追いつめていく福家。その得体の知れなさは不気味ですらあります。ごくごく小さなミスや矛盾を見逃さない福家と、犯人との心理戦は、息が詰まるような緊迫感が。

それでいて、福家のちょっととぼけたキャラが、いい味出してるんですよね。しかし・・・彼女の興味関心は、いったいどういう方向性があるんでしょうねえ。

続編もあるようで、文庫化されるのを楽しみに待とうと思います。

2013年11月 4日 (月)

福家警部補の挨拶

2064「福家警部補の挨拶」 大倉崇裕   創元推理文庫   ★★★★

小柄で地味で、目立たない女性。どう見ても刑事に見えない福家警部補が、犯人を追いつめる、倒叙ミステリ。

父が「刑事コロンボ」が好きで、テレビの洋画劇場をよく見ていました。当時小学生だった私には、ボサボサ頭によれよれコートのおっさんがしゃべりまくる映画はあまりおもしろいと思えなかったのですが・・・。やはり、「古畑任三郎」ですね、開眼したのは。

ただ、個人的にはミステリの好みは「フーダニット」なので、倒叙ものというのはどうもなあ・・・と思っていたのですが。

これは、おもしろかったです。短編集なら少しずつ読めるかなと思ったのに、一気読みしてしまったくらい。

どう見ても「切れ者」に見えない福家警部補が、犯人のささいなミスから犯罪を暴き出す過程は、ドキドキしてしまいました。また、この警部補殿、得体が知れないのですよね。徹夜しても平気、ものすごい酒豪のようだし。

続編、「福家警部補の再訪」も買ってしまいました。これから読みます。

2010年6月 8日 (火)

オチケン!

1508「オチケン!」大倉崇裕   理論社   ★★★

興味もないのに落研(落語研究会)に無理やりひきずりこまれた越智健一。岸と中村という二人の先輩しかいない弱小サークルなのに、文化系同好会の部室争奪をめぐる陰謀に巻き込まれてしまう。落語はわからず、先輩たちの言動は奇妙で、授業には出られず、あげく奇妙な事件が起こり・・・越智健一の未来はどっちだ!?

ちょっと軽めの話が読みたくて、手に取りました。落語は詳しくないですが、ミステリには落語ってわりとよく登場するのですよね。もちろん、決定打は北村薫の「円紫さんと私」シリーズでしたが。この本に出てくる噺は有名なものが多くて、さらに初心者でもわかりやすいようにしてくれているので、大丈夫です。

さてさて、越智健一が引きずり込まれた落研は、存続の危機に瀕しているために、その部室を他の同好会に狙われているのです。それなのに、落語を語る幽霊が出たり、馬術部にある捜査を依頼されたり・・・なんだか、せわしない。巻き込まれ型の主人公の越智は、よくわからないままその渦中に放り込まれて、授業にもほとんど出られず・・・。でも、いつのまにか、事件を解決してしまったりするのです。

テンポのいい文章で、落語を聞いているように、サクサク読めます。要領の悪い越智にも笑ってしまいますが、最大のミステリは、二人の先輩・岸と中村はいったい何者?ということですね。とにかくこの二人、挙動不審で変人(笑)

軽いノリで楽しめるミステリです。

巻末の、作者の落語に関するエッセイが、ちょっとしたミステリ論にもなっていて、なかなかおもしろかったです。

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