アンソロジー

2018年6月 3日 (日)

捨てる

2753「捨てる」 アミの会(仮)   文藝春秋   ★★★★

女性作家によるアンソロジー集団「アミの会(仮)」による、書き下ろしアンソロジー第1弾。

順番が前後しましたが、ようやく第1弾にたどりつきました。

大崎梢「箱の中身は」、松村比呂美「蜜腺」、福田和代「捨ててもたっていいですか?」、篠田真由美「forget me not」、光原百合「四つの掌編  戻る人形 ツバメたち バー・スイートメモりーへようこそ」、新津きよみ「お守り」、永嶋恵美「ババ抜き」、近藤史恵「幸せのお手本」、柴田よしき「花子さんと、捨てられた白い花の冒険」

テーマが「捨てる」。どんなふうに料理してくるのかなあと思ったら、けっこうダイレクトに「捨てる」話が多かったかな、と。

一番インパクトがあったのは、松村比呂美「蜜腺」。梓の夫は、保険金のために自殺した。その原因になった姑に、毎晩夕飯を作っている梓は・・・。姑の人でなしっぷりもすごいですが、梓が考えた「弔い」というのが、なんとも(苦笑) ちょっとトラウマになりそうな話でした。

どの話もおもしろく、充実したアンソロジーでした。個人的には新津きよみ「お守り」、柴田よしき「花子さんと~」が好きかな。

会員やゲストも回を追うごとに増えていって、毎回楽しみな「アミの回(仮)」のアンソロジー。今後もぜひ続けてほしいものです。

2018年4月24日 (火)

怪を編む

2739「怪を編む」 アミの会(仮) 光文社文庫   ★★★★

女性作家によるアンソロジー企画「アミの会(仮)」による第五弾は、ショートショート集。25人の作家の手になる書き下ろしショートショート。

ショートショーt-はあまり読まないのですが、これは作家陣が豪華で、迷わず購入。読み応えありました。

「怪を編む」というタイトルですが、「怪」というもののとらえ方に、それぞれ個性が出ていておもしろかったです。

印象に残ったのは、似鳥鶏「イルカのシール」、坂木司「デコイ」、芦沢央「母校」、新津きよみ「グリーフケア」、彩瀬まる「甘い種」、福田和代「記憶」。

それから、トップを飾った太田忠司「メイクアップ」。こういうアンソロジーって、冒頭作品の果たす役割は大きいと思うのですが、太田さん、さすがでした。現実が奇妙に歪んでいくような物語。まさに「怪」の世界でした。

2018年3月 9日 (金)

アリス殺人事件

2720「アリス殺人事件」 有栖川有栖 宮部みゆき・他   河出文庫   ★★★

「不思議の国のアリス」の世界を下敷きにしたミステリー・アンソロジー。

有栖川有栖「ジャバウォッキー」、宮部みゆき「白い騎士は歌う」、篠田真由美「DYING MESSAGE《Y》」、柄刀一「言語と密室のコンポジション」、山口雅也「不在のお茶会」、北原尚彦「鏡迷宮」の6作品を収録。

「アリス」は未読なのですが、ミステリとの親和性が高い題材のせいか、よくネタになっているので、読んでいなくても内容を知っているというパターン。

今回のアンソロジーでは、有栖川さんと宮部さんのが既読でした。有栖川さんのは作家アリスもので、火村英生が探偵役。去年読んだアンソロジーの一編でした。初めて読んだときには、それほどおもしろいと思わなかったのですが、これだけ取り出してみると、なかなか。「言葉」のみを頼りに謎を解いていく推理の過程がおもしろかったです。

宮部さんのは、「マサ」シリーズでした。なつかしい!というか、全然覚えていませんでした。探偵事務所の飼い犬・マサを語り手にした短編は、もっとほんわかしたイメージでしたが、どうも記憶違いのようで。宮部さんって、けっこう昔からこういうやりきれなさに向き合ってきたのだなあと再確認しました。

2017年12月20日 (水)

百物語怪談会

2683「百物語怪談会」 東雅夫・編   ちくま文庫   ★★★★

明治末期、文明開化への反発から起こった「怪談復興」の波。名だたる文人墨客を集めて行われた怪談会が何度も開催された。そのなかの二つの怪談会の記録の復刻本。

明治42年刊「怪談会」の復刻と、明治44年『新小説』に掲載された「怪談百物語」を収録。どちらも泉鏡花が主宰のようです。また、附録として明治41年『趣味』掲載の怪談会リポート「不思議譚」を収録。こちらは与謝野寛の名前があります。

作家や役者、画家、学者、芸妓などなど・・・。さまざまなジャンルで当時第一線で活躍していた人たちが集って語る「怪異」。実体験あり、伝聞あり。完全オリジナルと思われるものもあれば、どこかで聞いたような話もあり。それでも、数を重ねれば、それなりの凄みが出てくるのが怪談のおもしろさです。

しかも、語り口調そのままで記録されているので、人によって文体に違いがあるのが、臨場感があって実におもしろかったです。

こういう怪談会が盛んだったのが、明治も末の時期というのにちょっと驚きました。時代背景を考えるとねえ・・・。でも、わかる気はします。

東雅夫編集の「文豪怪談傑作選・特別篇」の一冊。この「特別篇」は、怪談実話を集めているので、注目してます。

2017年12月13日 (水)

宮辻薬東宮

2677「宮辻薬東宮」 宮部みゆき 辻村深月 薬丸岳 東山彰良 宮内悠介   講談社   ★★★★

この奇妙なタイトルは、五人の初めの一文字を並べたもの。リレー形式のホラー・アンソロジー。

宮部みゆき「人・で・なし」→辻村深月「ママ・はは」→薬丸岳「わたし・わたし」→東山彰良「スマホが・ほ・し・い」→宮内悠介「夢・を・殺す」

大御所・宮部さんからはじまって、モチーフを徐々につないでいってできあがる物語群。それぞれの個性もあって、なかなかおもしろかったです。この中では薬丸さんが初読みでした。

年齢的には、宮部さんの次の世代が薬丸さんと東山さん、その次が辻村さんと宮内さんになるんですね。作風というか、扱う題材にもちょっとその世代のにおいを感じました。

好みで言えば、やはり宮部さん。この中ではいちばん、ホラーというジャンルを書きなれているのかな、と。因果がはっきりしない「怪」はやっかいだと思うのですが、これもそう思っていたら、話が思わぬ方へ・・・。とってもダークな結末でしたが、でも後味の良いホラーも変かな?とも思うので。

辻村さんの「ママ・はは」は、読んでて苦しくなりました。母娘の関係って難しい・・・。ちょっと自分にも思い当たるところがあったので、しんどかったです。

2017年8月27日 (日)

猫が見ていた

2624「猫が見ていた」 湊かなえ・他   文春文庫   ★★★★

湊かなえ「マロンの話」、有栖川有栖「エア・キャット」、柚月裕子「泣く猫」、北村薫「『100万回生きたねこ』は絶望の書か」、井上荒野「凶暴な気分」、東山彰良「黒い白猫」、加納朋子「三べんまわってニャンと鳴く」の7つの短編に、澤田瞳子「オールタイム猫小説傑作選」を加えた、猫がテーマのアンソロジー。文庫オリジナル。

猫好きとしては食いつかずにはいられない企画です。しかも、執筆陣も私好み。

それぞれ「らしい」なと思う話でしたが、加納さんの「ソシャゲ」を題材にしたのはちょっと意外でした。北村さんのは「中野のお父さん」シリーズですね。

インパクトがあったのは、湊かなえさんの「マロンの話」。実話?という感じでしたが・・・。マロンが飼い猫になっていく過程が「あるある」で。

最近、猫飼いたい熱が高まっていて、ツイッターで人様の猫画像や猫動画に見入る日々です。いいなあ、猫。

2017年8月12日 (土)

文藝怪談実話

2619「文藝怪談実話」 東雅夫・編   ちくま文庫   ★★★★

「文豪怪談傑作選・特別篇」は、古今の文豪を中心に、各界の怪談「実話」を集めたアンソロジー。

ツイッターで見かけて、早速買いに走ったのですが・・・いや、おもしろかったです。

遠藤周作と三浦朱門が遭遇した怪異を、それぞれが記述した「幽霊見参記」からはじまって、明治・大正・昭和の作家や文化人たちの体験談がどっさり。いずれも、読み物としておもしろい、選りすぐりの作品集になっています。

印象的だったのは、田中河内介にまつわる話。私はこの話、初めて知ったのですが。元の話そのものはそれほど怖くないのに、さまざまな偶然が絡み合って、なにやら因縁を感じずにはいられないところが・・・。

怪談好きな方にはおすすめの一冊。

2017年8月 8日 (火)

毒殺協奏曲

2618「毒殺協奏曲」 アミの会(仮)   原書房   ★★★★

「毒殺」がテーマのアンソロジー。

永嶋恵美「伴奏者」、柴田よしき「猫は毒殺に関与しない」、新津きよみ「罪を認めてください」、有栖川有栖「劇的な幕切れ」、松村比呂美「ナザル」、小林泰三「吹雪の朝」、篠田真由美「完璧な蒐集」、光原百合「三人の女の物語」

殺害方法が指定された状態で、どういうミステリを書くか、それぞれの作家さんのお手並み拝見・・・という感じですが、さすがにみなさんお見事です。いずれも読み応えのある作品ばかり。

こういうテーマを決めたアンソロジーだと、それぞれの特徴が顕著になって、それはまたおもしろいものです。

アミの会(仮)では、こういう試みを続けていくとのこと。これからも読みたいものです。

2017年5月 4日 (木)

アンソロジー 隠す

2573「アンソロジー 隠す」 アミの会(仮)   文藝春秋   ★★★★

「隠す」をテーマにした、11人の女性作家によるミステリ・アンソロジー。

大崎梢・加納朋子・近藤史恵・篠田真由美・柴田よしき・永嶋恵美・新津きよみ・福田和代・松尾由美・松村比呂美・光原百合の11名の12編。

読み応えありました~。アンソロジーだし、少しずつ読もうと思っていたのに、冒頭の柴田よしき「理由(わけ)」がおもしろくて、そこから一気読みでした。

「隠す」というテーマでも、いろんな「隠し方」があって、おお!今度はこう来たか~なんて、それぞれの趣向を楽しみました。

印象的だったのは、永嶋恵美「自宅警備員の憂鬱」、近藤史恵「甘い生活」。加納朋子「少年少女秘密基地」は、あの作品のスピンオフで、それも楽しかったです。

それにしても、この「アミの会(仮)」のアンソロジー、すでに3冊目なんですね。知らなかった・・・。前の2冊も探してみなくては。

2017年4月10日 (月)

みんなの怪盗ルパン

2559「みんなの怪盗ルパン」 小林泰三・他   ポプラ社   ★★★

小林泰三「最初の角逐」、近藤史恵「青い猫目石」、藤野恵美「ありし日の少年ルパン」、真山仁「ルパンの正義」、湊かなえ「仏蘭西紳士」の5編を収録した、「怪盗ルパン」オマーシュ・アンソロジー。

小学生の頃、ルパンものを読み漁ったものでした。なつかしい・・・。その記憶がよみがえってくるような5つの作品。

私にとってのルパンのイメージはやはり「怪盗紳士」で、そういった意味では、湊さんの「仏蘭西紳士」が一番好みでした(もっとも、この物語では、ルパンは探偵役ですが)。それから、近藤さんの「青い猫目石」も、ルパンもののテイストが横溢していて、好きでした。

ルパンとホームズどっちが好きかというのは、昔から論争があるようですが、私はかつて断然ルパン派でした。その後、ホームズもののおもしろさにはまりましたが、最近はどちらも読んでいませんねえ。

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