まだ温かい鍋を抱いておやすみ
3080「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」 彩瀬まる 祥伝社 ★★★★
「ひと匙のはばたき」「かなしい食べもの」「ミックスミックスピザ」「ポタージュスープの海を越えて」「シュークリームタワーで待ち合わせ」「大きな鍋の歌」の六話。
食べ物が重要なモチーフだけど、美味しそうな食べ物が出てきて、それでみんな幸せになるという話では、ない。
「ポタージュスープ~」のこんな言葉にドキリとした。
『家族の味の好みとか、栄養とか、(中略)そういうことばかりジグソーパズルみたいに考えてたら、自分がなにを食べたいかぜんぜん分からなくなってた。』
わかる。わかります。私もそうです。人に食べさせるために作っていると、そうなる。心身が疲れていると、スーパーで何を買ったらいいか決められなくて、売場をグルグルしてしまう。
最近は迷うと、「自分が食べたいものを食べる!」と開き直るようにしている。でも、意外と食べたいものって決められない。
「シュークリームタワー~」と「大きな鍋の歌」が、なんだか好きでした。食べることは、生きることですね。
彩瀬さんの描く世間に上手くフィットできない人たちが、妙に好きです。
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