池波正太郎

2016年12月29日 (木)

真田太平記 十二 雲の峰

2518「真田太平記 十二 雲の峰」 池波正太郎   新潮文庫   ★★★★

大坂の陣が終わり、徳川の世を磐石にして、家康は逝った。二代将軍秀忠の世となり、真田家への風向きも変わる。そこに仕掛けられた罠。信之は、唯一生き残った草の者・お江とともに、幕府の陰謀に立ち向かう。

「真田太平記」も大坂の陣で終わるんだろうと勝手に思い込んでいたので、「その後」があるのに驚きました。そして、とってもおもしろかった!

「生き残った」信之が主人公のこの巻は、もしかしたら、今までで一番おもしろかったかもしれません。信之を助けて働くのが、こちらも「生き残ってしまった」お江。そのあたりの運命のおもしろさが、なんともいえず。真田の家臣団が一丸となって、幕府に対抗するところなんか、気持ちよかったです。

一方、佐助の最期の様子と形見の品がもたらされたときは、思わず涙してしまいました。信之にとっては、佐助だけでなく、佐平次や、幸村のことも思い出されてならなかったでしょうね。

さて、年内になんとか最後まで読み通せました。「真田丸」を見なければ読まなかっただろうし、これを読むことで、「真田丸」をいっそう楽しめた気がします。

真田昌幸、幸村、そして信之を軸にした、壮大な物語を、堪能させていただきました。

2016年12月27日 (火)

真田太平記 十一 大坂夏の陣

2516「真田太平記 十一 大坂夏の陣」 池波正太郎   新潮文庫   ★★★★

真田幸村は、ついに大坂夏の陣を迎える。裸城となった大坂城を出て家康の本陣を狙う幸村隊は、家康を追い詰める。しかし、わずかに及ばず、力尽きた幸村は、最期のときを迎えるのだった。

とうとう幸村は逝ってしまいました。ただ、必要以上に感傷的になるでもなく、やれるだけのことはやりとげて逝ったという感じでしょうか。

夏の陣が始まる前に信之と再会する場面があり、ここでは仲良く酒を酌み交わしていました・・・。「真田丸」では信之があえてそれを避けたので(ここは悲しかった)、こっちの世界では兄弟最後の語らいができてよかったなあと思えたり。

信之と言えば、弟が大変なときに、お通さんにポーっとしたりして(笑) 「太平記」の信之が唯一見せた隙でしょうか。

後藤又兵衛も登場しているのですが、それ以上に毛利勝永の活躍に頁を割いているのが印象的でした。ほんと、めちゃくちゃ強かったですよね、勝永さま・・・。

ところで、幸村死んじゃったのですが、まだもう一巻ある! 草の者とか、信之兄上の話になるんでしょうか。それはそれで楽しみ。

2016年12月24日 (土)

真田太平記 十 大坂入城

2514「真田太平記 十 大坂入城」 池波正太郎   新潮文庫   ★★★★

徳川と豊臣は手切れとなった。真田佐衛門佐幸村は、九度山を抜け出し、大坂に入城する。それを聞いた向井佐平次は、信之のもとを出奔し、幸村の下へ駆けつける。幸村は、大阪城の南に出城「真田丸」を築き、鮮やかな戦ぶりを見せるが・・・。

真田丸、キター!!(笑)

とうとう冬の陣です。「真田丸」の文字を見たとき、思わず叫びそうになってしまいました。

大坂方のダメダメっぷりは、ついこのあいだテレビで見たような気がしますが、あれ以上にダメダメでした。だからこそ、真田丸での幸村の戦いぶりがいっそう鮮やかに見えるのかもしれません。

が、それも一瞬のこと。徳川の和解工作に、大坂方はあっさり陥落。濠は埋められ、真田丸は破却という悪夢のような展開に(これも、ついこの間見たなあ・・・)。

冬の陣がけっこうあっさり終わってしまって、ちょっとビックリしたのですが、案外、そんなもんだったかもしれませんねえ。

2016年12月18日 (日)

真田太平記 九 二条城

2512「真田太平記 九 二条城」 池波正太郎   新潮文庫   ★★★★

家康の上洛にともない、秀頼が挨拶に出向くよう要求する関東方に対して、大坂方は神経をとがらせる。加藤清正と浅野幸長は、自らの身を楯にして、秀頼を守ろうとする。そのかいあって、二条城での会見は無事に終わったかに見えたが・・・。その頃、九度山では昌幸がその生涯を終えようとしていた。

いまだに緊張が消えない徳川と豊臣。ずっとのばしのばしにしていた家康との会見を、とうとう受け入れる豊臣方。秀頼は堂々たる態度で、民衆の熱狂を誘いますが、それが家康にどう受け取られたか・・・。ということで、「豊臣家をこのままにはしておけぬ」という流れになっていくわけです。

片桐且元や加藤清正についても詳しく描写されていて、感無量でした(脳内では、「真田丸」のキャストで展開されております)。清正は毒殺説をとったのですね。

しかし、会見を受け入れれば世の中の平和は保たれる・・・という願いは、全く正反対の結果に。そして、とうとう方広寺の鐘銘事件が。

その頃、昌幸は九度山でその生涯を終えます。秀頼のうわさを聞き、また戦が起こるだろうと、それに望みを託していたときの死でした。

昌幸と毎晩戦略を語り合った幸村は、いよいよ次巻で大坂入りします。こちらも、クライマックスが近づいてきました。

2016年12月17日 (土)

真田太平記 八 紀州九度山

2511「真田太平記 八 紀州九度山」 池波正太郎   新潮文庫   ★★★★

幸村たちが九度山に流されてから時は流れ、表面上は徳川の世になった。しかし、大坂にはいまだに豊臣家があり、緊張状態は続いていた。真田の草の者たちは関ヶ原での敗戦から一時なりを潜めていたが、生き延びたお江と弥五兵衛を中心に、探索をすすめていた。向井佐平次の息子・佐助はいまや草の者の大事な戦力になっていたが・・・。

巻の総タイトルは「紀州九度山」ですが、九度山の描写はあまり出てきません。この辺は、「真田丸」と同じですね。やはり、九度山ではドラマティックな描写はしづらいでしょう。それだけ、昌幸と幸村にとっては退屈な時間の空費と思えたのかもしれません。

いきなり、長曾我部盛親(!)を佐助が尾行する場面から始まるこの巻。関ヶ原から時間が流れて、また新しい局面になったことがわかります。そして、小野お通登場~! なんというか、「真田丸」でなじんだ登場人物が出てくると、それだけで喜んでしまいます。

三谷幸喜さんは、「真田太平記」も大好きで、ドラマも見ていて、「真田太平記」で描かれなかったところを「真田丸」で描こうとした、とのこと。なるほど、だから読んでいても「あ、これは似てる」「ドラマのあのシーンは、『真田太平記』へのオマージュでは?」と思う場面がけっこうあるわけですね。

「真田丸」は明日で終わりですが(涙)、「真田太平記」はあと4冊残っています。年内に読破できるか?微妙な分量です(苦笑)

2016年12月12日 (月)

真田太平記 七 関ヶ原

2508「真田太平記 七 関ヶ原」 池波正太郎   新潮文庫   ★★★★

いよいよ関ヶ原の決戦が迫る。真田昌幸・幸村父子は、上田城で秀忠の軍勢を迎え撃ち、関ヶ原に遅参させることに成功する。そのとき、関ヶ原では、真田の草の者たちが、家康の首を狙って動き出していた。

第2次上田合戦と、関ヶ原。どちらも読み応えありました。関ヶ原には、幸村たちは参加していないわけですが、まさか、草の者たちがここで活躍するとは! お江をはじめ、物語の最初から登場していた壺谷又五郎らが、それぞれの手段で家康に迫ります。その臨場感たるや、もう!

というわけで、「真田丸」では一分足らずで終わってしまった関ヶ原ですが(笑)、なかなか楽しませていただきました。

もちろん、ここで家康が討ち取られてしまっては歴史が変わってしまうので、草の者たちの攻撃は失敗するのですが、これがまた惜しいところで・・・。幸村たちと両輪となって物語を引っ張ってきたお江や又五郎たちだからこそ、彼らを応援したくなってしまうのですよね。

西軍は破れ、信之と舅・本多忠勝の助命嘆願により、九度山に流罪と決まった昌幸と幸村。信之たちの嘆願シーンは、「真田丸」を思い出しました。

2016年12月 8日 (木)

真田太平記 六 家康東下

2504「真田太平記 六 家康東下」 池波正太郎   新潮文庫   ★★★★

秀吉死後、勢力を集める家康に対し、上杉は反旗を翻した。家康は上杉討伐のために東下。諸大名は右往左往する。そんな中、石田三成が挙兵。そして、真田家に決断のときが・・・。

事情がありまして、この回から新潮文庫版になりました。朝日新聞社版とは区切りが異なるので、文庫では6巻からの再スタートです。

さてさて、真田家としてはメインイベントとも言える「犬伏の陣」が! ドラマではすばらしい出来でしたが、こちらはどうだ!と意気込んで読みましたが・・・あれ?案外あっさりというか・・・。

信幸と昌幸・幸村との間に溝ができてしまっていたので、もっと後味の悪いものになるのかと覚悟していたのですが。「真田丸」ほどドラマティックでもなく、静かなのですが、やはり父子・兄弟として、通い合うものがあるのだなあという雰囲気でした。

関ヶ原の前哨戦というところですが、司馬遼太郎「関ヶ原」に比べると、やや物足りないかも。でも、やっぱり石田三成の人柄が、決定的に西軍の何かを壊してしまったというところは、同じ解釈でした。ああ、治部さま・・・(涙)

そして、今回は、いよいよ佐助が草の者(忍び)として大活躍! 父・佐平次の生い立ちも明らかになり、今後がますます楽しみです。

2016年12月 3日 (土)

真田太平記 8 風雲

2502「真田太平記 8 風雲」 池波正太郎   朝日新聞社   ★★★★

ついに、秀吉が死んだ。まもなく、五大老の一人、前田利家も死に、家康がその牙をむき始める。加藤清正、副島正則らは石田三成を襲おうとし、一気に世の中はきなくさくなっていく。

いよいよ関ヶ原前夜という感じになってきました。石田三成、大谷吉継といった人物が登場し、真田の草の者たちが吉継の密書を佐和山をはじめ、あちこちに運んだりして、大活躍。ついついワクワクしてしまいます。

そして、佐平次の息子・佐助の草の者としての活躍が始まります。佐助と幸村の異母弟・角兵衛の間に確執が生まれたり。今後、佐助からは目が離せなくなりそうです。

とにかく、たくさんの登場人物が生き生きと動き回っていて、ともすれば昌幸父子をしのぐ勢いだったりするのですが(苦笑)、それぞれにストーリーが感じられるところは、今の「真田丸」と似ているのかもしれません。

2016年12月 2日 (金)

真田太平記 7 秀頼誕生

2501「真田太平記 7 秀頼誕生」 池波正太郎   朝日新聞社   ★★★

豊臣家に運命の子・秀頼が誕生する。それによって、天下の趨勢はますます複雑なことに。真田の草の者たちにも緊張が走る。そんな中、甲賀忍びによって傷を負ったお江は、奇跡的な脱出に成功するが・・・。

秀頼の誕生の一方、病み衰えていく秀吉。朝鮮の役も思うように物事が進まず、ますます秀吉の神経をさいなんでいく。

豊臣家の滅亡が始まっている時期で、正直言って気がめいる話が多く・・・。そして、今回は真田家の話よりも、草の者に関する話の方がメイン。それはそれでおもしろいのですが、やはり個人的には真田家の物語を読みたいのですよねえ。

昌幸・幸村の「本家」と、信幸の「分家」が、なんとなく分かれてきていて、ちょっと寂しいのですが。

2016年11月26日 (土)

真田太平記 6 肥前名護屋

2499「真田太平記 6 肥前名護屋」 池波正太郎   朝日新聞社   ★★★

いよいよ朝鮮攻めが始まる。多くの大名が肥前名護屋に出陣した。真田昌幸・信幸親子も出陣。その途中、大坂で、幸村の婚礼がとりおこなわれた。信幸は、久しぶりに見た秀吉に、強い老いを感じる。一方、甲賀の里で瀕死の重傷を負った草の者・お江は、危ういところを助けられたが・・・。

稲姫(小松殿)を妻にしたことで徳川に接近する信幸と、昌幸のあいだにはなんとなく隙間風が・・・。という、不穏な空気が漂う真田家。「真田丸」の昌幸もかなりはっちゃけた人物でしたが、こちらの昌幸もなかなか(苦笑) ドラマでどんなふうに演じられたのか、見てみたいものです。

そして、信幸に独特の存在感がありますね。先日読んだ「獅子」につながっていくキャラなので、ある程度覚悟はしてましたが、「真田丸」みたいなお笑い要素は全くなし(あたりまえ)。あまりに「出来た」息子なので、いずれ来るだろう犬伏の別れ、想像するだけで悲しいものがあります。

この巻は幸村の出番はあまりなく、半分は草の者の話。そうそう、佐助は佐平次の息子という設定になるんですね。草の者としての才能はありそうですから、この子がいずれ幸村のために働くようになるんでしょうね。ちょっと楽しみ。

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