木下昌輝

2019年8月16日 (金)

金剛の塔

2934「金剛の塔」 木下昌輝   徳間書店   ★★★

大阪・四天王寺の五重塔。今はコンクリート製だが、かつては木造の塔だった。度重なる天災や戦災で倒壊・焼失するたびに、再建してきた五重塔。そこには、塔に命をかけた職人たちがいた。

 

木下さんの歴史ものは、着眼点というか、物語をつくるにあたっての発想力が実に面白い。五重塔にフォーカスを当てて、どのようにして巨大建造物をつくりあげるのかを描くことで、その時代背景や、人々の生き様をあぶりだしていく構成はなかなかでした。

描かれるのは、安土桃山、平安のはじめ、江戸の終わり、平安の半ば、江戸のはじめ、そして聖徳太子の御世。時代を行ったり来たりしながら、日本独自の形式の五重塔がどうやってつくられ、継承されてきたのかが語られていきます。

時代が異なれば価値観も変わり、造寺に携わる職人たちも個性はさまざまなのですが、高度な技術を受け継ぎ、後の世まで残るものをつくろうとする思いの強さは共通していて。技術と思いと。その両輪がなければ、あれだけのものはつくれないのだと思い知りました。

特に、日本で最初に五重塔を建てた、百済から来た三人の寺造工(てらつくるのみこと)たちの苦労が心に残っています。気候や環境の違いの中で、強度もあり、美しい塔を作り出す苦労たるや。

四天王寺は残念ながら行ったことがないのですが、法隆寺や東寺の五重塔にほけ~っと見とれたことはあります。でも、それを造った匠たちのことまでは考えたことがなかったなあ。

2019年8月 7日 (水)

戦国24時 さいごの刻

2930「戦国24時 さいごの刻」 木下昌輝   光文社   ★★★

歴史の鍵を握る人物の一大事までの「最後の24時間」を描く。「お拾い様」(豊臣秀頼)、「子よ、剽悍なれ」(伊達政宗)、「桶狭間の幽霊」(今川義元)、「山本勘助の正体」(武田信玄)、「公方様の一ノ太刀」(足利義輝)、「さいごの一日」(徳川家康)の6編。

発想の面白さというか、歴史上の有名人の人生をどう切り取って見せるかという短編集だと思うのですが。「ほほう、こう来ましたか」という感じで読みました。

冒頭の「お拾い様」のラストは「うお!」となりました。それは、今まで見たことがない設定(少なくとも私は知らない)。

それから、足利義輝という人物には興味があるので、その人を主人公にしたのは興味深く読みました。伝家の宝刀を床に突き立て、それを次から次へと手にとって敵と戦う足利将軍って、絵になりますよね。作者もまさにその場面を描きたかったのだろうな、と。

 

 

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