2020年マイベスト
① 「水を縫う」 寺地はるな (集英社)
② 「線は、僕を描く」 砥上裕將 (講談社)
③ 「逆ソクラテス」 伊坂幸太郎 (集英社)
④ 「スキマワラシ」 恩田陸 (集英社)
⑤ 「土に贖う」 河﨑秋子 (集英社)
⑥ 「雪月花 謎解き私小説」 北村薫 (新潮社)
⑦ 「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」 彩瀬まる (祥伝社)
⑧ 「52ヘルツのクジラたち」 町田そのこ (中央公論新社)
⑨ 「きたきた捕物帖」 宮部みゆき (PHP研究所)
⑩ 「活版印刷三日月堂 小さな折り紙」 ほしおさなえ (ポプラ文庫)
今年、初めて読んだ作家さんたちがたくさんランクインしました。寺地はるな、砥上裕將、町田そのこ、河﨑秋子。特に、河﨑さんは「颶風の王」も読みましたが、やはりこの「土に贖う」が圧巻でした。ある意味古くさい小説なのですが、私たちが忘れてはいけないものが描かれていると感じました。一方、ほかの御三方は、まさに「今」の物語。でも、これもまた私たちが目をそらしてはいけない物語だと感じました。
ほかのラインナップは、私にとっては定番(笑) みなさん安定の充実ぶりで、こちらの期待を裏切ることがありませんでした。ほしおさなえ「活版印刷三日月堂」シリーズは、今年完結。よくあるほんわか系のハッピーエンドストーリーのようでいて、けっこうシビアに生と死に向き合う物語です。
ベスト10には入れませんでしたが、忘れられない作品をもう少し。
「歌舞伎座の怪紳士」近藤史恵 「さいはての家」彩瀬まる 「駆け入りの寺」澤田瞳子 「類」朝井まかて 「二百十番館にようこそ」加納朋子 「蝉かえる」櫻田智也 「じんかん」今村翔吾 「ボニン浄土」宇佐美まこと 「巴里マカロンの謎」米澤穂信
それから、エッセイ・ノンフィクション等でも、今年はなかなかおもしろいものにあたりました。特に、岩手在住のくどうれいんさんは、これから大注目です。
「犬が星見た」武田百合子 「うたうおばけ」くどうれいん 「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ?」川上和人 「ここは、おしまいの地」こだま 「いやよいやよも旅のうち」北大路公子 「サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する」梯久美子 「緑の庭で寝ころんで 完全版」宮下奈都
さらに、新書もたくさん読みました。その中でも特に面白かったのは。
「独ソ戦」大木毅 「戦乱と民衆」磯田道史・呉座勇一・他 「北朝の天皇」石原比伊呂 「感染症の日本史」磯田道史
「独ソ戦」は読むのに苦労はしましたが、まさに読むべき一冊です。
あれよあれよというまに大変な世の中になってしまい、まさか震災に続いて、自分が歴史の当事者になるとは・・・とため息をつく毎日でした。そういう時に思い出すのは、震災からまもなく、かつての上司に言われた言葉。「こういうときだからこそ、本を読んでください」 正直、本に集中できないことも多かったのですが、それでもおもしろいものはおもしろいという事実に救われることも多かったです。(本当に、本とドラマには救われました。今年いちばんはまったドラマは、『MIU404』でした!)
今年は9月からちょっとお仕事に出ることになって、読書の時間は大幅に減り。さらに結石で七転八倒して、まだその不調を抱えたまま年越しをしようとしています。マスクで耳は痛いし、アルコールで手はガッサガサ。世の中のあれこれに腹が立つし、いつまでこんな生活が続くんだと、暗澹たる気持ちになってどんよりする日もあります。それでも、本を読んでいると、私だけが苦しいんじゃないんだと思えるし、何より楽しいので。まあ、泣き笑いしながら、マスクして、手を洗って、日々を過ごしていきます。ただ、地元に大きな書店がないので、本の購入に支障が出ているのがつらいところです。
最後に愚痴めいたことを書いてしまいました。今年もこちらのブログにおいでくださったみなさま、ありがとうございました。お互いに健康に気をつけて、一歩一歩あるいていきましょう。来年もお互いに良き年になりますよう。
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