漫画

2016年12月15日 (木)

いつか緑の花束に

2510「いつか緑の花束に」 吉野朔実   小学館   ★★★★

最後のよみきり作品をはじめ、ツートーンコミックや、未公開ネーム100Pを収録した、吉野朔実作品集。

よくぞこれを出版してくださいました。吉野さんにとっては不本意なことかもしれませんが、ネーム段階であれ、吉野さんが描こうとしていた物語に触れられるのは、ファンとしてはうれしいことです。(かつて三原順の「ビリーの森・ジョディの樹」が、やはりネームのまま刊行されたことがありました)

私にとって、吉野朔実の死というのは、今年のトピックの一つで、いまだにその衝撃から立ち直ったとは言えないのですが。こうして残してくれた作品に触れることで、少し癒される気がします。

こんなことを考えてらしたんだなあ、こういう物語を書きたかったんだなあ・・・そんなことを思いながらネームを見るのも楽しかったです。

大事にします。

2016年7月13日 (水)

天使は本棚に住んでいる

2451「天使は本棚に住んでいる」 吉野朔実   本の雑誌社   ★★★★

「本の雑誌」連載の吉野朔実劇場、最後の一冊。

予約して買いました。これだけは買いのガスわけにはいかない!と。

死を予期させるような気配はどこにもなく、淡々といつもの本の話が展開されます。そういうのが吉野さんらしいな、と思ったり。

今回のポイント。吉野朔実はドストエフスキーが好き。「残穢」「笹の舟で海をわたる」も読んでいた(数少ない、私も読んでる本)。「アライバル」を持っていた。などなど。

こうやって、吉野さんとの数少ない共通点を探したり、影響を受けたりも、これで最後か・・・。つくづく、残念。

でも、本になっていると、何度でも繰り返し吉野さんに会えるもんね。

目下の悩みは、シリーズ8冊をまとめた「吉野朔実は本が大好き」を買うかということ。全部持ってるけど、ボーナストラックがけっこうあるというし・・・。うーむ。

2016年5月22日 (日)

悪魔が本とやってくる

2433「悪魔が本とやってくる」 吉野朔実   本の雑誌社   ★★★★

吉野朔実劇場も、前作は「神様」でしたが、今回はとうとう「悪魔」。

帯のコピーは、「いっしょに読む?/悪魔が本を持ってくるのか、本が悪魔を連れてくるのか?」

なんか、いいですねえ。「悪魔が本とやって」きたらどうしましょう。というか、本が悪魔なんでは?という気がします。

今回の個人的なトピックスは、吉野さんが「獣の奏者」を読んでいたということです。ものすごく意外なような、でも「獣の奏者」ならいけるかも・・・とか、一人で興奮してしまいました。

2013年の夏までの作品が収録されています。ということは、あと1冊分、ありませんかね? 最後の(悲しい・・・)吉野朔実劇場が刊行されることを期待します。

2016年5月 7日 (土)

神様は本を読まない

2430「神様は本を読まない」 吉野朔実   本の雑誌社   ★★★★

訃報を聞いて、あわてて取り寄せました。最近、ご無沙汰していたもので。

読んでいて悲しい気持ちにはなるものの、あまり感傷的な気分にはならなかったのでした。ふつうに楽しんで読めたのが、自分でも不思議でした。

吉野さんがとりあげる本は、十中八九私の本棚にはないのですが(苦笑)、だからこそ「こういう世界があるのかあ」という楽しさがあります。ふつう、ここまで趣味が違うと、その書評自体どうでもよくなるのですが、これはその本をおしつけてこないので、「ふうん」という感じで、受け止められる。その軽さ(いい意味での)が、すごく好きです。

2015年11月12日 (木)

トルコで私も考えた トルコ料理屋編・成長編

2373「トルコで私も考えた   トルコ料理屋編・成長編」 高橋由佳利         集英社         ★★★★

シリーズ新作が出ましたが、前作「トルコ料理屋編」をupし忘れていたので、一緒に。

神戸に住み着いた高橋さん一家。旦那様はトルコ料理屋を開くことに。そして大きく成長した息子のケナンくんは、部活に明け暮れる高校生に。

相変わらず自然体な感じが心地よいコミック・エッセイ。ただ、自分も嫁にいってから読んでいると、きっとこれは大変だったんだろうな、などとしみじみ思ってしまうことも。

「成長編」のオズギュルくんシリーズがおもしろかったです。甥っ子のオズギュルくんの初めての海外旅行@日本。そうか~、部活って、異様な世界なのね(笑)

 

2015年3月30日 (月)

天上の虹

2258「天上の虹」 里中満智子   講談社   ★★★★

父は天智天皇、夫は天武天皇、のちに自らも持統天皇となった讃良皇女。国づくりに命を捧げた、波瀾に満ちた生涯とは。

全23巻、ついに完結しました。なんと30年かかったのですね。実際、その年月にふさわしい、持統天皇の一代記です。

歴史上あまり人気のない女帝ですが、「深沈として大度あり」と記されたように、非常にスケールの大きな女性だったようで、以前から興味をもっていました。だから、この漫画の存在を知った時は、迷わず手に取りました。以来、掲載誌が廃刊になって描き下ろしになり、刊行ペースが遅くなってからもずっと読み続けてきました。

実際、この漫画を通して初めて知ったこともありましたし、従来の解釈とは異なる古代史に触れ、非常に興味をもちました。ここ数年、飛鳥・奈良を訪れている一因は、「天上の虹」にもあります。それくらい、影響を受けた漫画です。

持統天皇をどう描くのか(特に大津皇子の件に関しては完全に悪役ですから)、主人公とするのはとても難しいのではないかと思っていましたが、見事に人生を生き切った女性として描き切りました。満たされないものも、手が届かなかったものもたくさんあるけれど、自分で選んだ道を最後まで歩ききった潔さが印象的でした。

2015年2月23日 (月)

リトル・フォレスト

2238「リトル・フォレスト」 五十嵐大介   講談社   ★★★★

いち子は小森という東北地方の集落で、自給自足の生活をしている。二人暮らしをしていた母は、以前失踪した。いち子も一度は小森を出たが、逃げるように戻ってきてしまった。厳しい自然の中で、いち子は自分の生き方を探していく。

橋本愛主演の映画の原作コミック。舞台が岩手だというので、こちらでは話題になっていて、読んでみました。

自給自足って言うのは簡単だけど、やるのは本当に大変。ちょっとした畑仕事でもすぐ音を上げる私には、とうてい無理。でも、自分の手で食材を作り、あるいは採り、それを丁寧に料るいち子の生活を見ていると、人間ってこうでなければ・・・と思うのです。

頭で考えるだけでなく、体を使って理解していくいろんなこと。

こういう生き方っていいなと思うのです。

2012年11月24日 (土)

先生と僕~夏目漱石を囲む人々~ ④

1943「先生と僕~夏目漱石を囲む人々~④」 香日ゆら   メディアファクトリー   ★★★★★

「修善寺の大患」を経て、死に至るまでの日々。漱石の死が、弟子たちに与えた衝撃と、その後・・・。文豪・夏目漱石と彼を愛した人々を描いた4コマ漫画、完結編。

1~3巻を一気に読んで、すっかりはまってしまい、4巻の発売を楽しみにしていたら・・・これで完結だなんて(涙)

4巻は、漱石晩年のネタが多く、寂しい心もちが。ただ、その一方で、漱石を愛した弟子たちの思いと、それに素直に応える漱石の姿が、なんとも微笑ましかったです。芥川への手紙とか。

漱石の死後、弟子たちはもめることが多かったようですが、それも当然でしょう。だって、主義主張が同じわけではなく、ただ「漱石先生」のファンクラブのようなものだったのですから(笑) みんなの気持ちを惹きつけていた唯一の存在が消えてしまっては、どうなるものでもありませんね。そういうことが、よくわかりました。

このコミックに出会ったおかげで、「それから」「門」「吾輩は猫である」「こころ」と、漱石を読み、あらためてその文章力、文学としての豊かさに驚いています。こういうきっかけがなければ、漱石をもう一度読もうという気にはなれなかったかも。

2012年7月15日 (日)

先生と僕~夏目漱石を囲む人々~ ①~③

1892「先生と僕~夏目漱石を囲む人々~①~③」  香日ゆら   メディアファクトリー   ★★★★★

文豪・夏目漱石を「先生」と慕う門人たち。また、文学とは無関係な親友たち。資料に残された彼らとの交流を通して、漱石の日常を描き出す、4コマ漫画。

昨日からずっとこれを読み続けていました。今のところ、出ているのは3巻までかな。まだまだ続きそうです。

夏目漱石というのは、かなり変な人だったらしい・・・というのは、漫画「坊っちゃんの時代」を読んで以来わかったことなのですが。このコミックを読んで、その認識を新たにしました。漱石も変だけど、そこに集まる人たちも、どこか変。特に門下生(と呼ばれた人)たち。どうしてそんなに漱石先生が好きなのかしら・・・。2巻の帯で、三浦しをんさんが

「漱石先生の友人、弟子のみなさーん。先生のこと、ちょっと好きすぎやしませんかー!」

と、叫んでいますが、まさにその通り。彼らの「漱石愛」はすさまじすぎます。特に、小宮豊隆と鈴木三重吉。さらに、寺田寅彦。

それから、正岡子規との交流も。基本、「受け身」な漱石が、子規に心を許そうとしたものの空振りになり、イジイジすねてるさまは爆笑ものでした。それに慌てる子規もまた(笑)

なんというか、漱石って「かわいい」んですよね。作品に惹かれてではなく、人柄に惹かれて集まってくるというの、わかる気がします。でも、「先生に一番かわいがられているのは僕」とか、「ほかの人たちには先生は渡さない」っていうのはどうかと思うんですが。どれだけ愛されているのやら、漱石先生。

これ、ところどころに漱石の手紙やら、門下生たちの随筆やらが掲載されていて、それを読めるのも楽しいです。漱石が芥川龍之介と久米正雄に宛てた手紙には、ちょっと泣きそうになってしまいました。その後の芥川の運命を知っているだけに。

しかし、私は漱石をあんまり読んでいないのですよねえ。「吾輩は猫である」も中学生の時に挫折したきりだしなあ。読んでみようかなあ。

2011年9月 2日 (金)

日本人なら知っておきたい日本文学

1750「日本人なら知っておきたい日本文学」 蛇蔵&海野凪子   幻冬舎   ★★★★

清少納言や紫式部、陰陽師・安倍晴明に、藤原道長などなど。名前は知ってるけれど、どんな人か知らない・・・そんな「有名人」を、著書や古典文学をもとに説明してくれる「人物で読む古典」。

「日本人の知らない日本語」の著者コンビによる、古典入門コミック。意外なほどおもしろかったです。

私のツボだったのは、「ぐるぐる悩む」紫式部と、「夢見るオタク少女」菅原孝標女。それから、「家に執着する男」鴨長明。

特にも、鴨長明は「方丈記」の筆者ということくらいしか知らないし、「方丈記」も高校の古典でかじった程度なので、こんな人生を送った人だとは全く知りませんでした。けっこう、変な人です(苦笑)

まあ、一面的な描き方になっているところもあるし、異論もあるかもしれませんが、私はこの本、かなり楽しみました。おかげで今、「更級日記」挑戦中です。原文対訳つきの本で。いつ読み終わるかはさだかでないですが。

時代が変われば、価値観は変わるのが当たり前。でも、時代が変わっても、人の感じ方というのは、意外なほど変わっていなかったりするのも、古典を読むときのおもしろさの一つです。

そうそう。キャリア・ウーマン清少納言と、全く価値観の違う夫とのエピソードは爆笑ものでした。いやいや、いつの時代も、夫婦って大変だ(笑)

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